かわいらしいタイトルとほのぼのした表紙につられてジャケ買いしたものの、中身はひとつもほのぼのしていませんでした。なんと2ページ目から虐待開始。こんな話だったのかよとおののきつつ歯食いしばって読了。
攻は6年もの長きにわたり受が虐待されるのを見てみぬふりします。一応最後は救い出すけれども。自身も連れ子で未成年のうちは義父に強く出れなかったにしても、もうちょっとなんかあんだろよという気持ちは否めず。
ただあまりに攻がボンクラ過ぎて、受が救いの手を待つしかできない子供というよりは、悲惨な境遇の自分をエサに攻を待ち構え罪悪感でがんじがらめにするジョロウグモという解釈もあり得るのでは。であれば欲しい男を得るためのど根性物語と言えなくもない? 主導権とって攻を翻弄してる様や耳打ちされてテレる攻のチョロさにを見るとこれ当たらずとも遠からずかもわかんねーなという気持ちです。つかそうでも思わないとしんどいっすわ。
マヤの出現で二人のおだやかな日々が滅茶苦茶になるだろうことはなんとなく予測しつつ、読後感死にたくなるようなのがくるのかと身構えていましたが、想像していたような最悪な最後は回避されていてほっとしました。
いろいろ印象的なところはあるけれど、やはり浩然の行きたいとこいっぱいあるって言った笑顔が小さい子みたいで胸がぎゅっとなりました。なんで毎年冬にって言ってるからもう何度も約束して江ノ島来てるんだろな。全部行こうって千紘に言われて紅潮してる浩然が満ち足りてて、とにかく君らこっからの人生は全勝優勝で行けという気持ちでいっぱいになりました。幸多かれ。
そしてマヤの空虚な結末が思いがけなく堪えました。残虐さにおいてだけれど小さい子供みたいなところがあるからか、邪魔な登場人物退場と思えませんでした。内臓まき散らして死にたいってどんな死生観なんだ。どうせまくならもっときれいなもんまいてほしい。彼岸に一人逝く餞に来世は腕の良い花火師に生まれ変わってもらいたいと言葉を贈って感想を終わります。
風と木の詩の昔から生活基盤が安定しないと
どんな大恋愛も関係性がじりじり変容し破綻にむかうのは
世の常なのだなあと物悲しい気持ちになりました
エリオットよりよほど酸いも甘いもかみ分けていたであろうリンチェが
初恋に足を取られて身を滅ぼしたのが哀れです
死の間際に幻相手に海の天使城に連れてかえってと言った少年の終りとは違い、リンチェは恋人の用意した家に二人で帰っていきます
平坦とは言えない逃避行、疲弊と諦めと後悔が繰り返されるのはなんとなく予見されますが、とはいえ傷つけあったり赦しあえるのも生きていればこそ
メリバかなあと思ったけれど意外と救いのある話なのかもしれません
子供の頃に夢見た家とはかけ離れていても窓から見えるちっぽけな海が
せめて美しい青色であることを祈らずにはいられません
蒼が鴇ちゃんのことをなじったのは学生服着てた頃の回想シーンだけ。出版社勤務の現在は双子を甘やかすのをいさめたくらいで鴇ちゃんに怒ってはいない。それどころか一緒に眠ったり落ち着いたお店を教えてくれたり普通に仲良いのに、なんで堯良の前で最近怒らせてばっかりっつったの?何アピール?って思ったら、それまでの鴇ちゃんのキャラクター造形を覆すほころびに見えて萎えました。
とはいえこの部分にひっかかるまではかわいーかわいーと繰り返し読むくらい好きだし、続編が出ればやっぱり楽しみに読むと思うし、ただの言い回しにそんな引っかかることもないかと思いつつ、鴇ちゃんを特定保護生物だと思えばこそちょっとの違和感が気になってしまったという感想です。
どんな地獄を見せられるのかと戦々恐々しながら読み始めた長い物語がついに完結しました。感無量。怪物はいなかったし、小島は愛されてた。凄惨な過去がパタパタカラカラ180度違う風景になって、小島が救われたのが良かったです。ほんと良かった。
それにつけても大門のスパダリぶりよ。連続殺人事件解決しーの当主入れ替わり見抜きーの、難病の小島父を病院に入院させーの、なにより怪物と呼ばれた人の名誉を回復させて小島を仄暗い楔から解き放ちーの、大門のポテンシャルたるや。すげー
ハチャメチャで波乱万丈だったけど真っ赤になってつきあいたいっていう小島といわれてとろけそうに喜んでる大門の笑顔で、ようやくおだやかな恋愛がはじまったんだなあと大変あたたかい読後感でした。
ジャケ買い。原作付き。オメガバース亜種。
雌は妊娠するために内臓を作り変えるのだけれど
そのために雄の体液を摂取しないと超絶苦しむし下手すると死ぬ設定。
すれ違いで雌が体液を得られず吐血しだして雄のトラウマにならないよう
身を隠すんだけど結局雄が探し出してハッピーエンド。
全体に受がふわふわしてて、酔っぱの攻に乗っかられたからって命かかってんのに簡単に許すとか希少種として育てられたわりには安い命だなとか、腐っても是枝家なら成り上がりんちの使用人くらい懐柔するなり追い出すなりなんとかしろよとか、庭いじりが趣味だとわかったあとも攻の庭から花摘んで活けるとか小さな命にやさしい設定は対動物だけかよ等、受に対して疑問が沸く沸く。吐血の染み抜きもできないし家事もだめならお前なんならまともに出来んだよ。タイピンの匂わせだけは一丁前だけどよとヤカラな気持ちになります。攻は攻で猫拾って酔っぱらって受の寝込み襲っただけ。こんな二人なのでハッピーエンドもとってつけたように感じました。
そして身体作り変えたらBLじゃなくてNLでは。新刊で急ぎ買う必要はなかったなあ。
ジャケットと帯のコピーが美しかったので中立です。
竹の日ジャケ買い。あかねソラ先生の作品は初です。
とにかく環の周りに腐れ外道しかいないのが凄い。
美しく生まれたことの対価でこれだけの目にあわされねばならんのなら
人間面の皮1枚の美しさなどほどほどで良いなと思いました。
偽装片輪の情夫とならず者がデキあがったあげく
結託して財産を狙ってきているのを全てくれてやって隠居してみたり
だまし討ちのような結婚で自分を捨てた男に都合のいい穴扱いされ
きわめつけは中田氏されて腹下したことを流産て。
お前の頭は帽子掛けかよと環に対しても怒りがわきます。
生まれ持った性別すら否定されて妻子持ちの男を待つって悲しすぎました。
上下巻読了。一読目はまーくんの魔神ぶりにフォオオッと上がりましたが、何度か読むうちにナカモトが不憫になってしまった。自分の能力を買って最大限のパフォーマンス引き出してくれるパートナーより半径2kmくらいが生きる世界のすべてみたいな、愚かしい愛情で豚箱ぶちこもうとする仁くんのが可愛いっちゃ可愛いのだけれども、仁君を選ぶ理由が二股男のよくある別れの理由みたいであらあらまあまあという気持ち。ナカモトのむかつくリストの強引、自分勝手って仁君にもあてはまる気がする。もっとも仁君が弱っちいので強引も自分勝手も空回っているのだけど、すると二人の違いは淫乱か淡泊かってことで、これまた男のありがたがる処女性とか可塑性とかそういう話かと思いが到り、庇護欲刺激してくれてるなら誰でもいいのかよ、つーかナカモトの永遠の愛を負かすのがそれかよという判官びいきから萌2です。