表題作について。
攻めのちひろくんはAV男優なのですが、色気がハンパないです。服を着ていても漂ってくるセクシーオーラ。基本クールで、発言や行動が男前。
受けの伊吹さんは正義感が強くて熱血漢。
このふたりのカップリングが絶妙でした。
作画がともかく綺麗です。キャラクターのお顔が美しいのはもちろんのこと、エッチシーンはちゃんとエロかったです。読むご馳走でございました。お話のトーンが明るいので、カラッとした読み心地です。
その他の短編について。
ルーズソックスにバニーボーイに口紅etc. 短いながらもヘキが詰まっておりました。こちらは全体的に湿度高め。
ためこう先生の表現力の幅を感じた一冊でした。
ざっくり説明すると、不憫受けが愛と居場所を見つけるお話です。
王道ストーリーだけど陳腐に感じなかったのは、キャラクターがとっても魅力的だから。
リオンくん(受け)は不幸な境遇に負けず、自分にできることを探して努力する前向きな人です。応援したくなっちゃう。
大我さん(攻め)はぶっきらぼうだけど優しくて。リオンくんが大我さんに惚れた理由がよく分かります。
女性キャラもいい味を出してます。大我さんの元妻・有菜さんは明るくて頼りになるお姉さんだし、顧客の麗子さんはとってもチャーミングなマダム。
スキャンダルに巻き込まれ、世間から攻撃されたリオンくんが幸せを見つけて本当によかった! 言葉ではなく行動で愛を伝えるタイプの攻めって新鮮で、大我さんのファンになりました。
そして、平明かつ簡潔で、キャラクターの心情を的確に描写した文章が本当に素晴らしかったです。
リオンくんが欲していた愛とは、大事な人たちと日々の生活を慈しむことなのかもしれないなーと思いました。
癒やしが欲しいけど甘ったるいだけのお話では満足できないという方におすすめです!
季節の移ろいと共に描かれる、キャラクターの心情の変化がとても切ない作品でした。
物語は「知っているのはお互い、いい加減なハンドルネームだけ」という状態からスタートします。この時点で私は萌えました。キャー! どういうこと? オトナの関係!?と思いまして。
そのままドライで冷めた関係で終わるかと思いきや、里谷(受け)はだんだん政田(攻め)に気持ちが傾いていき、やがて彼のことが好きだと自覚します。
そこから先のストーリーは……ジェラートのように甘かったです。政田(攻め)、里谷のこと大好きじゃん! 年上×年下好きにはたまらん展開でございました。
そして、ジェラートという小道具が随所でいい働きをしています。毎回違うフレーバーのキス、冬季休店により、ふたりを結びつけるものがなくなってしまう等々。「お見事!」と唸ってしまいました。
<こんな方におすすめ!>
・スタイリッシュな絵柄が好き
・年上×年下が好き
・甘さと切なさ、両方味わいたい
そんなわけで神評価です。
タイトルと表紙イラストから、「受と攻が季節の移ろいを感じながら、ごはんを一緒に食べて幸せに暮らす同棲モノかな」と思いましたが、全然違いました。
のっぴきならない事情を抱えたユキ(受)と、そんなユキを助けたい隼(攻)がすれ違ったり、思いをぶつけ合ったりしながら、最後に結ばれるお話です。
お互い好き合っているのに、ユキの事情が障害として立ちはだかります。もどかしい! じれじれする! 心の中で何回も叫びました。
でも、樋口先生ならば読者をハッピーエンドに導いてくださるだろうと信じて、最後まで見届けました。正直、ユキが抱える事情が辛くて先を読みたくない時間帯がありました。樋口先生の筆が冴えているからこそ、ユキの心情が痛いほどに伝わってきて……。
ふたりの想いが通じ合った時、大きな喜びを感じました。ずっとずっと幸せが続きますように。
本作はユキと隼が運命に負けまいと抗う、不屈の愛の物語でした。読み応えのある現代BLをお求めの方にオススメです!
一ノ瀬くん(攻)のキャラクター造形がとても秀逸だと思いました。強引だし、非常にヤバい妄想を抱いているのですが、馬場さん(受)ラブなところは徹底してるんですよね。愛ゆえの暴走だと思って、安心して濃厚なえっちシーンを眺めることができました。
馬場さん(受)はツンギレこじらせ陰キャ。一ノ瀬くんに抗う姿はまるで「シャーッ!」と毛を逆立てる猫ちゃんのよう。いろいろやられ放題だった馬場さんですが、最後はみずからの意志で一ノ瀬くんと恋人になることを選びます。
物語の冒頭では社会を憎んでいた馬場さん。一ノ瀬くんと幸せになるんだよ!と心の中で拍手を送りました。
加東先生の画力が素晴らしすぎて感動しました。とても臨場感あふれるラブシーンを描かれる作家さんだなと思いました。馬場さんのお尻がぷりっとしていて可愛かったです。
えっちなBLが読みたい。ハイレベルな作画を堪能したい。辛かったり重かったりしない、ポップな読後感のお話がいい。そんな気分の方におすすめの一冊です!
ジャケ買いでした。涙目でネクタイを咥えて、顎を掴まれている黒髪美人の色気といったら。見るご馳走ですよ!
当方、Dom/Subユニバースを扱った作品はあまり読んだことがありませんでした。なので、冒頭に用語の説明がコンパクトにまとめてあったので助かりました。
さて、黒髪美人の東乃さんですが、Switchであるがゆえに葛藤があるようで。薄幸オーラが漂っております。(でも、それがまた色っぽい)
東乃さんは勤務先で西條さん(Dom)に出会います。西條さんに尽くしたいと願う東乃さんが健気でね。どうか幸せになってくれ!と応援しながら読みました。(でも、悩んでいる表情も色っぽくてたまらない)
はーっ。黒髪健気美人、最高です。美麗な絵に魅了されっぱなしでした。ストーリーも甘いのが好きな自分に合っていたので、評価は神とさせていただきました。
オメガバースというと、ヒートでエチエチになる受ちゃんや、ロマンあふれる運命の番という設定を美味しくいただくもの。そんな認識でおりました。
なんと浅い考えだったのでしょう。「愛日と花嫁」はそんな表層的な萌えにとどまる物語ではありませんでした。
誰かを愛し、命を授かるということ。
そして命を育み、慈しむということ。
読了後、すべての生命への畏敬の念をずしんと感じました。
読書を通して、自分の世界観まで塗り替えられる経験はなかなか味わえるものではありません。
説教くさいお話ではないです。
クロもルカも不器用なところがあって、完璧ではない。愛すべき存在なんです。そんなふたりが力を合わせて生きていく姿が、ただただ尊いのです。
セリフにしても絵にしても、画面から伝わってくる情報量が多いので、じっくり腰を据えて読みたい作品です。