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ame ga yandara
作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます
小川さんの作品は、派手さがないのが良いところだと思っております。
以前読んだ『恋心』と雰囲気は似ているかなあ。
しかしこちら、十年以上前の作品なんですよ。
でもその頃にはもう携帯もありましたし、時代設定が古いという気はしませんでしたから違和感はなかったですね。
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受けの郁は、実家で両親、祖母と暮らすフリーの翻訳家、25歳。
妻子持ちの高橋へ不倫と理解しながらも恋する気持ちを止められない、不器用なゲイの青年。
攻めは中国で学び実家の漢方薬局を継いだ29歳の漢方薬剤師、雑賀。
ストレートな物言いと性格で飄々としており、彼もまたゲイです。
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祖母の付き添いで訪れた漢方薬局で初めて顔を合わせた雑賀は、郁にとっては愛想はないが真摯に患者へと向き合う男というただそれだけの存在。
そこで終わるはずの関係でした。
が、妻子のため、そして中途半端な状態の郁のために別れを切り出した高橋とのやりとりを偶然目撃されてしまいます。
そんなバツの悪い彼と二度と会いたくないと思っていたにも関わらず、強引な祖母の遣いで再び薬局を訪ねなければならなくなった郁。
その時、まさか雑賀と体を重ねることになるとは思ってもおらず…
別れたくないと追い縋るところってあまりBLで描写されることがないと思うので、その辺りひじょうに珍しい作品でした。
郁はゲイということもあり、人を深く自分の内側へ入れるのを怖がる臆病な子ですが、それでも高橋を放したくないという必死さがとても良かった。
そしてそんな郁を癒したい、笑顔でいさせたいという優しく強引な雑賀も。
このお話はもちろん雑賀と郁のハッピーエンド。
ただページが割かれているのは、郁が抱え続けてきた高橋への恋にピリオドを打つ決心をつけ、前を向くことが少しでも出来るようになるまでで、その辺りも異色ですね。
郁の心情はひじょうにリアルで、恋愛で同様の気持ちを経験されたことのある方も多いのではないかなぁと思いました。
連絡が来た時の期待と不安の入り混じった心持ちや、目に見える形で終わらせることの出来ない恋を終わらせることは難しいことや。
その辺り、小川さんはかなり主人公側へ気持ちを添わせ書かれていると思います。
で、そのまま終わらせてくれても良かったと思うんですよね。
淡々と受けの心情を書いた物語として。
地味ではあってもこういう作品もはあって良いよなあと。
ただ実は、終盤の終盤にいきなりセンセーショナルな過去を小川さんぶっこんでらして…(苦笑
これは実際、個人的には不要だったように思います。
郁は不倫であるけれど、本当に相手のことを愛しているんです。ましてや不倫相手の高橋の家庭を壊そうとか、奪い取ってやりたいなんて考えたくないと思う消極的な青年です。
相手の高橋も、郁と分かれるのがつらいけど、奥さんも娘もやっぱり大切にしたいという、優柔不断のへたれです。
そんな高橋からの電話をただ待つだけの郁に、やさしくアプローチする雑賀。本当に押し付けはなく、郁の気持ちを優先してくれて、それでいて、郁がつらくないよう心休まるところにさりげなくつれていったり。。
郁の気持ちが、高橋と雑賀と両方にゆれるのが・・いいですねえ。
高橋もあきらめられない、でも、自分を甘やかしてくれて一緒にいてくれる雑賀のことも気にかかる。
無理やりこっちを好きになせる強引キャラがおおいなか、こういう攻めは貴重でしょう。世の男性諸君!見習ってくれたまえ!