シリーズ最終巻とのことで、大好きな作品が終わってしまう寂しさを感じながら読みましたが、彼らの日常はしっかりと続いていくんだなという安心感を感じ、読了後は胸いっぱいになりました。
この作品は特に大きな山あり谷ありではないのですが、日常への溶け込み方というか、この世界のどこかに現実の人としているのではないかという絶妙なリアルを感じることができます(周りの偏見や親子問題などもリアルです)。
話の後半にセリフのない学生のキャラクターが出ますが、真城と奏が手を繋いでいるところを見て目に光が戻る描写があります。ここに勇気をもらった人はこのキャラだけではないと思います。性別に拘らず、大事な人と幸せに暮らすことへの希望が詰まった最高の描写でした。
シュリ(受け)の頑張りだったり、それゆえの空回り具合だったり、いつも優秀な双子と比較されて不憫です。途中、好きだった人にもひどい扱いをされてしまい可哀想で涙を誘うし、話の展開も面白いところがありますが、シュリ以外のキャラが(それなりに理由はあるにしろ)大概ひどくてそっちに気をとられてしまい、心から楽しめませんでした。シュリの友人のコンラートくらいしか脇役は好きになれませんでした。コンラートのおかげ最後まで読めた気がします。
あまりネタバレしたくないんですが、結構大事なことなので敢えて書きますが、
途中、胸糞悪いものがありつつも一応ハッピーエンドで終わるんですが、攻めの双子のどっちかとちゃんとくっついてスッキリという終わり方ではいです。攻めの双子のどっちがいいかをシュリに選んでもらう、みたいなふわっとした感じで終わります。この結末、理解はできるんですが、納得できないというか。好みの問題なんでしょうけど。
不憫受けを読む理由って、受けがウルトラハッピーな結末を迎えるのを見届けたいって気持ちがあるので、置いていかれたような気持ちになってしまったんですよね。読了してポカーンとなってしまったので、可否をつけることが難しく中立とさせていただきました。
真冬がようやく「将来・未来」という等身大の悩みにぶち当たっていてどこかホッとしている自分がいます。命をかけて疾走するような危うさが和らいだからでしょうか。
真冬という名前の通り、次に芽吹くため彼はうんと力を溜めてから爆発させる人で、それにはこの悩みや周りの変化に翻弄されるのもとても大事なエネルギー源なんですよね。青春してていいな。立夏との関係も一見、不穏そうに見えるけどこれは通過儀礼だってどっちも無意識で分かっているように感じられてあまり不安は感じられません。もうちょっとイチャイチャが見たいけど、我慢の巻ですね。
次巻でこの状態に決着がつくのでしょうが、エモさも次になるだろうから萌2にしました。
ラストの羽化は素晴らしかったです。
面白かったー!
怠惰に流されて生きてきた受けの怜王が、好きになった攻めの圭吾と出会って、恥ずかしくない自分になろうと少しずつ努力していきます。すごくいじらしい。怜王の成長の過程が見ていて微笑ましいです。
でも、その「好き」の気持ちと比例するように圭吾にぞんざいに扱われている自分がみじめだと感じるようになる様に胸が痛くなりました。この辺りの安西先生の描き方がいちいち上手いです。
そこからの攻めザマァ展開もよかった。
帯に流されて生きてきた俺に〜とあるんですけど、圭吾目線の描写を読むと、流されていたのは怜王だけじゃないんですよね。
圭吾も家父長至上主義の家の末っ子で目立つと叩かれてきたから彼にも「どうせ自分は」みたいなところがあるし、人を心から信用できない。だけど、出会った怜王の底抜けに明るさと開けっぴろげな愛情に救われて圭吾もいつしか成長していた。そのことに気づいてから必死に怜王を探す圭吾に読んでるこちらも溜飲が下がりました 笑
また安西先生の作品が好きなりましたー!
もし、この作品を未読でこれを見ている方がいるなら、あなたが心底羨ましい。
ネタバレを見ずにいて欲しいという思いがあるので、核心に触れずに書こうと思います。
前作のラムスプリンガは青さの残るみずみずしい恋愛模様だとしたら、この作品はそれよりもっと熟成されていて、悲しいくらい優しく深いです。(年齢関係なく)人生経験豊富な人ほど刺さる作品だと思いました。
自分の心との向き合い方、そして、愛と献身の尊さをまざまざと見せつけられてしまい、しばらく身動きできませんでした。
思い出すだけで勝手に涙がこみ上げてしまう作品なんてそうそうお目にかかれない。
普遍的なテーマをこんなにも情感豊かに描いてくださった吾妻先生には感謝してもしきれないです。
できれば小冊子付きを買って欲しい。素晴らしいカーテンコールです。
何度でも記憶を失って1・2巻を通して読みたい。
この前の巻でも王道とレビューをしたんですが、今回も王道中の王道でかつてのフ○○レビの昼ドラ展開を見ているようです。
この展開3000回見た!みたいな、先がうっすらと読めてしまうストレートな展開って最近あんまり見かけなかったので、古巣に戻ってきたみたいな安心感をこの本で感じています 笑
王道は3000回見ても3001回目にその気持ちが褪せることなんてないです。良いものはいい。(あとこれは馬鹿にしてません。褒めてます)
α(圭騎)の親(母)の一方的な攻撃(身分の低いΩの分際でお前はこの家に相応しくないのよー!)→自分は彼に相応しくないと嘆くΩ(理玖)→心のケアをすることをおろそかにして去っていきそうな理玖を無理やりつがいにして体で関係を繋ごうとする短略的圭騎の暴走→死んだ理玖の目→からの大後悔時代突入!
いやー、最高です。これでもかと王道展開を浴びせてきます。
書き下ろしの蜜月な二人もすごくよかったー!
次の巻でも王道一直線を期待しております!
yoko先生の表紙に惹かれて購入(Amazon限定版にはペーパーがついてました)
容姿のせいで他の一族に嫁がなければならい受けと大国の皇弟の攻めが婚姻直前で出会い……という感じで始まります。
私は攻めがとにかく可愛らしいなと思いました。スパダリ属性だし、受けに一目惚れしてるのがこちら側は手に取るようにわかります。気持ちをうまく表現できない不器用さがたまらなくてニヤニヤしました。受けもただ守られるだけじゃない性格なので好感が持てます。お約束展開で受けのピンチもありますが、疲労するハラハラ感は少ないと思います。
流れでふたりが濡れ場を演じないといけないシーンがあったのですが、普通に致してるシーンよりもエッチに感じました。
終章の2ページがすごくいいです。いい終わり方だなって思いました。