お菓子の家は未読です。
充分読み応えはあったし、トラウマの背景もきちんとしていて、凪良さんお得意の絶望→更生のわかりやすい話の運びだったのに、どうにも話に入り込めませんでした。恐らくキャラの影響です。
公平の、まっすぐ正しいことをまくし立てる感じがどうにも説教くさくて受け入れられなかったし、こんなに努力をしているのに何故フリーターなのか?と疑問に思いました。
デモなどのワードが受け入れ難ったので、その辺りに過敏な方には彼のキャラは合わないかと思いました。
要も、ラストまでひたすら優しさ一辺倒で、そこまで魅力的な人物に感じられなかったのが私の中に入ってこなかったのだと思います。いい話ではあったけれど、合わなかった。そんな印象でした。
文句なしの神でした。
ニーナと陽光の2人の描写が、小学校時代から語られているのが良かったです。ニーナは初めはそこまで口も悪く無い素直な子だったけれど、学校でのことがトラウマになり、捻くれてしまう、と、ただ口の悪い受けというわけではなく、きちんとした過程が描かれているからこそ、愛着もひとしおでした。
そして攻めの陽光がとにかく素敵な彼氏ぶり。幼いころからの真っ直ぐさは変わらないまま、不遇な境遇でもニーナを愛し続け、愚痴も言わない男前ぶりな性格が良かったです。
物語の運びもさすがで、最後にニーナが外の世界へ踏み出すために家を出たところでは涙がボロボロでした。
2人のエピソードは多々あれど、あとがきに書かれているように無駄なエピソードが一切ありませんでした。脇役の映画監督もバー店主もその彼氏も、みんないいキャラをしていて読んでいて気持ちよかったです。
個人的には無口無愛想で口の悪い受けと、太陽みたいな攻めの組み合わせが好きだったので、萌もきちんと感じられて最高の1冊でした。
過去の出来事から他人を好きになることを恐れる諒一と、自分の撮りたいものを求めるカメラマン、暁の話。
この2人の関係で3巻も要しますが、実際暁からの恋愛感情が感じ取れるのは1巻からだし、その1巻を読んだ時点で「すでに相思相愛なのでは?」と思っていた身としたらここまで引っ張られて「もう勘弁!」と思うところなんですが、以外にもさらっと3巻まで読めました。
帯さんというキャラが強烈で最後まで一貫して嫌なヤツ。
だけど、私はこういう当て馬?は好きです。最後に手のひらを返したかのようにいい人になることも多い中、キャラを崩さず悪役に徹してくれたのは気持よくて逆に好印象でした。
肝心の主役2人ですが、今回はどちらかというと攻め萌でした。暁は一途で夢を追い求め、家もきれいにするし料理も上手い…と完璧キャラなんですが、なんだかすらっと受け入れられました。
職場描写も普段編集業という世界を知らないからか、とても楽しく感じられました。強烈に心に残る印象ではないものの、最後まで安定したシリーズでよかったです。
心に残るような残らないような微妙な作品でした…
最初から最後まで恋愛の物語、とありますがまさに終始恋愛に振り回される2人の話です。
上巻では松岡に何故早く男だということを言い出さないのかともやもやし、寛末への苛立ちは少なかったのですが(むしろ最初の方では少し空気は読めないが優しい人間だと感じていた)、
下巻では寛末の視点になることで逆に彼が駄目な人間だとイライラしてしまいました。視点変更でキャラの印象が変わることはままあれど、こんなに悪い風に変わるのも珍しい。
というより、思ったより寛末が松岡のことを大切に考えていなくて驚きました。
男だから駄目、と否定するのを躊躇うのも、全部自分が悪者になりたくないため。松岡の気持ちなど無視をして、期待を持たせては自分の不遇ぶりを嘆くばかり・・・
辛口になってしまいましたが、作者はきっとこれを意図して書いたのだと思います。
だからこそ最後に結ばれる2人にカタルシスを覚えた読者も多いのだと思いますが、なんだか最後の畳み掛けがそれまでの長い紆余曲折に見合ってないような印象を受けてしまいました。
もっとすっきりくっきり話をまとめて、上巻の1.5倍くらいの長さで収めてくれたら、まだ納得できて泣ける物語になったのかもしれません。
日高さんのイラストは最高でした。人目見ただけで印象に残り、挿絵がない部分でも終始イメージが鮮明に浮かんできて楽しかったです。ということで中立評価です。
不良だけど実は純な海堂の性格が可愛かったです。
ストーリーも、知り合ってから相手の内面を知って、好きになったからこそ拗れて、、、と王道でとても読みやすく、安心して読了できました。(京介の言葉が途中ちょっとひどすぎると思ったけど笑)
絵も非常にお上手で、見ているだけで楽しい本でした。
しかし個人的に、攻めも受けも常に顔真っ赤状態で、読んでいるこっちがちょっと恥ずかしくなってしまいました。
あとテンパリすぎ!笑 そこが高校生らしいんですけどね…。
攻めの京介は若干Sっ気のあるように感じたのですが、ここまで女の子みたく赤面されてもな…とちょっと残念に。そういう絵が好きな方にはよいのかもしれませんが、雄々しいのが趣味な人には合わないかもしれないです。そういうわけで中立評価です。
はらださんは本当に絵と構成で「読ませてしまう」漫画家さんだと思います。個人的にBLの中で女性がでしゃばる話はあまり好きではないのですが、はらださんの作品には必ずといっていいほど出て来ます。今回もそれがちょっと目につきました。そして過度な強姦描写など、自分の地雷である要素はたっぷりなのに、なぜか最後になるとああ満足だった、と充足してしまいます。こんな感覚を味わえるのははらださんだけです。
最後あたりのモノローグが非常に印象的でした。
付き合うってこんなことだっけ?と言いながら行為にしけこみ、そして次第にはもう相手以外どうでもいい、付き合うとか、付き合わないとか、そういうんじゃなくて、ただ布団の中でヨルが幸せそうに微笑むだけでどこか満たされてしまう。
そんな朝一の姿を見ていると、こっちまで安心したような気分になってしまいました。
最後の展開があったからこそ救われた、けど逆になかったら自分の中で最悪の作品になっていた…はらださんの作品は、いつもそんなギリギリラインをいっていますが、未だに期待を裏切られたことはないので、これからも読み続けたいです。
キャラクター萌の本でした。計はとても可愛く魅力的なキャラですが、それも後半になってくると少し乙女思考が強かったかな…という感じがしました(最初の印象が強烈だっただけに笑)。
そこがかわいいツンデレとして物語を彩っているのもあるんですけどね。
私はどちらかというと攻めの潮の人柄に惚れ込みました。やっぱりツンデレは攻めの魅力があってこそ成り立つものだと痛感しました。
決めるところはしっかり決めてくれる、仕事に対して真面目に向き合うアーティストな潮。けれど計に対してしっかり守る姿勢も見せてくれ、計の相手はもうこの人しかいないな、という安心感がとても持てます。
時々出てくるマスコミ界に大してのブラックジョーク的な?描写も面白く、世間では嫌われている感じがする界隈の話でも大変面白く読めました
山中ヒコさんの作品はどれも大好きですが、中でも一番好きなのがこの作品です。
現実的にはちょっとありえない展開だったり登場人物の考え方だったりしますが、それをすらすらと読めてしまうのは、ヒコさんの描く「間」がとても上手いからだと思います。
とにかく一度何も考えず読んでみると、思わぬところで胸がツンと来ます。犯罪とかそういうことはいろいろ抜きにして、登場人物たちの心情にだけ焦点を当ててみると、これほど悲しい物語もないです。
少し触れたら崩れてしまう、壊れ物みたいな関係の2人が最終的に行き着く先は、決してはっきりとはしない、けれどこれ以外だったらがっかりしてしまうような…ヒコさんはいつも完全なハッピーエンドで物語を終わらせないイメージがあるのですが、この作品もそう。余韻が残るからこそ、忘れられない一冊です。
購入してから2年以上たった今でも未だに何度も読み返します。最も好きな漫画の内の1つです。
絵に関しては最早言うまでもないくらい上手で、デッサンがしっかりしているからこそ、がさがさとした線でもすっと情報が入ってきます。
とにかくキャラクターが非常に魅力的で、和は現実にはいそうでいない、とてもまっすぐでいい性格をしています。
対して由岐は、こちらが思わず共感してしまうような、1つに夢中になったら他には目をくれることも出来ない典型的なオタク。
この二人が出会ってからかけがえのない間柄になっていく間に、何か特別で衝撃的なドラマは一切ありません。
ただ、日常を共に過ごしたり、過ごさなかったり、そういった何気ない小さなシーンの積み重ねの描き方が非常に上手いです。
最近では受け攻めの2人以外にもたくさんの登場人物が出てくる漫画が多いですが、この本に関しては、フォーカス当てられてるのは本当にたった2人だけ。
だからこそ、濃密な関係がゆっくり築かれていく過程を楽しめます。