最終的にハピエンではないけど完全にバドエンでもない、けどまとまってない訳ではない感じで終わった。
良くないことをしている主人公の磐吉だけど、許せる余地を与えるような要素も程よく用意されてて、最低限話寄り添って読めるお話になってる。主人公クズすぎてどういう感情で読めばいいか分からない問題はたぶん起こらない。
女目線で読むと辛いだろうし、どっちつかずな状態の磐吉を責めるような人物も出てこないから少しもやる部分も出てくるかも。
個人的には磐吉の過去がサラッと説明されただけで終わったように感じたので、父親や京極との(昔からの)関係性も深堀されてたら嬉しかったな。1巻完結なら難しいところだろうけど…。あと終盤で磐吉の父親が急に良い奴感出してくるけど、あれは要らん。最後まで最悪な父親のままくたばってほしかった。
作者さんが最後まで読んだらもう一度読み返して欲しいと書いていたので2周してみた。特に序盤の方は大河が印象的に感じたであろうシーンが同じカットで再現されていたり、大河の表情にも1周目とは違う意味が読み取れたので、2度読むのは確かに正解だと思った。ついでにタイトル回収も綺麗だったし、絵も綺麗。
ただ若干最初の方からヒントはあるので、読みながら展開が推測できる頭の良い人は1回目と変わらないのかも。私はなんの疑問も持たずに読み進めてたので2周目も退屈しなかった。
過去の話端折りすぎって指摘も多いけど、1巻完結で読める作品として描いてるならこれでいいと思う。過去の恋愛も深堀りした上で2人の恋愛も…って感じのお話はどっちも中途半端になってる事多いし。
あと個人的には文字数が多すぎず、吹き出しの配置も読みやすいようになってたのが良かった。
濡れ場は多くないからエロ目的の人には不向き。
女の子とお泊まりまでする?あまりにも鈍感すぎない?」とか「恋愛には懲り懲りって言ってる割にはチョロすぎない?」とか、言われてみれば確かにそうかもと感じる部分もあったけど、読みやすくて綺麗なハピエン作品で良かったと思う。
この先生の作品で1番好きな神作。
設定とか世界観は物語の世界って感じだけど、お互いの愛情の温度感とか形みたいなものがすごくリアル。2人とも好きだ好きだとストレートにガンガン言うタイプじゃないから、言葉以外の部分からお互いを想いあってるのを感じられてきゅんっとくる。
1巻完結の作品はそこまでストーリーに期待せず読んじゃうけど、これは心情とか背景描写少なすぎて感情置いてかれたり展開早すぎてモヤッとしたりって事が一切なかった。複数巻正義のスト重さんにも向いてると思う。
BL漫画400冊は読んでるけど、唯一1巻完結の中では作者買いし酔うと思った作品だった。
ドロドロしたのとか無いし、基本的に皆ある程度常識的で良い人達ばかりだから純愛ハピエン系好きな人向きだと思う。
ビジュ重視な人は、ジェラシーの櫓木好きなら受けの志田も絶対好きだと思う。(私がそうだっただけ)
えろメインの作品じゃないけど、志田さんすごく色っぽいし先生の表情の書き方が神だった。なんかエロいんじゃなくて色っぽく書かれてるのが凄い。