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tenryu ouji no tsumakoi
前世で結ばれる事が叶わなかった天龍界の皇子と豪族の姫君。
人である故に転生を繰り返してきた葦耶(かや)姫の魂は五百年を経て生まれ変わり、祓魔師の凛久(りく)として封印から解き放たれた琉黎(りゅうれい)と再会を果たすものの、果たして今世で添い遂げる事ができるのか?
話のほうは、琉黎を慕う天龍界のキャラクター達の登場や、過去の葦耶姫の記録を探していく凛久の行動を通して、読み進めながらどういう経緯で二人が結ばれなかったのかを紐解いていく展開となっている。
薀蓄の織り込み具合も控えめなので読み辛くはないのだが、登場人物の名前に結構堅めな漢字が使われているのが多いせいか、キャラクター像に硬い印象を受けた。
全体的にしっかりした作りの話だと思うが、申し訳ない、個人的にはどうも前世ものが不得手なせいか物語にも攻め受けにも思いを込めにくかった。
感情移入し辛かった理由は、琉黎と凛久が互いに惹かれていく過程にいまいちグッとこなかったから。
凛久が琉黎に惹かれる感覚が、彼自身の感情というよりも葦耶姫の残っていた想いに動かされていた感があったし、琉黎にとっても葦耶姫に対する想いが一番強いんだなって印象を越える事ができなかった。
転生した凛久が祓魔師として生まれたのには意味があるし、彼が思い出せない五百年前の葦耶姫の記憶をどう埋めていくかって行動も頷けた。
終盤で上手くまとまったからこそ、そこにたどり着くまでに琉黎には過去の葦耶姫とは違う現世の凛久自身の魅力を見出してほしかったかなって惜しさを感じた。