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倉橋物産社長令息の柊一は、父が使用人の冴木に会社を譲ったことで、家族を守ることを条件に、冴木の奴隷にされ、屈辱の日々を送っていた。しかし、冴木が狙われた柊一を命がけで守ったことから二人の関係はまた、少しずつ変わり始める。
冴木の退院後、柊一は父が亡くなる前と同じように、再び営業に配属してもらうべく、冴木に願った。それは亡き父が自分に命じた職務であり、柊一は自身のプライドにかけてその職務を成し遂げたいと考えていた。
そして、その想いが冴木に通じたのか、海外開発本部に配属され、重要な企画を任せられた柊一。
幼いころから比べられ、追いつけなかった冴木に、少しでも近付くため、一心不乱に仕事をする柊一だったが、その美貌の柊一を狙って、また新たな魔の手が襲いかかってくる。
冴木も照れ隠しなのと、意地っ張りなのと、どうしても抜けない罪悪感から、柊一に全部は喋らない、本当の事は言わないし、で。
やっぱりすれ違ってばっかりだ。
柊一はできた人間なんだから、最初から直球で想いを伝えた方が素直でいいのに……と、思わない事もないけれど、でも、柊一は出来過ぎるほどできた人間だから、冴木はきっとそれを壊したいんだよね、一回。
表面だけの愛なんていらなくて、柊一の奥底にある強い感情をひとり占めしたいんだ。そんな佐伯は、本当はかなり強欲なのかも知れない。
そんな話でした。
でも、二度も冴木から守られた柊一はさすがに徐々に冴木にほだされてきたようで、二人の距離は確実に縮まり始めている。
けど、始まりが始まりなので、結局根本的な溝は埋まってないんだよなー……
冴木は「どうせ好きになってもらえない」って諦めてるから卑屈なんだ。そして、他のことは完璧なのに、そういうところでヘタレになって暴走してしま様な男は、僕が大好きです。
やっぱりこの本は、切なさが微妙な配分でミックスされていて、面白い! と、思います。
前巻では、いまひとつ受けの柊一が好きになれず、やっぱりお坊ちゃん育ちだったからこんなになよっと、受け身でじめっとしたヤツに育っちゃったのかなと思ってました。芯は強いけど、なんでその強さを冴木を信じる方に持っていけないのか…
今回は、一歩前進して、やっと気持ちを固めて…って思ったのにも関わらず、ちょっとお父さんの件で自分の思っていた結果じゃないことを聞いたら逆上して冴木に地獄に堕ちろとか言うんですよね。うーん。
それに対して、冴木はどこまでもマイナス思考というか自虐的、それでも柊一を守るという使命は果たそうとしているんです。
叔父にまたしても騙されて、クルーザに軟禁されるは薬打たれるは。
フィクションならではの格好良さで(笑)冴木が助けに来てくれたから良かったものの。それでも、やっとそこで二人が一つの区切りとなる話をして、気持ちが通じたのは良かったのかな。冴木、良かったね、と言いたい。
後半は、佐伯視点での倉橋とのやりとりや、前巻の事件が書かれています。あぁ、そういう事だったんだなってことが謎解き風に書かれます。これはこれで、物語の裏を見れたような気がして良かった。