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hana wo utsu
これは実に淡々としたお話です。
それは主人公が自分の定められた運命を甘んじて受け入れざるを得ない環境にあり、またその為に自由に思うままに生きることができないからかもしれない。
これも政界を舞台にしてその裏に渦巻く陰謀と憎しみに翻弄される主人公達という、外国工作員までが登場し、かなりハードなアクションものになりそうなのだが、あくまでも”人の心”に焦点を当てている点にぶれのない剛しいらを見ることができるのではないだろうか?
ただ、いかんせん地味であり派手さはない。
法務大臣である父八十島が狙撃され怪我をした為に引退、その後を継ぐべく弁護士の卵だった一人息子の聡一朗は選挙戦に出馬することになるが、またその身も危険がある為警視庁のSPがつくことになる。
聡一朗についたのが警視の大鞆(おおとも)で、朝から夜までぴったりと張り付いている。
元来おっとりして出来ることなら平凡な生活を送りたいと願っていた聡一朗だけに選挙戦は大変疲れるものであり、誰にも弱音を吐けない環境の中、全くその立場的には関係のない大鞆にだけ弱音を吐ける。
そして大鞆がだんだん好きになっていくのだが。
期待にこたえようと無理する聡一朗の姿を見ているだけに、守ってあげたい庇護欲が、任務以外でも大鞆に芽生えるからこの二人は関係していくのですね。
この聡一朗、ゲイではないようなんですが、これまたあっさりと大鞆に恋を感じるのは自分の思い込みじゃないかな?とは思うのですがね。
だって、ひょっとしたら自分は殺されるかもしれないと考えているわけです。
そうなると考えた時に、彼は一度でいい、恋がしてみたかったとかんがえているわけですから、ひょっとしたらこれはゆるやかなつり橋症候群現象だったのでは?と思うのですよね。
確かに、命の危機は訪れるので、その点間違いはないでしょうが。
八十島の、聡一朗の命を狙う男として苓という男性が登場しますが、彼の生い立ちには同情しますが、ここまでする必要があったのかどうかははなはだ疑問です。
聡一朗が、アーチェリーが得意でその選手でもあるという設定、せっかくなのでもう少し生かして何か話の中に上手く入れられなかったのかな?とも思います。
せっかく表紙もそんなになっているのにね~