お買い得商品、セール品、中古品も随時開催中
冷酷な医師(古谷)×孤独な研修医(白井)のシリーズ、全3冊。
共に傷を抱えた二人の医師が、互いにかけがえのない存在になるまでの推移を、毒と甘美をブレンドしつつ描かれたシリアスドラマ。
初出から10年以上経ちますが、初めて読んだときのあの鳥肌が立つような感覚は、今でも忘れられません。号泣、といったように心を激しく揺さぶられたわけではありませんが、麻薬のような中毒性にとらえられ、どうしても手放せないシリーズなのです。
家族から疎外され続け深い孤独を抱えた研修医・白井(24)と、父を亡くして以来根深い人間不信に陥った医師・古谷(36)。
酒の力で関係をもった白井を、古谷が脅迫する形で同居に持ち込むのですが、とにかくこの古谷という男は恐ろしくも魅惑的です。
力ずくで手に入れておきながらその動機は愛情などではなく、白井への侮蔑的な好奇と、男の中に潜むサディズムに突き動かされたという、どこまでも冷酷な支配者。
酷薄な笑みと穏やかだが抵抗を許さない口調で、白井を服従させます。
対して白井は、抑圧された人間特有の暗い目をもつ、常に下を向いているタイプの人間。
母譲りの美貌もかすむほどの卑屈な言動は、周囲の人間と古谷の嗜虐性を煽ります。
古谷に逆らえず、愛人のような玩具のような…所有物というのが一番近いような歪な存在。愛情を介さない奇妙な同居を続けながら白井は、本人の意志に反して、絡めとられるように古谷に惹かれてしまいます。
ページが進むにつれ明かされる彼らの生い立ちと、それによって負った深い傷。
何より彼らの人間性と不健全だった関係が、終盤に向かって変化していく様はとにかく引き込まれます。情感にあふれたかわいさんの筆致が素晴らしい。
これが初めての単行本(旧ビブロス版)だというのが驚きです。
それから、舞台の神戸の情景がとても豊かに描写されているので、地元の方は特に楽しめると思います。
この1冊だけでも話は完結しているのですが、次巻では更に彼らの関係がより深いものになります。
ぜひとも続編と短編集の2冊も合わせて読んで欲しい名作です。
不思議と白井が気にかかり、白井を自分のそばに置きたくなった古谷が、白井に一緒に住むように言うところ!気の弱い白井はすぐに承諾するだろうと古谷は踏んでいたのに、言うことをきかない。
泳げない白井をプールに突き飛ばして意地悪(おいおい、泳げない人間を水深4メートルのプールに突き飛ばすのは殺意ありだろう・・)するあたり・・古谷の異常な執着がかいまみえて、気持ちよくぞっとしました。(どんなだよう。。笑)
医者ものは、ちょっと苦手だったのですが・・。リアルさが鼻につかず良い感じです。
しかもいつも自身なげでうつむいてばかりの白井が、古谷の廻りに他人がいるだけでいつしか軽い嫉妬をおぼえるようになり階段の踊り場から一階を歩く古谷を熱っぽく見つめるシーンがいいです。
古谷に惹かれていく自分に動揺し、強い恋愛感情を覚えるようになるまでの張りつめたシーンはこちらも、どきどきさせられます。
切ないいいお話です!
捕獲攻と捕獲される受とカップリングだけ見れば一見王道ですが、それぞれの生い立ちからくる性格がどちらもなかなか一筋縄ではいかないというか複雑なものがありそこが読み応えに繋がってます。
タイトルのエゴイストは古谷[攻]が愛用している香水名、その名にふさわしい傲慢さを持つ古谷。
彼が勤める病院に研修医として現れるのが、美貌でありながら気弱で保護欲と被虐心を刺激する様な青年白井[受]
彼はゲイでその事をコンプレックスに思っており、また不義の子という理由から家族からも疎まれて孤独に育ってきた為にどこかしら愛情に飢えてもいます。
何を考えているか分からない古谷の強引さに怯えながらも魅かれていく白井。
おどおどしている白井が時折見せる妖艶な色気が妙に良いです、本人が無意識な所がなんつーかもっそいツボ。
白井は泳げないんですが、同居を拒む彼を古谷はプールに無理矢理落とし半ば脅して承諾させます。
強引攻はやっぱ萌える~~萌えますな!!
1巻目が身勝手で強引だからこそ、2巻以降に生きてくるシーンも多いのでその辺も上手いなーと思うですよ。
彼等の関係が変化していく様が興味深いので、続けて読むのをオススメします。
電子書籍で読了。挿絵なし。あとがきあり。
初出が1996年でかわいさんの初単行本なのですね。
『いとし、いとしという心』が好きだと知った友人が「それならこれを読まなきゃダメッ!」と半ば強引に薦めてくれたのですが、読んで良かったわ。白井の『薄幸の美女(美人ではなく美女だと思うのよね)ぶり』が半端ない。おまけにエロスのかほりが凄い。むんむんと香るのではなく、仄かだけれど強い印象を残す香り。忘れ得ない香り。
神戸の大手市立病院で循環器科医長をしている古谷の元に白井は研修医として配属されます。古谷は大学病院から破格の待遇で引抜かれた、医師としての腕も権力闘争での処世術も長けている人。おまけにシャネルのエゴイストの香りが似合うほどの容姿の持ち主で、一夜のお相手にも不自由することがありません(「情事の翌日にはゲランのアビ・ルージュをつけるのよ」と看護師らに噂されているのですが、それが厭味なくやれるほどの美貌)。対する白井は、雛人形の様におっとりとした美しさを持っているのですが、それを覆い隠すほど存在感が薄く、凡庸。ゲイであり、不義の子として家族に疎まれて育った彼は世間に怯えていて、隠れる様に生きていこうとしている人です。古谷は白井を「つまらない男」と思いながらも気にかかります。幾度も辛辣な言葉を投げかけ、豪雨のため彼を送っていった日には、隠してあったゲイ雑誌をベッドの上にばらまいたりもします。白井は古谷を恐れながらも、内科医局の飲み会の日、酔いつぶれた勢いで自分の生い立ちを告白し、古谷と関係を持ちます。その後、白井は古谷に自分の家で生活することを強いられ、何とかしてそれを拒否しようとするのですが、暴力的とも言える手段で強要され従わざるを得ません。しかし、古谷が何故自分と暮らしたがるのか解らないまま、白井は古谷への複雑な想いに翻弄される様になって……
私、傲慢男攻めって実はあまり好きではないのです。女性っぽい受けもどっちかって言えばダメ。
この二人も当初はそんな感じなのですけれど、読み進めていくあらあら、傲慢だと思っていた男が過去の事件から思わぬ脆さを持っている『不器用くん』だったり、おどおどしていた受けが実はしなやかな強さを身のうちに隠していたりする。
それが色っぽいのです。
時折覗くそのいろにクラクラして、タイトル通りむせかえる香りにやられてしまいました。
エロい話ではなく、色気のあるお話がお好きな姐さま方は、是非ご一読を。
京都弁も素敵よ。
文章はやはりデビュー当時から素晴らしかったのだなと思いました。
全体的に白井くんが少し女の子っぽすぎるかなと思ったところもありましたが、育った環境も複雑ですし、古谷の強引さとのバランスはこのくらい女々しい方がうまくとれるのかなとも思いました。
親族に対していつも縮こまっていた白井が、1巻の最後で次兄に対してはっきりと抗議することができたところは個人的にスカッとしました。
2巻は、やはり古谷に対する不安に耐えきれず、浮気で逃げてしまった白井くんがちょっといただけませんでしたが、この件は古谷と、古谷の親友でもあり白井の浮気相手でもある中西の信頼関係にただただ救われた感じですね。個人的に、古谷と付きあっていた女医の長谷のことをずっと好きで、でも2人のことを考えて自分の想いに蓋をして、離れたところから見守っていた木村が優しくてすごく懐の深い人だと思うので、そんな木村と結婚した長谷さんには、早く古谷を忘れて、古谷が自分の彼女に対する想いとの深さの差を感じて身を引くくらい深い彼の想いにきちんとこたえてほしいです。
1、2巻通して受けも攻めもそれぞれの過去のせいでどこか欠陥があり、それをふたりで取り戻していく再生の物語ともいえると思います。
3巻は短編集で、2巻の後の話も何編かありますが、1,2巻で出てきた白井や古谷の過去をより詳しく掘り下げたものが多かったです。1、2巻までを読んでこの2人が大好きでもっとこの2人を見ていたい!過去のことももっと詳しく知りたい!という方以外は買わなくても2巻まででストーリー自体は完結しているといえると思います。
古い作品なのでイラストは少し時代を感じる雰囲気ですが、文章で古さを感じさせないところはさすがかわい先生という感じです。
1巻だけでもまとまりはよく、続きが気になりすぎてしょうがないという感じではないので、まずは自分がはまれるか試したいという方はいきなり三冊買わなくても、とりあえず1巻だけ買って読んでみてもいいと思います。
かなり前の作品で、だからこそなのかもしれませんが、最近のbl作品とは一線を画す、全体からにじみ出てくるような色っぽさと、うまくいえませんが何か圧倒的な雰囲気のある作品でした。これがデビュー作なんてかわい先生はただただ凄いです・・。
攻めで、強引で自信あふれる先輩医師である古谷が、いつも使っている香水に関する描写がとにかく色っぽかったです。特に、古谷が情事の翌日につけると看護師たちに噂されている香水を、朝、受けの白井の首すじをなぞるようにつーっとつけるところや、白井が自分から香るそれに一日中惑わされているところがもう・・。古谷が大切にしている家という空間の描写も素晴らしかったです。かわい先生の情景描写は本当に群を抜いていると思います。
京言葉や瓜実顔が色っぽい受けの白井の、育った環境に影響される精神的な不安定さも、家族の人間関係やそのそれぞれの心情とともに丁寧に描写されていて、深みがあり、不自然さと無理矢理な感じがない設定になっています。臆病で控えめでありながら、時折見せる内に秘めている強さは、古谷を救ったり、同僚の悪事を暴いたりと、古谷が予想もできない行動を起こすので、そういった点がより古谷を放さない魅力となっているんだなと思います。
2人で過ごす内に、どちらか片方ではなく、お互いが変わっていく様が良かったです。その変わり様も駆け足な感じや物足りなさを感じさせず、リアルな心情の変化やその原因となる出来事を丁寧に描写されているので、満足感が高かったです。
とにかく他にはない雰囲気の作品なので、定期的に読み返したくなります。
シリーズ三作。
この攻めは確信犯。
ちょっと悪いヤツ(笑)
攻めもちょっと可哀想な、壊れちゃってる人間なんで。
こういう組み合わせは結構好きです(笑)
そして受けの方は「暗い」なんてもんじゃない。
医者なんだから、もうちょっと前向きでもいいんじゃないかと思うものの、エリートなんて健康的じゃないのかもね。
母親の不倫絡みで出きた望まれない存在。
自分の居場所がない「受け」が大好きなので……
満足度 : ★★★★☆
なんというか、かわいさんの、特に初期の作品は、静かで仄暗くて、官能的な独特の雰囲気がありますね。
傲慢でドSな医師の攻め様、古谷和臣。有名大学の医学部出の医者で、学生時代はアメフトの選手だった。何でもできるし、男の理想像と評されるほど美しく、ボンボン育ち。
それが、父の死後の醜い財産争いや、その後の生活苦などで、
素晴らしく美しく、傲慢で、人の心を操る術を心得た、最強のご主人さまキャラに!
ビバ!生活苦!生活苦でご主人さまが生成されるなら、不況もまた素敵でございます。
この古谷、自分の下についた研修医、白井が、おとなしく、うつむきがちで、卑屈な態度なのにイライラし、加虐心と好奇心を満たすためだけに、仔羊をいたぶるように冷たい言葉で白井を追い詰め、やがて白井が同性愛的な性癖をひた隠しにしていると気付くと、
ベッドの上に白井が隠していたゲイ雑誌をばらまいて帰ったり!
プールに突き落としたうえ、同居を承諾するまで水に沈めて脅したり!
病院で夜勤の白井をソノ気にさせて、何もせずに帰ったり!
「一人でいる夜は長いよ・・・おやすみ」という凄絶な微笑み付きで(笑)。
そして始まった同居生活ではとにかくずーーーーーっと命令形!
「飲みなさい」「来なさい」「読みなさい。いいね。」
「そのネクタイ、色も柄もひどい。すぐに換えてきなさい。」
ひどいのはどっちだ。 でも、イイ!! あぁ罪な男・・・・
で、
白井は小動物のようにびくびくしながら、もちろん抗えず。。。
S様の常套手段、脅しと命令の間に挟み込まれる、僅かな優しさと快楽に翻弄されるうちに、
どんどん強く、色っぽくなって、やがて古谷を包み込むような存在になってしまうのです。
このシリーズ、とにかくいいのは、この哀れな子羊、白井が後半だんだんと小気味よくご主人さま古谷を振り回すからでして。
一作目では脱走し、二作目ではなんと!古谷の悪友と浮気を!
「もう、浮気なんか、しちゃいけないよ・・・」
このセリフだけでいいからCDにして売り出してくれませんかね・・・・