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shousetsu omegaverse anthology
ここ2・3年私はずっとオメガバースを知りたいと思っていました。
でも、「嫌い」という意見も案外多い。うっかり、私も地雷を踏んだらどうしましょう。
そこで本書です。短編小説7編のみ、これなら地雷があっても軽いかも。
巻頭に、簡単なオメガバースの図がありました。BLだから、6種類じゃなく、3種類だけ覚えればいいのか!
巻末にそれぞれの作家さんの紹介が欲しかったなあと思いました。
<ここからネタバレを含みます>
「復讐するは×××にあり」 水樹ミアさん 画:街子マドカさん
ベータの大学生の麻倉渉は、ある日医師から「あなたは、オメガになったんです」と告げられる。「アルファと濃密な接触をしませんでしたか?」―――――麻倉の頭に思い浮かぶのはただ一人・親友だった阿賀裕星だ…………
トップバッターが、いきなり、潜在的にオメガの因子を持ったベータのお話、という変化球!
でも、大学生同士の恋愛もので、読後感はさわやかにハピエンでした。
「ダ・ヴィンチとサライ~愛に繋がれた獣」 玉木ゆらさん 画:古藤嗣己さん
タイトル通り、実在の人物・レオナルド・ダ・ヴィンチと、彼の生涯で最も長く生活を共にしたサライ(小悪魔)と呼ばれた少年ジャコモのお話です。このジャコモも、ダ・ヴィンチの愛人だったのではないか、と言われている実在の人物ですが、歴史的に確証はないようです。手近にあったダ・ヴィンチについての本を引きながら、お話を読みました。
本書の中では、このお話が一番好きです。でも、最もイレギュラーかもしれません。
なにしろ、オメガバースの「オメガ」という言葉すら一言も出てきません。
ジャコモは、実は大人になると発情期がくる人種で、父親から生まれた。彼は、いつかやってくる自分の発情期をこの上もなく恐れていた…………
まあ、当然ダ・ヴィンチが相手になるわけなのですが。史実上の経緯や結果がわかっていても、ぐいぐい読ませます。
ダ・ヴィンチの包容力が泣ける。
しかし、ジャコモは10歳の時に、38歳のダ・ヴィンチの弟子(実質は弟子ではない)になっているので、年の差は28歳。すごい年の差カップルになるなー……、ま、いっか。
ちなみに、史実上、ジャコモが出産した、ということはなかったようです。
「牙なし狼と自由な蝶の恋物語」 はるの紗帆さん 画:中森さん
このお話はちょっと予定調和かな、と思いました。結末以外は、意外性がない展開に思えました。
王様がいるとか、軍隊に入っていたとかの描写があるので、架空の国の物語なのでしょう。
お話のほとんどが、主人公二人の会話で進んでいるので、「できそこないのアルファだから、大切にされず、軍隊に入れられた」とか、「王様の相手をさせられるために養い家に追われている」という展開が、他のキャラがほとんど出てこないので客観的にわからなかったです。私は「これ本当の話なのかなあ。主人公たちの思い込みという結末になるんじゃないかなあ」という疑いが最後まで晴れませんでした。
「淫溺」 かわい恋さん 画:月輝さん
オメガが支配する国・レム公国に、アルファが支配する国・シアヴェシュ王国の士官・ナルサスは、他のアルファの士官たちとともに捕えられた。奴隷の日々が待っている。レム公国の公子キアルは、ナルサスを自分の種馬に指名した…………
エロいです。発情期を迎えた二人の濡れ場が、エロい、エロい。
実は、かわいい初恋物語、という意外なオチでした。オメガの方がアルファより優位に立っているというお話は、7編中これだけです。
「火竜王と召喚された番」 秋山みち花さん 画:高世ナオキさん
キャラはタイトルの通りで、異世界トリップものです。
竜の世界の唯一のアルファであり王であるライムントと、現代日本から召喚された希少なオメガ・神谷キリの物語。
短編にしては、竜の世界の世界観がわかりやすくよく書けているな、と思いました。
オメガバースの設定だと、お話はやはりファンタジーや架空の世界の物語になりがちなのかな。
クライマックスの濡れ場に、なんと!〇〇が登場したのには、驚きました。(物語のキモだと思うので、あえて伏せます)
「アオイトリ」 木原音瀬さん 画:峰島なわこさん
一応、現代日本。会社員の河内健太郎はオメガだが、普通のオメガに比べて発情期が軽く抑制剤もよく効き、ほぼ普通に近い生活を送っていた。彼は主治医より「そのようなオメガは35歳まで性経験がないと、発情期が無くなる研究報告がある」と聞き、35歳まで童貞を貫く決意をする。ところが…………
なんといっていいのか…。さすがに木原さん、凄まじい。
河内を襲う数々の出来事に、「オメガって、不憫で不幸だな」と戦慄せずにはいられません。
どうしても、オメガの自分を認められない河内。オメガであることを認め、そばにある愛(ちょっと怖い愛だけど)を受け入れられれば、「幸せ」になれそうなのにねえ。
はっ! タイトルの「アオイトリ」って…!
「heat capacity」 水壬楓子さん 画:へらへらさん
一応、現代日本らしい。
国を牛耳る五大財閥、上流社会、御曹司、秘密の高級娼館に君臨するオメガの女王(男性です)…、なんだかわくわくするものがたくさん出てくるぞ。これは王道路線か!?
一応王道っぽくて、最終的には幸せな恋物語でした。
でもな、〇〇〇〇〇〇型抑制器は、王道じゃないと思う。
攻め、自分のがモデルかい!? それをずーっと受けに使わせていたんだね……おいおい。ま、二人が幸せならいいのだけど… 私はいいんだけどさ…
7作読んで、私にもようやくオメガバースがわかったような気がしてきました。
嫌悪派の理由もなんとなく。Hシーンでオメガのそれが「濡れる」というのが、描写によっては男女もののそれっぽく読めちゃうのが一因じゃないかな? また男性の妊娠・出産がダメな腐女子も多いみたいだしね。
よい教科書になりました。これからは恐れずオメガバース作品を読もうと思います。
一度にいろんなタイプのお話が読めるなんていいわー、とドキドキしながら読みました。
大学生の2人のお話から思いっきり異世界ファンタジーまで7人の先生方によるオメガバース。
上下2段で1話が50~60ページのアンソロジーです。
それぞれのお話のあらすじや魅力はすでにレビューして頂いているので、私が好きだわーってお話の感想を。
まずは水樹ミア先生の「復習するは×××にあり」
大学1年生2人の同級生カップル。
潜在的にオメガの因子を持っていたベータの渉と、アルファである阿賀。
大学で知り合い、気が合って親友とまで呼べる中になっていたある日、発情中のオメガにあてられた阿賀に渉の身体を使って自慰をされた事でオメガへとなってしまう。
ベータとして平凡な人生になるはずだったのに、性に振り回されるオメガへと変わらされて復讐しようと思うも…。
憎みたくても憎みきれないのは、自分の気持ちなのかオメガの本能なのか。
オメガの自分を認められるまで、ベータとして扱って欲しい。
アルファの阿賀に、本物の番を前にしておきながらお預け状態を願うという復讐。
ベータからオメガになった渉に興味を抱いた他のアルファもいたようで、牽制しながら我慢してきた2年間の阿賀の心中やいかに。
少しずつ親友から恋人へと立場を変えていってやっと番となる気持ちに落ち着いた渉。
さらっと書いてあったけど、そこんとこ詳しく!!!
短編ではなく、しっかり文庫1冊分で読みたい。できれば阿賀視点もね。
と思ったお話でした。
なんだか日常的でリアリティあるなぁ、と思ったのはサラリーマン2人のお話の木原音瀬先生の「アオイトリ」
運命の番って惹かれあうものかと思ってたんですけど、こちらのオメガの河内は番であるハズのアルファの犬飼と出会って言葉を交わしても、女の子と結婚したいって言っちゃうような普通の男性で。
発情期のコントロールができずに、フェロモンにあてられた犬飼とセックスしてしまい、望まない妊娠、出産、とオメガの性に振り回された河内。
疲れきっていた河内が、現代社会でもいるであろう1人で一生懸命育児をしているお母さんとかぶってしまいました。
また、河内に全く眼中に入れてもらえなくて、番を目の前にして諦めるしかなかった犬飼。
遠慮がちに言葉をかけてくる犬飼も切ないなぁ。
番になった2人がこれから少しずつ家族になっていくであろう未来を感じさせてもらってよかったです。
水壬楓子先生の「heat capacity」
アルファ至上主義の財閥の直系の息子でアルファと偽っているオメガの真頼と、やはり財閥のアルファでありながら放蕩している黎司。
半分脅されてある商品のモニターという関係で始まった2人だけど、結局は純愛ものでしたね。
ラストの子供の時どうしてもうなじを噛みたかった、という黎司の真頼への言葉。
「多分ただの一目惚れだ」というセリフがよかった。
アルファとオメガの関係を運命や本能のせいにせず、愛、と言い切った言葉が胸に染みました。
電子書籍版を購入。
挿し絵あり、あとがきあり。
【期間限定販売:2021年2月28日まで】とあります。
オメガバースの「小説」だけのアンソロジーです。
いやー、神評価です。
読みごたえありました。
なかなか、小説だけのアンソロジーってないですよね。
新鮮でした。
それぞれの作品について、参考にならないかもしれませんが、私見と独断な感想を記載します。
「復讐するは×××にあり」水樹ミアさん
初読み作家様のはずだったのだけど……どこかで読んだことがあるストーリー。
はて??
しばらく考えてようやくわかりました。
お名前が違うので気付きませんでしたが、某所への投稿作。
デビューされていたのですね。
おめでとうございます。
これからの活躍を影から応援させていただきます♪
「ダ・ヴィンチとサライ~愛に繋がれた獣」 玉木ゆらさん
歴史上の人物とオメガバース。
異色の取り合わせなのに、不思議と違和感なく楽しめました。
よく、こんな取り合わせを思いついたな。
フィクションなのに、さもありなん。
いろいろと想像してしまう感じが楽しいお話でした。
「牙なし狼と自由な蝶の恋物語」 はるの紗帆さん
よくある鉄板なストーリー。
安心して楽しめるお話でした。
結構、好きです。
こんな感じ。
「淫溺」 かわい恋さん
エロエロでトンでもストーリーなイメージの作家様ですが、今回は抑えめ。
ちょっと、普通っぽかったかな。
いや、十分エロいです。
ですが、かわいさんなら、もっとエロエロの変態作品にできたはず!!
残念!
「火竜王と召喚された番」 秋山みち花さん
この作家様は私の中ではファンタジー枠なのですが、その期待通りのお話。
もうひと波乱あっても良かったけど、限られたページ数では難しいのでしょうね。
よくまとまっていて流石の筆力でした。
「アオイトリ」 木原音瀬さん
ぶっちゃけ、本書は、木原さん目当てに購入しました。
そうきたか……。
思わず、唸りました。
さすがの切り口。
そんじょそこらのオメガバース作品とは、一線を画します。
「heat capacity」 水壬楓子さん
作家買いしている作家様。
この方、外れはありません。
今回も、いつも通り、萌えさせていただきました。
アナルプラグ型抑制器にシリコン性の仮面。
ビジュアル的にも萌え。
このあたりを挿し絵で描いてもらいたかったのに、違うシーンで残念。