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bara no shita niwa
脳科学者の名富は、オカルトに傾倒していた学生の失踪事件の調査中に、高校生の久幸に出会う。久幸は『UFOクロニクル』という有名なオカルトサイトの主催者で、老舗の製菓会社の後継者だ。
両親を幼い時にUFOにさらわれ、今も行方不明だという久幸の屋敷に招かれた名富は、その翌朝火事で自宅を焼失してしまう。久幸と火事との関連を疑う名富。久幸の後見人で、実質的支配者の叔父、夜な夜な久幸を怯えさせるエイリアン。両親は、本当にUFOにさらわれてしまったのか。その謎を脳科学の観点から、名富は合理的に解き明かそうとするのだが。
謎が気になってついつい一気に読んでしまう、BLとしては変わった題材のお話だった。あとがきによると「UFOを歌で呼び寄せる受け」というのを思いついて、そこから作られた話だったそうなのだが、そのシーンもちゃんとあって。けど久幸の言うUFOだとかエイリアンの正体が解明されるにつれて、なんとなくもの悲しいような気持ちに…。ただ、バーバラ先生の作品は、いつも悪人はちゃんと罰せられるので、今回も読後は悪くない。
犯人についてはさして意外性はなかったんだけど、謎を解くプロセスというか、超常現象否定派の名富と、UFOやエイリアンの存在を信じて、本気で怯えている久幸との会話が面白かった。
名富は否定派なんだけど、信じてる相手をバカにしたりするわけではなく、「なぜその人がそう思っているのか」ということを科学的に解明しようとするので、自分自身のことがわからない久幸が、自分の心をこの人に明らかにしてほしい、と委ねたくなる気持ちもわかる。
あと、久幸が純粋で、性に疎いのも可愛かった。
濡れ場は控えめだったけど、久幸が自分が乳首が感じるということにびっくりして、名富の目の前で自分で触っちゃったりとか。それを見た名富に「誘ってるのか」なんて怒られたりとか。ふたりの間の戸惑いや緊張感が、なんとも可愛いシーン。セックスというものをまだよくわかってない久幸を、名富が勢いで抱かなかったのも、大人の余裕があって素敵だった。
そして特筆すべきは、兼守先生のイラスト。幻想的で品があって、素晴らしかった。とにかく先生の描く久幸が可愛い。浮世離れしてるというか、ぽやっとしていて、見るからに繊細そうで。不思議なお話の雰囲気に合っていて、見入ってしまった。薔薇色の表紙もお気に入り。
表紙にそぐわない、あらすじの「エイリアン」という言葉。
本当に「未〇との遭遇」を連想させるような内容が続いて、
え?ほんとにSFもの?とすごくびっくりしましたが、最後はすごく納得。
あまあま溺愛話でも、イタイ話でもなく、ミステリーものといえばいいのかな。
兼守先生の挿絵ってコミカルのでしか見たことがなかったので、
どっかで笑うんじゃないかと構えてしまったのもあり
とにかく途中まで全く着地点が読みにくく、ドキドキハラハラものでした。
地雷は、あんまりなく、色っぽいシーンはあるのですが、デロ甘等というより
ミステリー色が私には強く感じられました。
本編のみ270P+バーバラ先生のあとがき です。
登場人物は
名富:脳科学を専門とする大学教授。オカルト関係のテレビ番組によく出る。
濃いめ、ワイルドな風貌らしい。
久幸:菓子食品事業を営む老舗ブランドの跡取り。叔父と広大な敷地にある
洋館に住む。「UFOクロニクル」というサイトの運営者。美人。
両親はエイリアンに誘拐されたとのことで死亡扱いされている。
この二人と叔父(医者だったが、今は久幸の後見人として会社経営に関与)
ぐらいしか出てこないです。
名富はUFOなんていない!すべては脳が見せるものだ!と考えている派で
久幸は「UFO、庭にくるし、宇宙人に何回も体液取られている」
という人なので、よし、それならまずこの洋館にセンサー等を
設置して調べよう!と名富が家に乗り込んできます。
怖がっている久幸が「一緒に寝て」とベッドに潜り込んで来て
色っぽいお話になったりするのですが・・・
とお話は進みます。
***********以下はネタばれにつながるかも なので注意
読み終えると、なるほどーーーーーーと強く思うタイトルなのですが
最初のUFO話などの印象が強くて、振り回されました(笑)
日本の警察なめんなよ と少し思うのですが・・
ホントにどうなるんだこの話 と思った一冊でした。
そしてあまりに美麗な表紙。ちょっと内容と印象が違うなあと思うのですが
美麗すぎて神。
電子書籍で読了。挿絵有り。
バーバラさんのお話はテーマによって振れ幅が大きくて、読む度に「引き出し多いなぁ……」と感心します。今回はアブダクション(異星人による連れ去りと人体実験)がお話を引っ張る鍵になっているのですけれど、荒唐無稽なものではなく、大変ミステリ色が強いです。(バーバラさんならこのテーマでとっても面白い『トンチキ』を書いてくれそうな気がしますが、今回はシリアスモード)
BLのミステリって割と早い段階で先が読めてしまうものが多い様な気がするのですが、抑制のきいた文章のせいでドキドキ感を結構長いこと楽しめました(あまりハラハラはしなかったんですけれどね)。
加えて、勅使河原くんの風情が『謎多き深窓の令嬢』とでも言うべき感じなんですよ。何と言ったらいいのかな?その儚げさ故に目が離せないとでも言うか……
あとですね、名富教授ってイケメンの大槻教授(昭和に物心ついていればご存じの方も多いと思うのですけれども)なんですっ!私は彼に好感を持っていたので懐かしくてねぇ。
んぐぐぐ…
「萌」付けたけど…
元々オカルト大好き。
ムー系、古代宇宙飛行士説、オーパーツ、ミステリーサークル等々大好き〜な私には、このあらすじに大興奮しつつ、BLとどう融合させんのよ?という疑問と期待がありました。
そして…読んでみて。
こりゃキビシイと言わざるをえない。
エイリアン、アブダクションとBLの親和性…無いな…
大体どういう読者層を想定してるんだろう?
オカルト大好き層には「なんだこれ?」(チガウダロウ…)
オカルト興味ない層には「ナンダコレ?」(意味わかんない…)
どこにもフィットしない気がするんですよね。
こういうのはすごく難しいと思う。
エイリアンがいる、という結末にするならファンタジーになるわけだし。
エイリアンではない、とするなら幻影か洗脳か。そしてその帰結は結局性的虐待をカモフラージュする思考のコントロールという展開になりがち、というかもうそれしかないよね。
そして、本作も……
主人公の勅使河原久幸は、幼少時に両親がエイリアンにさらわれた、という思考に囚われている。そして自身もエイリアンに体液を採取されている、と。
コレね、2つしかないでしょ?本当か思い込みか。
で、本当なわけないわけよ。なら思い込みなわけ。
思い込みならどういうことか?BLとしての作品なら、同居してる叔父さんの仕業しかないわけよ。
読んでも読んでも「こうなるかな?」の通りに進んで、何の意外性も無かった。
なんかもっと「こういう展開があったか!こういう解釈があったか!」っていうひねりとか練りとか無かったの?と言いたい!
エイリアン絡みでどういう新機軸が出てくるか期待したけど、ここに関しては全くの期待外れ。
ただしオカルトは大好きなので「しゅみじゃない」ではない。大いに趣味です。
誰かおお〜〜っとなるようなオカルト絡みの作品書いてほしい。
エロシーンに関して。ここはさすがの一言。
未体験の高校生男子が大人の男に抱かれるなら。
本当にこういう風に感じそう、というリアル度がすごい。ここには「萌x2」です。