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sashidase saraba ataeraren
あ、もう、好き。
この、色々ややこしく考えてしまう受けさん。
ねじくれてこんがらがった方向に進んで行くお話。
だけど、気持ちは真直ぐなの。
愛だけは、直球ど真ん中の剛速球なの。
これがくもはばき節だと思うのですよ。
高太郎は幼稚園のおゆうぎ会で『眠れる森の美女』の王子を演じている2歳上の業平(何て名前だ!)を見て、恋を自覚するのです。
このシーンの凄いのは『王子が一生懸命闘っているのにぐ~すか寝ているお姫様って!自分が王子様を守る!』って、高太郎が思う所なんです。そんでコーくんは舞台に乱入し王子が闘っているドラゴンをポカポカ叩いてしまうのですが。
大人に笑われ、両親からも軽い小言をもらったため、押し入れにひきこもって泣いている高太郎を迎えに来て「大人になってもずっと一緒」と、結婚の約束をした業平は、長じて役者になります。高太郎はずっと業平に恋をし続けていて、幼い頃の約束を盾に取り、大学入学で上京して来ます。
業平が好きで好きでたまらない高太郎と、高太郎をずっと側に置いておきたいと思いつつも別の女の子に手を出し続けてきた業平。2人の関係はどうなっていくのでしょう?……というお話。
小説花丸に4回連載だったのでしょう。
第3話、起承転結の『転』の部分が思っていたのよりもかなり『転』でした。
お互いに好き同士でも、私があなたを好きな『好き』と、あなたが私を好きな『好き』は同じものなのでしょうか?っていう所に行っちゃったんですよ。
「ああ、確かにそれはあるよなー」って思いまして。
『好き』の量なら2人とも互いに負けない位、持っているんですね。
でも、その方向性は果たして同じなのかと言われれば、高太郎は疑問を感じるのです。
性指向が違えば、業平がどんなに高太郎を大切に思っていたとしても、高太郎が望んでいることを要求するのは業平にとっては不幸にあたるんじゃないか?ということですね。
BLというか『やおい』というものは『男性同士の様々な関係、例えば友人であったりライバルであったりするような関係を、恋愛関係に置き換えていく遊び』であると聞いたことがあります。
このお約束からいけば一般的なBLで問われるのって『好きの量』なんです。
でも、ばきさんのお話の受けさまは『好きの質』について考えてしまうのよね。
こういう所が好きなんですわ。
恋する相手のことだけじゃなくて、自分を振り回す恋そのものについても考えちゃうんですよ。その後、ぐるっと回って「好きな相手をこんなに面倒くさい『自分の恋』なんてものに巻き込んで良いのか?」と考えちゃう。
もう何度も書きますが、こういう所が私、たまらなく好きなんですわ。
恋にうっとりするだけじゃなく、相手がいて、その相手を固執するほど好きな自分がいて、どうしてそうなのか、どうやったらそこから抜け出せるのか、色々考えてやってみて……高太郎は七転八倒します。
そんな頑張る主人公が好きな方は(ラストの業平の言葉も含めて)大変面白く読めるお話だと思うんですよねー。