イラスト入り
usagi to ookami
電子短編。
中原先生作品の本作は、なんと「ぬいぐるみBL」!
主人公は古ぼけたうさぎのぬいぐるみ、ハク。
既に飽きられ、クローゼットに放り込まれて忘れられたぼろぬいぐるみ。
一方、新しく買ってこられたドイツ製の高価な狼のぬいぐるみがやってくる。
彼は「スター」で、ご主人は彼ばかりを可愛がるし古いおもちゃたちは彼に擦り寄る。
卑屈なハクは近づく事も出来ず遠巻きにしてるだけ…
しかし。
…と始まるのですが、チヤホヤされる事に疲れ切った狼のヴォルフが大人しいハクに、まず苛立ちを一方的にぶつけ次第に癒しを感じるようになる姿を性愛を絡めて描いていくんだけど。
ぬいぐるみ同士のHって⁉︎
これがなんとも面白いというか。さすがです。
こう書くか、という。
そこは読んでいただくとして、その後ハクは処分される事に。
なす術もなく引き離されるヴォルフとハクの運命はいかに!
これ、逆に永遠の命?
2人が穏やかな時を過ごせることを祈りつつ。
とにかく「ぬいぐるみBL」に度肝を抜かれた一作です。
本当にぬいぐるみ×ぬいぐるみ(!)
BL界のぬいぐるみたちは動けるしセックスもできるし、唇には血も滲みますし、中出しもできるようです。どうなってんだ。こいつらすごい。
ぬいぐるみという設定を十二分に活かした作品で、とても面白かったです。面白さのあまり短編なのに、レビューがとてつもなく長くなってしまいました。
うさぎのぬいぐるみのハクは、持ち主に飽きられて以来、クローゼットの中の段ボールに放置されています。このハクは人間換算だと40代ぐらいとのことですが、もう初っ端から驚きですよ、うさぎのぬいぐるみが40のおじさんなのですから(笑)。その発想はなかった。
そんなハクに声をかけてきたのが、ドイツの職人が作った、十数万の値のする狼のぬいぐるみ・ヴォルフ。若くてかっこいいヴォルフは、ぬいぐるみたちの憧れの的。しかし、持ち主に毎日のように撫で回される生活に辟易しています。
憂さ晴らしするようにハクに声をかけ、その体を蹂躙するヴォルフですが、自分の表面的な価値だけで愛でてくる持ち主とは違い、純情なハクに癒されていき…という感じで、ストーリーの大筋は、BLとして特段変わっている訳ではありません。しかし、「ぬいぐるみである」という設定を存分に活かすことで、突拍子もないスペシャルな作品に仕上がっています。
「胸の突起」の「突起」に「ボタン」というルビが振ってあったり、それをちぎれそうなくらい(笑)弄られたり、布が破れてお尻の絶妙な位置に穴が開いていたり、穴から白いもんが出てきたり…ぬいぐるみだということを絶対に忘れさせない表現が見事でした。白いもんって!!!!!(笑)そりゃ出てくるわ!たいてい白いわ!!!
ぬいぐるみそのものの性質を活かして、ここまでエロく書けるとは。無限大の可能性を感じさせてもらいました。
また、うさぎであるが故に、ハクには尻尾がついていて、それをヴォルフに「いい歳して、尻にボンボンつけてんのか?可愛いぜ」と責められるのですが…そうか、おじさんにちっちゃい尻尾かぁ。うん、最高ですね(笑)。ナイス言葉責め。この尻尾も胸の突起(ボタン)ばりにちぎれるほど弄られるんですよ。ぬいぐるみだけにハラハラしますね(笑)。
ある日、ついにヴォルフに好きだと告白され、夢のような日々を送っていたハクですが、それから間もなく、持ち主がハクを処分することに決めてしまいます。ここからは二人でまさかの大脱走劇!実にドラマチック。雨に降られ、ヴォルフがいない間にハクだけホームレスに拾われて離れ離れに…。そこでまさかのちょっとしたモブレ状態になるのもすごかった(もちろんホームレスのおじさんにそんなつもりはないのですが)。ぬいぐるみでBLあるあるしまくってます。
最後はハッピーエンドで、温かい気持ちになれます。末永く幸せに暮らしてほしいものです。
ハクの古びたぬいぐるみとしての描写(耳が垂れ下がった、ぽっけやボタンが取れた)など、細部まで怠らずぬいぐるみで書き切った中原先生も、おじさんうさぎぬいぐるみを擬人化して描いた寿先生も、率直にすごいなと思います。
血や体液はどういう仕組みなんだとか、それ言ったら動くための筋肉もどうなってるんだとか、ツッコミどころは山ほどありますが(笑)、そういう細かいところに目をつぶれる方には、ぜひお勧めしたい一作です。
電子書籍。挿絵が一枚(扉絵はそれをトリミングしたものです)。
年下のスパダリ攻め(狼のぬいぐるみなのですが15万円で購入したそうで)、純情おじさん受け(だいぶくたびれているうさぎのぬいぐるみで、穴が開いていたり付いていたポケットが破れてボタンだけが残っている)です。
エロティックなト○・ストーリーとでも言う様なお話しでした。
持ち主は新たに購入した狼がよほど自慢らしく、連日のように引っ張り出しては見せびらかしたりかまい倒している模様。うさぎはそれが羨ましくもあり、また、魅力的な狼に憧れも持っていたのですが、ある日いきなり『喰われちゃう』んですね。最初は、からかわれているか、憂さ晴らしの意地悪と思っていたのですが、持ち主にかまわれすぎることから来る狼のストレスを知って、癒してあげたいと思う様になります。
これがいじらしい!
惚れちゃうよなー、こういう人って(人じゃないんですけれど)。
前述のように、うさぎはあちこち壊れています。
穴があったり、胸にボタンだけが残っていたり。
あの……想像つきますよね?うさぎが狼にされちゃういけないこと。
一つだけご紹介いたしますけれど、穴をいじっていると中から白いものが噴出してきたりするんですっ!これらはかなり笑えちゃうんですけれど、それと同時にやたら色っぽいのです。唸りました。
くたびれたうさぎは持ち主に捨てられます。
さて、どうやって二人が幸せを掴むのかはご覧いただいてのお楽しみに。
いや、しかし、大団円を迎えた後もあのお宅で、夜な夜なあんなことやこんなことをするのかと思うとニヤニヤが止まりません。