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暁さんの話に、小笠原さんの絵は合ってると思うので、雰囲気倍増。
ソムリエの主人公は、実業家の恋人と、彼に紹介されたレストランのオーナーの日仏ハーフとの間で揺れ動きますが、その曖昧さというか、恋心のずるさに妙にリアリティがあります。三角関係でも、あまり泥臭くはなく、もうちょっと愛憎渦巻いてもよかったと思わなくもないんですが、この妙に重苦しくない雰囲気がいいのかも。
三角関係のジレジレ感というよりは、どっちもいいと思いながら揺れる主人公の正直なずるさを楽しめる人には向いてると思います。わたしは好き。
いい男二人を天秤にかけ、両者を無自覚に振り回し、本人はやたらと真面目に悩んでヒロインやっちゃってる受け。
一歩間違うと嫌悪感しかわかないキャラクターですが(てかこれが女性キャラなら嫌悪しかわかないキャラだと思う)、なんだろう、ズルいやつだなと思いつつも憎みきれない部分がありました。
いや、でもやっぱり「ハァ?」と思うところもあったなァ…。シモンと最初に寝るときの会話なんて、相談しつつ誘ってるし。浮気することの倫理的な罪を薄めるため、自分自身に言い訳してるかのようでさ。この卑怯さは、無垢なぶんタチの悪いものではありますが、当時にリアルだなとも思いました。
そして、それを本人がまったくの無自覚なのかと思いきや、それなりに自覚してるというのも見事だと思います。
受けのズルい葛藤を中心としてストーリーが進んでいってただけに、ラストのあっけなさは残念でした。
葉月とのことには、もうちょいきっちり踏み込んだ回答が欲しかったなァ。
あの場面、「結局葉月が悪い」ということを、葉月みずからが墓穴を掘ることで示してしまい、それまでの受けの葛藤をウヤムヤにされてしまったように感じました。
ワインやレストランの描写は良かったです。