小雪舞う中を外で夜通し踊って、そのまま疲れ果て雪に埋もれて眠る……。いやいや風邪引いちゃうから。凍死するかもしれん。という、一面銀世界の朝の場面からスタート。
プロフェッショナルな二人は本当にずっと練習しています。世界選手権でどうしても一位になれない(アジア人だから?)杉木・矢上組と、国内の大会にしか出場したことがない鈴木・田島組。スタンダードとラテンを教え合って10DANCEに挑戦する、というお話なのですが、社交ダンスの世界のことを知らないため、書いてあることを鵜呑みにしつつ楽しく読んでいます。
3巻では、杉木と鈴木がかなり個人的な深い話をするなどして、仲を深めていく様子が描かれています。子供のときの話とか、他愛ない事柄とか。そうすることで解像度がかなり高まったのか、お互い、離れている間にも切実に相手のことばかり考えているのです。受け止めて理解して、心の中に自分以外の人間が入り込んで来る。本人達が認めたくないとしても、もうそれは恋としか。
なので、少しの行き違いがあって離れた後すぐに引き返してもう一度会ったりなんて、まるで付き合い始めのカップルじゃないか、と思うなどしました。キスに至るのも自然に見えてしまうのは作品に流れる雰囲気の妙かなと。濃密だったり軽妙洒脱だったり、見えないはずの空気感を感じました。
ただ、二人の仲が深まれば深まるほど、疑問も湧いたりします。二人がダンスのパートナーだったらこうして時間とともに仲を深めていくのも分かるのですが、あくまでも社交ダンスは男女で踊りますし、実際それぞれパートナーが居て、二人で大会に出るわけではないんだよなと。夜中の練習も素敵だし夜中テンションで落ち着いて対話をするのも良くて、息がぴったり合って踊る様が絵になるだけに勿体ないというか釈然としないものを感じてしまいます。読み進むうちに氷解するのかな。
美男で独身の警察官ばかりが次々に殺害され、しかも両手両脚と局部を切断されるという猟奇的な連続事件が起こる。
リコは辰巳署所属だが、高須から声をかけられ捜査本部の一員として捜査に携わることになる、というお話。
猟奇的殺人事件の捜査そのものが面白くて、どういうことなんだろうと色々考えながら読んでいきまして、四人目の被害者の親戚が十二年前に起こった冤罪事件に絡んでいたという真相にたどり着いたときには、膝を打ったものでした。
その鍵となる往年の冤罪事件は、真犯人は警察官でしたが、いったん容疑者とされた人物はまったくの無実の一市民。おおかた犯人として送検されそうだったところ、研修から帰ってきたばかりの麻生さんがコツコツ実験を続けて真犯人逮捕に結びつき、誤認逮捕をせずに済んだという話でした。そのエピソード知ってます!(→みんな知ってる) というように、「聖なる黒夜」とオーバーラップしていました。
練のお姉さんは登場するし、ウスバシロチョウや朽木村が出てきますし、その冤罪事件は同じ頃でもあるので読みながら何度も、この展開はやばい、とドキドキわくわくしていました。本の半分くらいまでですね。前半は本当に神でした。
ですが、やってほしくなかった展開が中盤辺りにありまして、私は大変ショックを受けて読書が止まってしまいました。
これはして欲しくなかった。練はいいけど、麻生さんはだめだ。
というわけで3日くらいあけて読書を再開したので、もしかしたら一番盛り上がるところで自分でブレーキをかけてしまったかもしれません。そのためなのか、事件解決への収束がある意味ひとりよがりにも思えて、とても残念に感じました。
途中までは本当に面白かったです。
因みに韮崎が死んだのが2年前とのことなので、「聖なる黒夜」の序盤から2年後のお話です。生前の韮崎は練をいじめた輩を次々に屠っていたと思うのですが、玉本は野放しだったんですね。あの玉本を。ということが意外でもありました。
それから個人的な話をしますと、大好きな及川が登場したことが殊の外嬉しかったです。ちょっと大人しめな印象でしたが嬉しかった。麻生が絡まないと狂気な色は醸し出さないのか。
RIKOシリーズは3で終わりなのでしょうか。でもまだ練が登場する本があるみたいなのでそっちにも手を出します。
2巻は、ワールドチャンピオンシップで杉木・矢上組が2位だったというニュースを見た鈴木が、俺たちが足を引っ張るわけに行かないと、アキと相談して今回の10DANCEの挑戦を辞退しようと決めたところから。1巻終わりで「俺が本気出して踊れなかったの、今まで見たことある?」とアキに話していたのを思い出します。スタンダードを「なんで踊れないんだろう」との疑問は、アーニーの助言を踏まえて杉木が音楽をかけた時に氷解するのですが、タイプの違いということだけでこんなにも影響するのかと。1巻でも、スタンダードとラテンは全く異なっていることを描いていましたが、チャンピオンになるくらいの人は専門性が高い(その分野に特化)ということなのかと。ソシアルダンスの世界は初心者なので、一つひとつ鵜呑みにしています。もしかしたら極端に書いているのかもですが、その方が分かりやすくてよいです。
それで、2巻になってようやく、来た来た来たー、と思いました。なにがってBL展開です。
鈴木が、おかしいな、と自分の心に向き合いながら、ぐるぐるしているのがとても良いです。
よいといえば、鈴木は英語を喋るときに、どうやらかなり発音があざといみたいで、その表現として吹き出しにハートマークが飛び交っているのがすごく可愛いです。そのいちいちに杉木が眉間に皺を寄せるのが面白い。
それとスペイン語になると吹き出しのハートマークが消える。なんで英語はそんなことになっているんだろう(誰に教わった?)。
Netflix映画を先に見て、とてもよかったので、原作のコミックを読んで見ました。とりあえず1巻。
映画は1回見ただけなのでもしかしたら頭から抜け落ちている設定もあるかもしれませんが、1巻を読んでメインの二人の背景で知らなかったことを知れました。親同士が反目?していること、房子さんが既婚者であること、アキと信也が子供の頃からの付き合いであること。
あとがきに出版社が変更になったとあり、全然知らなかったので驚きました。「ヤングマガジンサード」に掲載とは、BL作品の掲載誌としてはかなり異色のような。(今は「ヤンマガweb」のようですね。それでも異色)
1巻だとまだ序盤なので、10DANCEの競技会に出場するために練習してばかりなのですが、それなのに面白いです。ソシアルダンスについてなんの知識もなくても楽しく読めました。続きも読んでみます。
なお、BL的にはまだ全然です。信頼関係が少し芽生えてきたくらいです。
そして、前述の映画ですが、改めて、すごく原作をリスペクトして作られた映像作品だということが分かりました。
キャストの皆さんもそうですが(どれほどの努力をしたことか)、映像の美しさ、競技ダンスの光と影、丁寧に描き原作の良さも生かして2時間強にまとめていて(見ている分には2時間が一瞬でしたが)ただただすごいと感じ入るばかりです。
※実写映画化記念で、ヤンマガwebで5巻まで無料公開してます(2026年1月7日まで)
実令は友人の結婚式で、元ビジネスパートナーだった拓也と20年ぶりに再会する、というところから始まるお話。
再会もの、アラフォー同士、二人ともイケオジ、再会したその日にセックス、その後一緒に仕事をすることになって南の島であれやこれや、というお話です。
表紙でわかるように絵柄がとても色っぽくて、大変に眼福でした。
女性キャラが何人も登場するのですが、女性社員たちは二人の恋を見守るような立ち位置なので(というか腐女子的なわくわく感)、読みながら何度か笑ってしまいました。通訳の女の子だけ実令に胸を当てるなどして誘惑を試みますが拓也や女子達がカバーして途中でやめたり、当て馬にもならない男性社員がいたり、総じて二人の周囲はわちゃわちゃしています。
絵柄も色っぽいですし、メインの二人はアラフォーだしで大人っぽいストーリーかと思っていましたが、コメディタッチな作風でもあって、読み応えは大変軽いです。
再会する前(学生時代)は、恋人ではなく友達だったのに、再会したその日にセックスしちゃうのかー、という違和感も無くは無いですが、絵の雰囲気が良いために飲まれてしまいました。
ただ時制がすぐにあっちこっちに飛ぶので、何度か前に戻って確認したりして、読みづらかったです。
続きをずっと待っていました。3巻が読めて嬉しいです。
保護観察期間の間、理解ある人々に囲まれてまっとうに働いている辰巳。
だけど罪を犯した者は服役しても保護観察期間を経ても、結局はその罪や悪しき者にじわじわ絡め取られていくことに、更生の難しさを感じます。この人はとても強い人だと思うのですが、それでも幼少期に負った心の傷は癒えないし、大地の存在がある意味枷になっています。大切な人が居ることは、いろいろな場面で励みにもなるし、良心や理性を繋ぎ止める因子になりますが、一方で最大の弱点にもなるといえ、ここでも大地への思いにつけこまれて危ない橋を渡ろうとしています。
無謀でつっぱしるタイプの大地のことを危なっかしいと辰巳は思っているようですが、大切な人を守るためとはいえ簡単にそっち側へ渡ってしまう彼こそが危なっかしいです。真実に蓋をして表面を取り繕うことで結局嘘を吐く。大地に対して嘘を吐くことが彼の中で咀嚼できず罪悪感を抱くから余計に試したり抱き潰したりしてしまう悪循環。その強い執着や依存心がとても心配です。
二人は子供のときに親の愛情を得られなかったという共通点があるためか、背負い込んでしまう癖があり、違うのは、周りから差し伸べられる優しい救いの手を素直にとれる大地と、振り払う辰巳、この差がとても大きいなと特に3巻を読んで感じました。
辰巳の出自には驚きましたが、知ってしまった本人もこのままでは済まさないでしょう。
リスクを冒してあっち側に行って、彼が思い描いた通りの展開になるのかどうか。4巻を待ちたいと思います。
大地がどういう道を選んでどう動くのかも見守りたいです。
上巻から3年後。大学生になった紺野は写真学科で勉強しながら、カメラマンの父親の手伝いを続けています。上巻ラストのあと屋上に来なくなった早川とは連絡をとっていませんでしたが、偶然の引き合わせで再会します。
屋上でやっぱり音楽をやめない、と宣言したとおり早川は今は大学に通いながらインディーズのバンドでギターを弾いていました。
3年分の旧交を温める二人。よいお話です。
私は個人的には本当にピアノはやめたんだな、というところがとても残念でしたが、溢れる才能を無駄にしなくて本当によかった。歌詞が作れないからインストルメンタルとのことですが、今後どうなっていくんでしょうね。
二人ともまだまだこれからで、夢を追いかけている途中の爽やかなお話でした。
ただ、上巻と比べると下巻はかなりあっさりしていたなと。前述のピアノのことはただの私の願望でしたが、それ以外にも、あのときこうすればよかったと二人が思っていた早川の告白のことを、3年ぶりにやり直して交際することになったことは微笑ましくもありましたが、上巻のこじらせが私は気に入っていたので、時が解決してくれたような展開は物足りなく思いました。
それからこれも勝手なことですが、山下くんはもう登場しないんですね。彼もピアノをどこかで続けていたらいいなと思うなどしました。
二人の鍋パーティーの場面で、紺野の酔った上でのキスについて、探り合うような言葉のやりとりはとても楽しかったです。
学校の屋上で偶然知り合った二人の高校生のお話。
音楽の才能があるのにやめようとしている早川と、写真が好きで写真のことばっかりな紺野。
子供の頃から音楽が好きで作曲ばかりしている早川はなかなか友達ができず、ピアノ教室で仲良くなった山下くんと行き違いから中学の頃に仲違いをして、それをきっかけに音楽をやめようと思う。でも曲が生まれてくるものを止めることはできない。
早川の子供時代のエピソードがとても切なくて、なまじ優勝してしまうからやっかまれたりして、友達ができるどころかどんどん孤立する様子がとても気の毒でした。山下くんもああは言ったけど言葉全てが本心ではなくて、そういう気持ちとは裏腹に早川のことを友達だと思っていたとおもうので、下巻で和解するといいなと思っています。
早川にしてみれば自分が音楽馬鹿ならば紺野は突出した写真馬鹿なのに、音楽好きを隠さなくてはいけない自分とは違って写真が好きだと素直に口にできてそれでも友達がいることを羨ましい。早川が紺野に惹かれる気持ちは山下くんの早川に対する気持ちと似ているものがあると思いました。なので、ちょっとBL展開は私には唐突に感じていて、紺野に対する最初の嫌がらせみたいな八つ当たりみたいなのは分からなくもないのですが、そこから一転しての好き好きモードは、ちょっと落ち着けと思ってしまいます。
それにしても学校の屋上で、それまで知らなかった二人が出会って、パーソナリティーの深いところを共有したり誰にも話さないようなことを話したりするのは、大変揺さぶられます。吹き抜ける風も感じられ、いちごみるくが飲みたくなりました。
幼馴染み同士の恋(年下→年上への片思い)が描かれる本作。
1巻では、子供の頃からの思いを告白し、期間限定でどうにかつきあってみるという約束を取り付けたまででしたが、2巻はもっと深く性愛について言及されています。
環は育ってきた環境から、潜在的に性への恐怖心と罪悪感に苛まれていて、できるだけそっち方面には関わらないように生きてきた経緯があります。中3のときに女子生徒とお付き合いを始めたものの女の子の方から誘惑された時に無理と思ってしまったエピソードもありますし、同級生の下ネタトークを苦手にしていたりしています。
ここで志井がぐいぐい環に迫っていく(H方面で)のは逆効果じゃないのかなと不安になりました。環にとって志井と志井家はずっと安全地帯だったから、志井まで性欲むき出しになったら、もう環の居場所は無くなってしまうと。
ただ、16歳の健全な男子なら、恋愛と性欲がどうしても切り離せないのは通常のことなので、志井を非難するつもりは無いです。仕方ないことなので。ただあまりに環が気の毒でした。
2巻では二人それぞれの性に対して1巻よりもっと赤裸々に描いていくのと同時に、新要素として環と環のお母さんとの関係に変容が見られる(悪い方に)というのもあり、環の性的虐待はまだ続いていることがわかりました。もうここまで来ると克服するのは環境改善とか専門家の治療とかが必須なのではと。志井との恋愛でどうにかなるようなことなのか、大変心配です。
それと、志井は環への気持ちを持て余し、中3のときにアプリで知り合った大学生と何回も会ってセックスしています。このときの1年間、環に彼女が出来たこともあって距離を置いている頃ですが、その大学生には環のことも相談しつつ、完全に環の代わりに彼を抱いて、してみたかったプレイもしています。ここだけみると志井の環への思いというのは、ヤリネタということでいいですか?とも思ってしまいます。1巻巻末描き下ろしの「おかずは一品だけ」もそうでした。健全な男子なら仕方ないと前述しましたが、詳らかにすることによって、恋心と性欲がよくわからなくなっていきます。次の展開に向けて、ここでセックスを経験することは必然ではあるけれど、顔射は余計だったかなあと思うなどしました。
志井は環のノートを盗み見て奥底にしまわれている闇を知り、俺のせいにしていいから、と環を抱くのですが、果たしてこの荒療治はどうなんだろうと。正直判断がつかず残りページ数がなくなっていく中で、これ本当に終わるの?と思っていたところに「つづく」の文字。私はてっきり全2冊だと完全に誤解しており本気で驚きました。2巻が発売されたのが2021年、3巻は出るのでしょうか? ここまで来たら志井の思いを成就してほしいとは思いますが、環の心の傷は深刻で、16歳の志井がどうにかできるような事柄なのかも分からず、この続きを読みたいようなこのままでもいいような、そんな気持ちです。
子供の頃から好きだったひとつ年上の環に告白する志井。
志井のことは好きだけど、そういう「好き」じゃないと思う、と答えるが志井は納得しない。週6バイトなら、残りの1日を俺にくれ、とお試しで付き合ってみることになる、までがお話の1巻目。
1話から5話まで収録されています。1話は小学生の志井視点、2話は中学生の志井視点、3話以降は高校生の両視点で時に回想を混ぜながらとても丁寧に二人を描いています。
一般的な家庭に育った志井と比べて、特殊な状況で育った環は潜在的に女性やセックスに対して抵抗感(本人はあまり自覚してない)を持っていて、それが今後どう影響していくのか、2巻を見守りたいと思います。次々に変わる母親の恋人はろくでもない男ばかりで、誰も彼もが子供の環のいるところでセックスをしていて(もう立派な性的虐待)、育成期に相当悪影響を及ぼしていると思う。環は少なくとも表面上はまっすぐ育っているのが奇跡のように感じます。
志井は勿論そんなことは知りませんが、環の家の中には一度も入ったことがなかったり、小学生のときに玄関ドアの前で泣いている環を見ているし、中学生の時には家の中からあえぎ声を聞いたりしているのでなんらか察している(長じてから分かる)ようですし。どうなるかな。とはいえまだ高校生だからなあ。
巻末に「おかずは一品だけ」という描き下ろしありです。中学生の志井が環をおかずに抜く話です。環への気持ちは恋愛だっていうことの証明ではあるし仕方ないけどセックスを無理って思う環を思うと、先の展開がちょっと不穏。