※上下巻読破済
雪の王国に生まれた美しい王子はΩという性を持つことから王族でありながら虐げられてきました。そんな心を閉ざした彼が政略結婚という形で別の国(Ωを尊ぶ国)の王様に嫁ぐことになりました。未来の夫にも会わないまま結婚式まで過ごしている中である少年に出会います。
その少年との出会いから彼の中で止まっていた物語が動き出していくのですが、壮大な話でした。とてもただのBL作品とは思えないくらい満足感がありました。南国×エジプト×中華という感じの雰囲気の作品でした。というのも、この国の宗教観がエジプトに酷似していたり、背景は南国の宮殿ような雰囲気だったり、服装に少し中華っぽさがあったりという感じでした。主人公(受)は色白ですが、お相手(攻)含め登場人物の殆どは褐色の肌を持つのでそれが苦手な方は向いてないかもしれません。
Ωの主人公は母国での経験によって冷めた性格をしていますが、彼の成長や心境の変化が細かく鮮明に描かれていて、気づいたら物語に没頭してしまうと思います。
※上下巻読破済
良い作品ってその気持ちを言葉にして伝えるのが難しいですよね。今、そんな気持ちで書いてます。風〇を取り扱ってる作品は多くあるけれど、リアルを感じられるものって中々ないんですよね。というのも、テレビで放送される医療ドラマもそうですが制作側は寄せてるつもりなだけで実際の業界に詳しい人が見ると、「これ違うよ、こんなことしないよ」とツッコめちゃうんですよね。かくいう私も、そんな理由で夜職に関してはシビアな目で見てしまうというのが根底にあります。(忠実でなくともファンタジーとして十分楽しめますが)
こちらの作品では、受けのカナエ先輩がゲイ向けのマット専門の箱ヘルスで働いてるということでそれなりに店内の様子や接客描写が出てきますが、とても忠実だと思いました。洗体の仕方やマット上の足の関節を使った技、三指も実際にあるものなので忠実さに驚きました。
恋愛過程も丁寧で、変に贔屓せず店では客として、学校では先輩として接してるところも、夜職特有の割り切った感がカナエ先輩から伺えて、関係がリアルだな〜とあっという間にピンクハートジャムの世界に入り込んでしまいました。
攻め視点が苦手な私ですが、主人公(攻め)が健気すぎてついつい感情移入してしまい、あっという間に下巻まで読み終わってしまいました。
しっけ先生の作品ははじめて拝見しましたが、他の作品も見てみたいと思いました。今まで読んだBLコミックの中で1.2を争うくらいに好きになりました。
※上下巻読破済
少女漫画やラノベ、乙女ゲームで吸血鬼が登場する作品を多く読んできましたが、この作品を読んでその概念をひっくり返されました。今まで私の中では吸血鬼とは人間の上にあぐらをかいているようなカースト制や貴族制のイメージでした。BLでいうオメガバのαのような、人より優れている支配や捕食する側のイメージです。しかし、この作品を読んでその概念を覆されました。
最初は、とある男子生徒の首筋に2つの血痕が残っていたということから、この全寮制の学校で吸血鬼が出たのでは?!吸血鬼は誰だ?!という小さなミステリーから始まりますが、徐々に物語が進み、5話の終わりから手が止まらなくなり一気に読破してしまいました。上手い、の一言に尽きます。良い意味で騙されたというか思い込まされていたと言いますか…、そういうことかぁと謎が明らかになるにつれて腑に落ちました。設定の裏付け等もしっかりしていて、置いてけぼりになることがなくストレスなく楽しめました。そして、メインCPではないCPの話に涙が出ました。そのCPも読み返すと伏線がしっかり描かれていて、作者様に拍手を送りたくなりました。
寄宿学校、身分差、すれ違い、シリアストーンなどが好きな方にはおすすめしたいなと思いました。