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bokutachi no bl ron
私が読んだのは2016年発行の「俺たちのBL論」ですが、こちらに誘導されましたのでこちらで書きます。
芸人であり日本語学者であるサンキュータツオ氏と、邦画・時代劇研究家の春日太一氏の対談形式での書籍で、読みやすくあっという間に読んでしまいました。
内容は、BL読みであるタツオ氏が、BLには門外漢の春日氏にBLの本質、BLの読み方、BLの読者の頭の中で何が起きているのか、そんな事をレクチャーするという体裁。
まずタツオ氏はBL及び腐女子を持ち上げる。
BLというのは高度な知的遊戯なのだ、と。
それもいきなりハードル高いところからくる。
『鉛筆は消しゴムのことをどう思ってますか?』これを春日氏に問うわけです。
でもそれが効果的なんですよね。腐女子ってホモセックスにハアハアしてる痴女なんでしょ?という一般的な認識を、そうじゃないんだ、と外側から論破していく。
素直な生徒である春日氏は、偏見なしに腐女子の思考回路に感嘆していきます。
そして自分のフィールドである時代劇にBLの方法論を当てはめて新しい光が当たった、と自らをアップデートさせていく。そのあたりの春日氏の柔軟性は非常に見事。
さてこの辺は私も単にフンフンと読み進めてたわけですが、第7章で一気に面白くなった!
というのは、春日氏がいきなり自分が肉体的に男性性が弱くて今までセックスがプレッシャーだったとか言い出すわけです。
だから男根主義から離れたBLに親和性があった、受け視点でのエロに親和性があった、と。そこを告白してくる。
それはBLのこと教えてやんよ、のタツオ氏には無かった視点で、この地点において春日氏はタツオ氏に下克上してるわけ。タツオ氏を越えちゃう。
タツオ氏は、俺はゲイじゃないんでBLの絡みはエロ抜きだ、なんて逃げを用意してるんですよね。一方春日氏はBLの攻めみたいな女と出会って受けみたいになりたいときた。
腐男子タツオを遥かに越えて、ねじれ夢女子春日爆誕!って感じ。
私には7章が最高に面白かったです。