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女性しぐれ西瓜さん

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鷹虎君の変人ぷりが、憎めない

大企業の後継者だった鷹虎が、高校2年生でΩ性が出現してしまい、今まで誰よりも強い立場になる事を約束されて生活していた人間が突然家畜(自分でΩをそう呼んでた)の仲間になってしまうというお話です。
この設定を聞いただけでも鷹虎はΩだった事にショックを受けたり、人間性や考え方が変わる様な経験だと思いますが、
実際には、鷹虎はこの世界は自分かそれ以外か(どこかで聞いた様な表現ですみません)くらいに考えているような人間なので、自分が約束されていた財産や地位を自力で獲得すれば良いや!くらいに思っている感じが、凄くタフである意味かなりの変人に見えて読んでいて面白いです。
Ωクラスに変更されて、クラスメイトがみんな個性的で私は好きでした。それぞれのΩの結婚観や、将来の不安や、社会のあるべき姿などを議論している様子は、子供を産める人なら一度は悩んだことがある様な悩みばかりで、そういうのを真剣に語っている場面が他のオメガバース作品とは違って、とても興味深い表現でした。しかし、鷹虎はそこでも、自分がΩであるにも関わらず、Ωの役割は繁殖資源だなどと言ってしまい、悪びれもしないんですよね。鷹虎の考え方はあくまでも合理的で人を役割としての存在で見ているんです。なので、感情面での意見は全く出てきません。それゆえ差別的な考え方もないんですよね。そんな鷹虎にクラスの子も読者の私も興味が湧いてきます。
そして、鷹虎はΩ同士で有坂と関係を持っているのに、学級委員の亀山が鷹虎を好きになってたりするのが、この話まだあまり恋愛感情出てこないですが、今後気になるところですね。大学も鷹虎と亀山は一緒だし。
このお話がどんな方向に行くのかまだ分かりませんが、それぞれのΩの生徒がどうなるのか?有坂君が特に、なんだか不安な終わり方していたので気になるし、登場人物色々を巻き込んで鷹虎君が俺様の力で何かやってくれそうで、とても期待が高まる一巻でした。

辛い立場から掴む幸せがキラキラしている

タイトルにもある通り、
ある国のΩ皇子が他国に嫁ぐ事になっているのに、既に好きな人が出来たので…なんとか夜の閨だけでも替え玉Ωに勤めをさせて子供もその替え玉に産んで貰いたい。という、ちょっと傲慢な計画の元で替え玉になったのがシュンリュウなんです。そしてΩ皇子キーシャオとシュンリュウは瓜二つの顔立ちなんです。
シュンリュウは病気の母親を助けて貰う代わりにそんな無謀な計画に加担するしかなかったのですが…

閨で顔を合わせたハオランにどんどん惹かれていくし、ハオランも替え玉とは知らずにとてもシュンリュウを気に入って大切にするんです。

シュンリュウがハオランを好きになればなるほど、本当の自分では無いキーシャオを演じている自分に苦しくなるんです。一方、キーシャオもハオランを好きになっていくシュンリュウを見ていて、会うこともままならない自分の恋に苦しむんですよね。
そんな感じで偽りのΩ妃は苦しい状況になってしまうんですが、
そんな状況を打開するのが次から次に子宝に恵まれる事なんですよね。
子供が出来たことでハオランとシュンリュウ二人の絆はどんどん強くなっていくのですが、一方のキーシャオの恋は…そして、だんだんと、ハオランも何か違和感を感じてきて…
キーシャオの我儘から始まった替え玉婚なんですが、苦しい立場にあってもどこかハオランならなんとかしてくれるんじゃないか?という謎の安心感を持ちながらよんでいました。シュンリュウが健気にそして誠実にハオランに対してもキーシャオに対しても身分をわきまえながらも、仲良く愛情を持って接しているのが、微笑ましくて。そして、偽りの中でも産まれた子供達を決して悪いようには言わずに大切に可愛がっているのが、読んでいて不安よりもこの状況が丸く収まって欲しいな!墨谷先生!って思いながら最後まで読むのを止められませんでした。
ラストまで読むと、ハオランとシュンリュウ。キーシャオと恋人レン。二組のカップルの色々な謎が明らかになったりして。とても満足する読後感でした。
出てくる主要なキャラクターがみんな好感が持てるんですよ。特にキーシャオがだんだん不器用だけど優しい人だと思えてくるし、ラストには一番このお話の中で変化したと思えました。そしてハオランの無頼感が良くて、明るくて気さくな話し方、そして子供にも妃にも愛情深かったのが、読んでいてとても幸せでした。特に印象深かったのが、何人もの子供達の中でΩ性の子が産まれるんですが、その子の名前に込めたハオランの気持ちがとても好きでした。

事件の謎に引き込まれる。志堂の刺青は必見!

こちら、1巻では二人の関係性が明らかになってきた導入部分で終わっているので、お話はこれから盛り上がるでしょう。既に西本ろう先生の絵がとても良くて、孤独で仄暗い闇社会に生きる登場人物達の表現と、学生時代の過去の明るい姿との対比がとても心を締め付けられながらお話を読みました。
妹の死に関わったかもしれない志堂に近づいて事件の真相を探ろうとしている比賀。志堂は表向きは会社経営者、裏では暴力団の幹部という顔をもつ男。比賀は一度はボディーガードの仕事を断られますが、銃撃に遭う志堂を助けた事で志堂の家に招かれ、ボディーガードのテストと称して体の関係を求められます。
志堂の裸体が艶めかしいんです。普段は隙のないインテリ社長という顔をしながら、ベッドの上で髪を下ろした顔や肌は美しいです。そして、お腹から片足に彫られた刺青のデザインが見事。色々なヤクザの漫画で刺青見てきましたが志堂の刺青はとても凝っていました。脇腹からお尻、太もも、足首まで曲線を利用した刺青がとても妖艶なんです。そこに添えられ花も美しいけど、毒のある美しさだと思いました。
そんな志堂の傍にいるうちに、だんだんと、過去の出来事を思い出し始める比賀。

まだ妹の死の真相等は全く掴めていませんが、志堂も比賀も身体の関係だけは互いに相性が良くなるというか…比賀は初めはノンケだったので志堂の体に乗り気にはならなかったのに、お互いに身体の関係はどんどん深みにハマっていく様子がエロかったです。

比賀にとっては妹の仇かもしれない志堂。志堂にとっては…
ラストまで読むと、最初にボディーガードを断った時、そして、銃撃から身を挺して助けてくれた比賀を志堂はどんな気持ちで見ていたのか?とても気になって読み返してしまいます。

お互いに素性をを隠して敵か味方かも分からない関係なのに、それでも体を重ねて、快感に浸って感じている瞬間だけは本物の表情なんだと思える。そんな関係がとても危うい愛を表現していると感じました。この二人の関係がこれからどうなるのか続きがとても楽しみです。

優しい気持ち、家族の形が素敵

これ、たくさん泣いてしまいます。コッコが健気で泣いてしまうし、オットにも泣かされます。

家族が欲しいとか、卵(子供)が欲しいとか、思っていても、ずっと思い続けていても、思うようにはならない経験をした人にとってはかなり心に突き刺さるんじゃないかとおもいました。
そういう子供の事などでトラウマになっている人はもしかしたら辛い場面もあるかもしれません。しかし、ラストまで読むと救いがありますので、大丈夫ですよ。

養鶏場で雄鶏と分かってお姉さん鶏から逃げるように追い出されて、辿り着いた場所の設定が面白いとおもいました。「孤独の森」にいる動物は雌雄のどちらかしかいない動物がすんでいて、過度に干渉することのない住処。卵から雛が生まれる詳しい事を知らずにひっそり暮らしていたコッコ。卵を生んで雛を育てる事を夢見ているコッコを森の動物達はそんな事(雄鶏なんだから)無理だとは言わないんです。そして、自分が一時的に滞在する居場所を確保する為にコッコを騙してしまうオット。
でも話が進むと、オットはコッコを傷つけた事をとても悲しいと感じ、コッコと同じ様に悲しくなってくれたのがたまらなかった。オットの後悔する気持ち、そして卵とコッコはオットにはとても大切なモノだと気づいて泣いている姿は読んでいるこちらも激しく泣いてしまいました。そして、後から無精卵の卵を第一子と言っていたシーンが良かったです。

オットの嘘で出来た家族だけど、孤独の森の特殊性から卵から生まれた赤ちゃんを森の皆が可愛がってくれる(そしてその赤ちゃん変じゃない?とかも言わない)様子は、コッコの様な孤独な人が作りだす新しい家族の形を見たようにおもいました。誰もが皆理想の番と出会えて、子供に恵まれる訳では無いですよね。ちょっと歪な家族だけどコッコの掴んだ幸せの形がとても素敵なラストだったと思います。ラストでキュンな気持ちが出て幸せでした。
コッコがとても可愛いんです。養鶏場の服によせているのか、いつもとても短いショートパンツを履いていて、ちょっとおっとりした話し方や、嬉しい時はとても可愛らしく微笑むのが。そして、お尻がプリンとしていて。オット、尻ばかり見てるけど、ちゃんと付いてるのみてないの?とか思ってしまいました。オットは尻がとても好きなんですね。
今回、擬人化という設定だったんですが、ほんわかした絵からは想像出来ないほど、とても心を揺さぶられるお話でした。

天授がとても魅力的。聖高との会話が刺さる。

ヤクザものは好みが別れる時があるのですが、こちらの天授はとても魅力的でした。読者としても、天授に落とされました。
天授が方言で樋口先生を口説く時などはずっと優しくて、言葉も行動も強引なのに、なんだかんだと、あんなふうに優しげな言葉で言われたら丸め込まれるというか。見た目はギラギラしていながら、実際の立ち振る舞いなどはほんとに優しくて。左遷されて落ち込んでいる聖高(しかも恋愛経験はほとんどない)を落とすのは簡単だったと思います。実際、あっという間に身体の関係になってしまうけど、そこからの二人の関係がとても面白かったです。
いつも優しいけどカタギの聖高には連絡取らずに急に逢いに行く天授。ヤクザだからこそ聖高に変に期待させない、約束して迷惑かけない様な心配りなどが天授の人柄が良く分かります。「せっかく会えたっちゃけん 笑ってちゃ 樋口センセ」とても落ち込んでいる聖高の前でこんな言葉を言われれば、ふざけてると怒ってしまいそうだけど、そんな天授だからこそ、聖高は心を開いていけたのが良かった。そして天授に出会ってすぐからとても彼の魅力に引き寄せられているのに、二人でいる時は素っ気ない態度で誤魔化してしまう聖高。そんな二人の会話がとても読んでいて心地よいんです。
そして、二人の関係を上手く説明してくれたり、だんだんとアシストしてくれる葦束と龍之介もとっても良いんです!
二人ともがお互いの弱い所を知る事で、自分の生きてきた世界とは違う世界の人間だと実感しながらも、最後に二人の関係を一歩進ませてくれたのは聖高だったのが、もう最高でした。ずっと天授に素っ気ない言葉しか返さなかった聖高からの、真っ直ぐな言葉がとても心に響きました。二人共に心が救済される物語だったとは。表紙からは予想も出来ない凄く素敵な物語でした。ラストにお互いの気持ちを確認してからの、重たいくらいの愛の告白に心がギュンとしまくりでした。聖高を落とすと言った天授が結局は彼にどっぷり落とされた事を認めてくれたのが涙涙です。
続編決定ということで、穏やかな生活は期待できないけど…それでも、とても楽しみです。

可愛い!楽しい!設定が凄い!

設定がとても面白くて、笑いあり、アクションあり、そしてカモメの子の可愛さが爆発的です。既に名作の域の面白さがあります。
カモメのヒナだったルネが、凄い早さで成長していく様子が丁寧に描かれていて、そのルネの可愛さ、たどたどしい言葉、から、少年に成長する様子。そして羽の様子もページをめくる度にちょっとずつ表情を変えて行くのが見ていてとても楽しかったです。そしてなんと言っても、吾妻先生のギャグのセンスが、面白いしそれを言ってるルネの可愛さにも繋がっていて、とても楽しいです。
ルネを保護して育てているエヴァンはルネとは対照的にどんどん若返って行くのですが、そちらも、ちょっとずつ黒髪が増えたり、顔のシワが減ったりと見ていて楽しかったです。そして、それだけでなく、物語の冒頭のカラーページからエヴァンにはまだ語られていない謎があるようで、エヴァンの見ていた海の夢や謎にもこれから注目したいです。
そして、私が注目したのは島の子供達のリーダーでいじめっ子の立場だったカミーユです。ルネと最初は対立してしまうのに、最後はとても仲良しになってて、不器用な優しさのある子で好きになりました。カミーユって名前のキャラクターには、やはり設定が隠されていたのも面白かったです。
まだ恋愛に関しては全く始まっていませんが、ルネの可愛らしさと、そしてエヴァンの若返りを、のどかな島の中で見られるだけでもとても素敵なお話でした。
私の脳内では某アニメBGMがとてもこの漫画にマッチして鳴り響いていました。それくらい鮮明なイメージでこの世界とキャラクターが描かれていました。
早くこれからの二人が見てみたい反面、ルネの幼児の可愛さは一巻でしか見られないと思うと、何度もこの巻を読み返してしまいます。

和音の頭の良さが光っている

前作で結ばれた二人が、今回はアダムの生家を訪ねるお話です。
伯爵家では、アダムの幼なじみが皆、和音をパートナーにした事を快く思っていなくて、あの手この手で和音を陥れようとします。
しかし、そういった出来事を和音のドM変態的な思考で相手をビビらせてしまったり、パーティでは、サイードの兄が登場して語学を活かして人脈作りに貢献したり、それを機に和音の頭の良さを見込んでアダムの幼なじみと仲良くなってしまったり、
和音の株が読んでいる私もどんどん上がっていきました。
しかし、面白いのは、こんなにアダムの友人達を思うように出来ているのに、アダムを和音好みのご主人様に育成するって目的ななかなか難しいと、ひとえにアダムが優しいご主人様だからなんですが。そんなことで頭を悩ませている和音が面白いと思いました。
そして、ラストにはラスボス、アダムの父、母が登場するのですが、アダムの両親とはどうなったのかは読んで欲しいです。
そして和音のアダム育成計画は一体どうなったのか?ラストはとてもハードなエッチが見られますが、ちょっと今までの和音とは違った心になっていたのが、見ていて嬉しくなりました。
二人の愛がより深くなったのを実感出来るラブラブな1冊でした。そして、ただ、酷くされて喜ぶドMだった和音が、とても優秀で、そしてアダムに対して絶対的な一途キャラな事が分かって、和音を大好きになりました。

美麗な作画とギャグのギャップが面白い!

サノサノアサヒ先生の絵はかなりシリアスなお顔だと思うのですが、この作品はギャグ要素がモリモリで、そのギャップがとても面白くて笑いながら読んでいました。
普通の少女漫画をオカズに出来てしまうモブのオタクキャラ葵くん。葵くんが大好きなキャラクターにそっくりな加瀬さんと知り合いになるんですが、、
加瀬くんは王子様のような見た目なのに中身は酒、ヤニ、パチカスとクズな要素ばかりを持ち合わせた人物でした。
それでも加瀬くんは主人公キャラとして、崇め奉っている葵くんが面白くおかしくでも健気で可愛くて。葵くん大好きです。そんな葵くんの謎行動に対してカッコつけたくなる加瀬くんだけど、やっぱ元が色々クズというか、そんなカッコ良いのが似合う性格では無いので、葵くんの前ではカッコつけられないって自信を無くしている加瀬くんがかわいいと思いました。デートに新しい靴を履いてきて靴擦れを我慢している加瀬くんはかっこ悪いかもしれないけど、私はここで加瀬くんを好きになってしまいました。

エッチなシーンがたくさんあるんで、そういうのも楽しめるんですが、
私が一番心に止まったのが加瀬くんが就活で、適当に嘘を並べて受けた面接で採用されてしまった事に対して、落ち込んでしまった事です。周りから蔑まれながらも、ひたすら好きな事に努力して生きている葵くんのがとても魅力的な生き方に見え始めた加瀬くん。顔が良いと言うだけで、努力しなくても勝ちを得てきた加瀬くんが葵くんの生き方のが魅力的だって。勝ち組の人生に価値を見いだせなくなった事が加瀬くんをとても魅力的にしてくれました。
結果的に大きい会社に就職にはならなかったけど、もう、この2人にはちょうど良い着地点だったと。読み終わってからほっこりしました。
最初から最後まで葵くんの脳内の言葉に笑わされました。
サノアサヒ先生のセンスが光るとても楽しい1冊に出会えて嬉しいかったです。

美しい季節。名前に込められた気持ちが尊い。

あまりにも美しい表紙で、一目惚れ購入してしまいました。
表紙だけでなく作画もとても美しく、特に季節を司る鬼達(季鬼)の衣装が和風な中にもオシャレで美しく、それぞれの個性も引き出された素晴らしい衣装だと思いました。
名前なんですが、季節に因んだ鬼達の名前そして一緒に居る動物達の名前もとても素敵です。
そして、主人公の名前にはただ美しいだけでなく、命名した人物の尊い気持ちが込められていたのも、とても心に響きました。

お話としては、新人の季鬼になった涙は梅雨の季節を担当しているんですが、夏の季節の立夏の力が弱まっているので、彼のお世話をしながら、梅雨から夏にかけて人間界に降りてきて二人で過ごしているという設定です。
そして涙は季鬼になる前の記憶が無いんです。

それでも季鬼になって何年目かで涙は美しく成長して、立夏の身体を見るとドキドキしていて。そんな涙に鬼の力を効率的に取り戻すには他の鬼からの邪氣を取り入れると良い言われ。少しずつエッチな行為をしていくんです。

立夏も涙もお互いを大切に思っている気持ちは凄く分かるんですが、その気持ちがいつから芽生えたのか?というのが、過去の回想から分かってきます。
ずっと泣くのを我慢して健気に生きている少年が、初めて涙をみせる相手に選んだのは?
涙が鬼になった経緯を知ると、とても二人の純愛のような気持ちを感じました。

最後まで読んで再度表紙絵を見ると、ここでの涙の顔がとても美しく描かれている理由が分かりますし、この表紙をもっとずっと好きになりました!
二人の今後も見てみたいし、他の季節の鬼も皆個性が強くてもっとこの鬼達との絡みも見てみたいと思いました。冬牙と立夏の因縁みたいなお話も気になります。読み終わってからしばらくこの美しい世界に浸れます。

恋人、家族の愛、そして友情

仁嶋先生のお話は人間関係がどの作品もとても素敵なんですが、今回のお話はその人間ドラマの部分が少し重ためのお話でした。
ずっと何かの秘密を抱えた青年渚が、最後にはきちんと自分が抱えていた秘密を千波に伝えます。この部分が明らかになる事で、心がとても救われるので、重いお話でもとても充実した気分で読み終わります。
二人の関係は謎を抱えたまま、ゆっくりと友人から恋人に進んで行くのです。ゲイであることをクローゼットにしている渚。そして、オープンにしている千波。ゲイであることを千波の祖母は受け入れてくれていると聞くと、なんだか嬉しそうな顔をする渚。
この渚の言えないでいる秘密はネタバレしてしまうと面白く無くなってしまうのでここでは伏せておきます。
二人を取り巻く友人達が、良い感じなのです。一度は心無い噂話で盛り上がってしまうのですが、その後、ちゃんと良くなかったと反省したり、フォロー入れてくれたり。千波も渚も良い友人達が側にいるんです。
ラストまで読むと、「どちら様が、愛を告ぐ」の意味が分かり、ちょっと感傷的な気持ちになりました。
しかし、ずっと足踏みしたままだったカフェが前向きに動き出したのをみて救われました。

ここからは読んでから少し思った気持ちを書きます。

千波とお祖母さんの関係は、なんだか身につまされる気がしました。上手くいってる様に見えても、案外家族の関係は表面上の我慢で成り立っていそうで。その関係は本当に心からお互いを理解していたのか?千波は認知症になっても未だに娘(千波の母親)を心配している祖母の気持ちを理解出来ない悔しさだったり。ラストも結局は千波が祖母の気が済む様に話を合わせてあげて自分もお祖母さんも心の着地点を見出していましたが、本当ならもっと早く、認知症にならないうちに解決させてあげたかった問題ですよね。でも、心に折り合いを付ける事も、これからを生きて行く人には必要な事なんだろうなぁと。
その心に折り合いを付けさせてくれたのが、千波にとっては渚の存在だったんでしょうね。これは家族以外の渚だから出来たことだったんじゃないかな?と、思いました。心が優しい家族同士だと、あからさまに心に踏み込む事出来ないままだったんじゃないかなと。。
とても繊細で、完全には解決出来ない心まで表現しようとした仁嶋先生の人間ドラマの描き方はとても素敵だと思いました。