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koi wa kusemono aitsu wa shinyuu
同性を恋愛対象として見る、または見られるという事に徹底してフォーカスを当てた作品です。
同性愛の根底にある越えられない壁をいかに乗り越えるかという事を丁寧に描いている数少ない作品だと思いました。
この究極のテーマを掘り下げる作品が非常に好きではありますがなかなか良作に巡りあえない、そんな方にオススメかと思います。
基本、鷹也視点で描かれる今作。
親友に想いを寄せられるノーマルな鷹也に、彼を慕う女性の出現。男女の自然な恋愛の段階を踏ませる展開がとても良く、妥協を感じさせない作者の意気込みを感じました。
そんな鷹也の傍らで焦燥に駆られつつどこか諦観しているような、それでいて男らしい駆け引きを仕掛ける清照。イケメンでモテモテのかれが垣間見せる悲恋への恐れが、言葉とは裏腹の手指の震えによって描かれるのが切なくて愛しい。
後半の方まで、どちらが受けか攻めかは明確にされませんが、この立ち位置もBLエンタメに傾倒するのではなく、より丁寧に同性愛に寄せている感じが受け取れて好ましかったです。
また脇役も魅力溢れていて、結婚を控えた至ってノーマルで普遍的な人生を辿る同級生の友人の存在も、物語の大きな要素として大きい。普通と普通でない事の境界の曖昧さが彼女を通して見えたり見えなかったり。
最終的に鷹也と清照の関係性の変わり方も劇的なものではなく、長い時間をかけて積み重なっていった先にあるものという流れが繊細で優しくて沁みました。
鷹也の背中越しにキヨが想いを吐露する場面はこれぞカタルシス!と胸が詰まるシーンでした。暖かくて静かでとても幸福な穏やかな気持ちにさせてくれます。
普通の男性同士だからこその葛藤を存分に味わいたい方にはとにかくオススメです。