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koi ni nurete
作家さんの新作発表
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千絃は純粋に涼一に憧れていて、好きだったのに。
諒一は最初から目的があって千絃に近づく。
両親を亡くし、親戚の家で冷めて暮らす千絃が唯一憧れを抱いたのが諒一。
ある夏の日、久しぶりに再会した二人は急接近し、恋人同士になる。
優しい言葉で、巧みに千絃の心を捕まえる諒一は、ゲームのように、千絃が自分に堕ちる様を楽しんでいた。
そして、自分を信じて疑わない千絃を利用し、父親への復習の道具に利用した。
学校経営者である諒一の父親は、諒一に理事の座を譲り経営を任せようとしていたが、親子の間には深い確執がある。
千絃とセックスしている写真をばら撒き、わざと父親に恥をかかせる諒一。
諒一の復習の為に利用された事を知ってしまった千絃は、深く傷つき、諒一から逃げるように遠くの大学へ進学してしまう。
諒一との過去を断ち切ろうと、連絡用の携帯を捨て、届いた手紙も読まずに捨て、一切の連絡経路を断つ。
千絃は諒一を忘れる事だけに専念するのだが、ある日突然諒一が現れて、復縁をせまる。
結局、諒一が強引にせまって、千絃はすべてを許してしまうのです。
「そこはもうちょっとねばれよ」と思うほど、軽く陥落しちゃうのが惜しかった。
前半は、腹黒い諒一が書かれていて、後半は千絃の切ない気持ちが書かれています。
淡々とした語り口は、お互いの心の冷めた感じがよく出ていますが、もう少し深みも欲しいと思ってしまいました。
ドロドロした話と思いそうですが、そうでもないです。わりとあっさりしてましたし、ラストは甘々です。
千絃(受け)が主人公の「冷めない熱に溺れて」と表題作の2作品です。
3:1の長さで表題作の方が短いというのがちょっと面白いです。
きたざわ先生のタイトルは、情緒的で素敵なのですが、その分直接的に作品の内容を思い浮かべるものでないという印象があるのですが、この作品もそんな感じです。「おぼれて」「濡れて」と付いていても池やプールでばっしゃーんというわけではありません!
「冷めない熱に溺れて」で、千絃は諒一(攻め)に騙されていたと気が付いて離れますが、諒一が追いかけてきて、実は本当に好きなんだと告白して恋人同士になります。
「恋に濡れて」は、いとこの晄に隠れて、諒一と付き合うことに申し訳なく思いつつも、幸せでもある千絃の話です。
結局、好きになった方が弱いんだなぁという感想です。
諒一は目的を達するために千絃を利用する酷い男なのですが、千絃は傷ついたけれど、好きだから諒一を許して受け入れてしまう。そんな恋の弱さを感じました。
諒一も「恋に濡れて」で千絃を好きだという思いがあふれているので、ちょっと安心しました。でも諒一からの目線の方が千絃の魅力が分かって良かったかも。続編より晄が主役のスピンオフ作品の方が面白そうだと思いました。
諒一が主導で、熱にさぁーと流されるという千絃の雰囲気が良く出ていて、北畠先生のイラストは素敵でした。最後の視線をかわす二人はあっさりしつつも色っぽかったです!
設定やストーリーは結構好きなんです。終始静謐な雰囲気で進むのもいいと思う。
ただ、肝心のキャラクターがどうにもダメでした。
諒一(攻)は、きたざわさんの年の差(年上攻)にはよくいる『大人げない』男。いつものきたざわさんパターンとはちょっと方向性が違う気はしましたが、それでも『大人げない・ズルイ』のには変わりないです。
千絃(受)は『人形のような(とりわけ容姿)』と描写されるままに温度の低いネガティブなキャラクター。別にそれはまったく苦手要素ではないですが、魅力も感じませんでした。
とにかく、メインの2人に好感を持てなかったので、せっかくの誤解・すれ違いの切なさも醒めた目で見てしまいました。残念です。
あとは、北畠さんのイラスト。カラーは綺麗なんですが、本文のモノクロはいつもながらキャラクターに生気がなく、美貌のイメージもなかったですね。
続編『夜に溺れて』へ。