イラスト入り
indeki
電子の短編小説。
架空の敵対国を舞台にしたオメガバースです。
シアヴェシュ王国の王子・ナルサスは、士官たちと共に敵対国・レム公国に捕えられた。
アルファが支配階級である通常の国々と異なり、レム公国ではオメガが珍重され大公や貴族はオメガのみ、アルファは奴隷か生殖のための存在になっている…
…という通常のオメガバース作品とは正反対の設定。
さて、ナルサスをはじめシアヴェシュのα士官たちは皆奴隷として捕えられたが、ナルサスだけはレムの第3公子・キアル個人の奴隷に。
キアルは早速ナルサスの肉体に戯れてくるが、ナルサスはキアルがあまりにも幼く見えて、嫌悪のあまりキアルを「淫乱」と侮辱してしまう。
ところで。
ナルサスはただ捕まったのではありません。
レム公国の高位のオメガを籠絡するという命を持ってのいわば潜入。
だからキアルを抱いて自分なしではいられないようにすればいいのだけれど、高慢そうに見えてどこかいじらしいキアルにそんな事をする気になれず。
しかし、数日ののち発情香を振り撒いてナルサスに跨ってくるキアルに理性が吹き飛んで…
とても短い作品なのに、国々の関係性、レム公国の強み、ナルサスとキアルの人物像、何よりオメガバースとしての展開、などなどキッチリ読ませます。素晴らしい。
さて。
キアルはたまたまナルサスを見初めたのではありませんよ。
いかに権力を持っているとはいえ、子を産む道具となりかねない自分のたった一つの健気な願い。
報われた想いと、2人の未来、国々の未来が掛かったエンディングは感動的です。