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kamisama no meshiya
念じて扉を開けると違う場所に通じている。
そう、異世界というものとも少し違う、不思議な場所に。
南の島のような風景の中、色鮮やかな鳥たちが舞い、そして住人は皆異形という、不思議な場所。
そこは、主人公である琳也の「逃げ場」なんです。
島で自分の「運命の相手」が見つかったと聞き、琳也は実世界の全てを捨てて、その島に移住することを決断します。
「運命の相手」剛毅が、軍人あがりの屈強な男だとは知らずに。
と、なんとも惹き込まれる世界観なんですよ。
最初こそ無理やりの関係ですが、すぐに剛毅は琳也を溺愛し始めます。
いやー、この剛毅がめちゃめちゃかっこいい攻めでして。
作る料理も美味しそうですし、強くて、ぶっきらぼうなのに優しい、という…パーフェクト攻め。
特に、実世界に戻ったとき、琳也の元クソ上司に制裁の鉄槌を下す場面は、琳也じゃなくてもキュンとなって惚れちゃいますよ。
ただ、ですね。
とても不思議な島の、不思議な文化に、琳也があまり違和感を抱いていません。
なので読んでいたら、この世界観、つられてサクっと受け入れている自分がいたのですが、抵抗感ありまくりの剛毅のほうが正常です。
読み進めても、なかなかこの世界のミステリアスな部分が明らかにされません。
異形たちの正体は?
どうして琳也は本来の世界とこの不思議な世界を行ったり来たりできるの?
剛毅がこの世界に呼ばれたのは、何故?
終盤になって、それらの謎が明かされるのですが…。
「うわぁ…」ってなりましたよ。
違和感は、ずっとありましたもんね。
不穏な空気がつきまとっていた、というか。
南国風のカラフルな背景と、この異世界の設定のダークさとの対比、ホントに素晴らしいと思いました。
この嫌な感じの終わり方、とても好き。
ダークファンタジーならではの、不安の余韻が残る感じがたまらないです。
こちら、しっかり作り込まれた世界観が魅力の異世界トリップものです。
異世界でワイルドなイケメンと飯屋さんと、ほのぼの甘々な作品に思えますよね?
これが、なかなか意表を突かれる展開やオチで、また、わりとダークな部分もあるんですよね・・・。
ちょっと苦味が残るような、なんともミステリアスな読後感です。
内容ですが、変則的な異世界トリップものです。あと、主人公成長ものでもあります。
自身の運命の対である相手と暮らす為、祖父から教えて貰った異界へと渡って来た琳也。
可愛い嫁を想像していたのに、そこにいたのは精悍な男・剛毅。
また、戸惑う琳也を、不機嫌丸出しの剛毅は無理矢理抱きます。
可愛い嫁と暮らすハズが、男に犯されてショックを受ける琳也。
しかし、剛毅の意外な面倒見の良さや、彼の作る料理の美味しさに徐々に打ち解けてゆきー・・・と言うものです。
こちら、世界観がかなり面白くて、表紙からも分かる通りエキゾチックな南国モード。
また、そこで暮らすのは異形達。
そんな中、琳也達は祖父の飯屋を引き継ぎ、異形相手にご飯を提供しと言う流れです。
ちなみに、琳也は自分の意志で異界と現世を行ったり来たり出来ます。
最初こそ強姦から始まった二人ですが、頼りがいがあり面倒見のよい剛毅に、ちょいヘタレで役立たずながら、なんだか人を和ませる琳也。
二人で出す料理を考え、一緒に下拵えし、剛毅が料理を作って琳也が給仕と言う一連の展開がほのぼのします。
わりと無愛想で言葉はキツイのですが、何のかんの言いつつ剛毅は琳也に甘いんですよね。大切にされてます。
また、素直で隠し事の出来ない琳也。
剛毅への好意がダダ漏れの言動が可愛いです。彼はちょい危なかっしい所もございまして、これは剛毅も過保護になるわーと。
で、夜中になると魘される剛毅。
実は「よくないもの」に取り憑かれていて・・・と不穏な展開。
序盤ではかなり不機嫌で、琳也を強姦しと最悪な印象だった剛毅。
いきなり見知らぬ異界に飛ばされ、また得体の知れない異形に取り憑かれと、かなり追い詰められていた事が分かってきます。
最初の彼がイレギュラーだっただけで、本来の剛毅はこの甘い方なんだなと・・・。
あと、こちら主人公成長もの。
実は序盤の琳也ですが、かなり甘ったれた事を言ってまして、私はイラッとした部分があるのです。
そんな彼が徐々に変わり、剛毅を助けようと雄々しく立ち上がる。
愛する人を守る為、立ち上がる男は格好いいよと!!
全て丸く収まり、すっかり油断しきってからの驚きの事実が分かります。
どんでん返しと言うんですかね。
これ、私はなかなかゾッとさせられました。背筋が寒くなる感じ。
そんなワケで、ハッピーエンドなのですが苦味が残るようなラストです。
とりあえず、続編があるなら剛毅が大変そうだと言う事だけ。
かなり世界観が面白いので、ファンタジー好きな方はぜひチェックして下さい。
今回は異世に召喚された元軍人と
祖父の飯屋再開を目指す青年のお話です。
攻様が召喚された異世界で
受様の伴侶となるまで。
受様は父を知らず母には顧みられず
じいちゃん子として育ちます。
受様の祖父は不思議な人で
トライバル・タトゥーに似た
片翼だけの妙な痣がありました。
その痣は運命に結びつけられた
伴侶を示す特別なモノであり
祖父は運命で結ばれた祖母と結ばれ
異世界で飯屋をしていたため
同じ痣を持つ受様は幼い頃から
祖父の飯屋のある異界に馴染み
自分にも運命の相手がいるはずと
思って育ちます。
長じて大学を出て就職しますが
上司が小言や叱責を浴び続けるのは
自分が普通の人達とは違っているせいだと
頑張り続けます。
しかし、
その上司の言動は常軌を逸していて
退職にまで追いやられてしまうのです。
そんな時に異界から
自分の延命の相手である嫁が見つかった
との知らせを受けた受様は
祖父の飯屋を再開しようと決意し、
嬉々として異界に渡りますが
そこにいたのは可愛い嫁さんではなく
褐色で実に良い躯をした男性でした。
彼こそが今回の攻様です♪
攻様は底なしの洞のような眼をした男で
人間らしい温かみを欠片も感じられず
明らかに異界にいる今の状況に
怒りを露わにしていました。
どうやら島のオウムに
受様の祖父の店に案内されて
飯屋をしろと言われた事にも
納得していないようです。
その上、
受様の祖父母の話を聞いた攻様は
受様に強引に手を出してきたのです。
攻様は本当に受様の運命の相手なの!?
受様の相手として召喚された攻様が
状況を受けてれ受様とともに
神様の飯屋となるまでを描いたお話です。
祖父に連れられてきた頃は
日々暮らしていた日本と異界を
自由に行き来できた受様は
現代日本より異界での暮らしが
大好きでしたが
なぜか今回は自由な行き来が出来ず
いつもは親切な異界人たちも
自分を凌辱した攻様から
受様を匿ってはくれません。
迎えに来た攻様について
仕方なく祖父の家に帰った受様に
攻様が作ってくれたご飯は
とても美味しいものでした。
攻様は米国在住の日系アメリカ人で
異界に来た理由も判らないまま
元の暮らしに帰る術も持たず
夜には悪夢に苛まれていて
不機嫌MAXだったのです。
どうしようもない状況下で
共に飯屋を始めた2人は
少しづつ打ち解けていきます。
そして2人が打ち解けていく中で
それぞれの過去を知り
徐々に惹かれ合ってきます。
受様の受けた元上司のパワハラに
攻様が天誅を下し
攻様が苛まれた過去の痛みを
受様が払拭したり
それぞれが異界の地で
お互いの手を取る事を選び取るまで
どんな展開が待ち受けているのか
ワクワクし通しでした♪
最後の最後に受様が信じている
運命の相手のお話は実は…
というドンデン返しがあり
原色の鳥達が集い
華やかな花が咲く南国の地が
見た目通りではないという展開は
ある意味、
受様が凌辱される展開よりも
とってもコワいです。
でも、
そんな世界観が成瀬先生らしくて
とっても面白かったです (^O^)/
天然属性だからといって
芯が弱いわけではないのです。
一見打たれ弱い受様より
強引で押しの強い攻様のほうが
ここぞという時には意外にヘタレさんで
お互いにないモノをお互いが補えるなら
それは正しく運命の相手なのかな。
これからは攻様の腕で
飯屋は繁盛間違いなしでしょう。
今回は異世界トリップ繋がりで
野羊まひろさん『竜王様のお気に入り!』を
おススメです。
世界観がしっかりしてて良かったです♪
実に不思議な手触りのお話です。
異形の者(半裸で木の仮面を被っているとか、二足歩行の熊だとか、話す鳥だとか)が暮らす南洋っぽい島が舞台です。人間の生活に馴染めない琳也は会社を辞め、この島で祖父が開いていた飯屋を再開しようとアパートの押し入れを通ってやって来ます。島には琳也の『運命の伴侶』が待っているはずでした。片翼の翼の印が、琳也の背中と対照の位置にあるはずの『お嫁さん』です。しかし、そこに居たのは美しいけれど、たくましく凶暴な(?)男性で……
読み始めたのが『昨夜、ふとんの中で』だったんですけれど、つらつら読もうとしたら舞台設定が理解出来ない!寝ぼけていた所為もありますが、2、3回読み直しちゃった。お話の始まりはかなり複雑です。
後になって、この辺をちょっと我慢してちゃんと理解してから読み進んで良かったと思いましたよ。
とにかく『不思議』が続くんです。
島に人間は琳也と彼の『お嫁さん』の剛毅しかいないし、何らかの必要があればどこにでも現代日本に帰るための扉があるし。
そもそも琳也の祖父が何故この島で飯屋を開いていたのかが解らないのです。
琳也は両親に捨てられて祖父に育てられたので、小さな頃からこの状態に慣れ親しんで来たのでなんの疑問も持っていません。
だけど読者の私と、気づいたらこの島にいた剛毅はいつでも「?」なんです。
ただですね、この「?」は不快なものではないです。
むしろ、先を読み進める原動力になるというか、そういった類のもの。
途中からはこの島の謎が知りたい所為でグイグイ読めました。
『お嫁さん』を可愛がろうと思っていた琳也ですが、無愛想で怖い剛毅にやられてしまいます。
そんなの嫌だと思っていても琳也は元の世界よりもこの島で暮らしたい。
剛毅は元の世界に戻るために、飯屋で代金として支払われる『どんな願いも叶える石』が欲しい。
2人の利害が一致したため、彼らは飯屋を開きます。
一緒に暮らしているうちに、互いの距離が近づいていくのはお約束。
そんな中で、ある出来事があって、琳也は剛毅が『自分のためにしてくれたこと』に大きく心を動かされます。だって、今まで彼のために何かをしてくれたのは、じいちゃんだけだったので。
琳也の剛毅を見る目は一気に甘いものになります。それと同時に二人の関係も。
島に来てから悪夢に悩まされる剛毅に『よくないもの』が憑いていることを知った琳也は、剛毅の夢の中でその『よくないもの』と戦い、剛毅を救おうとします。でも、夢の中で傷つくと現実でも怪我をしているんですね。剛毅は弱っちい琳也が戦うことを止めようとしますが、琳也は「好きな人のために」頑張ろうとします。さて……
うーん、お話が複雑なので紹介していると長くなっちゃうなぁ。
クライマックスでの琳也の決意はなかなかのもので「泣かせてくれるじゃないの」と思いましたよ。
でもね、もっとすごいのは、島の秘密が明らかになった後の剛毅の選択!
この愛は深いと思いましたよ。
これ『全てを捨ててまで愛する』ってことだと、私は思ったの。
『愛が心身共に深まると、飯屋の側に生えている木に得も言われぬほど美しく香り高い花が咲く』というエピソードと同時に、剛毅の決断はとてもとてもロマンティックに感じました。
……しかし、この世の理と異なる次元のものは怖いなぁ。
でも、そういう存在に畏怖を感じてる方が正しい様な気もしたんですよねぇ。
不思議で、切なく、幸せで、怖いこのお話。
「ご一読の価値あり!」と叫ばせていただきます。
不思議な世界だったなぁ〜〜。
鳥好きなので、パラダイスです。
ただ、それぞれに抱えたものは重かった。
ご飯は美味しそうで、変な生き物がいっぱいで、世界観を楽しみました。
剛毅さんが、琳也くんと生きていくと決めた後、もうちょい余韻が欲しかったかな。
唐突に終わった感じがしました。
極彩色な表紙にひかれて購入。鳥たちは可愛かったのですが、びびりな私には少し怖く感じるまま終わってしまって、「え、いいの・・・?」という気持ちなので中立より萌です。畏怖の念を抱くかもしれないファンタジー、本編260Pほど+先生のあとがきです。最初無理矢理があるのとパワハラエピソードがあるので、一応お伝えしておきます。
お話は引っ越しの準備が終わった琳也の元にマメルリハが「りんりん、おしたく、おわった?」と迎えにくるところから始まります。玄関ではなく押し入れに向かって襖を開けるとそこは南国の島で・・・と続きます。
攻め受け以外の登場人物は
鳥たち、隣人のクマちゃん、人間界での上司(くそ)、人外色々 です。
****複雑な気持ちの部分 読む予定の人は避けた方がよいかと思います
鳥たちは可愛いんですが。
最後の方で、「え!そうくる?!」という展開で、そして攻めの選択結果に「え、それでいいの!???」と思ったので、怖い&なんとなく消化不良な心地です。
攻めさんはフェロモンむんむん格好いいので大好きです。(最初無理矢理なので、怒な部分もあるのですが、カッコよさに負けた)その攻めさんが最後、なんて楽観的な!!!と驚きの選択をしたもので・・・いや、どうなれば良かったかといわれると、困るし、神様やっつける訳にもいかないし・・・
うーむ、不思議なテイストなまま読了した本でした。鳥は可愛いんだけどなあ。かの先生らしいという気持ちも少々。この不思議なテイストを楽しめると良いかも。