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toriko
麻薬取締官のお話。
確か過去にもどなたかの作品で麻薬関係を読んだことがありますが、秀さんの勝ち。どこがすごいって、お仕事がバリバリなんですもん。ファンタジーだからねってお茶を濁すような場所がほとんどありません。
登場人物それぞれに、そうなった背景があり、そこの麻薬取締官・同僚・売人・家族たちが複雑に絡み合い、Loveもある。
この作品の場合、登場人物の背景を紹介しちゃうと、それだけでネタバレになり、読んでいて『次はどうなるの?』といった楽しみがなくなると思うので、あらすじも人物紹介も書きません。
一つだけ書いておきたいのは、取締官の藍原(受)が一貫して正義を貫き、男であることがこの作品の魅力だと思うということです。
いつもいつも書きますが、エロが無くても読める厚みのある作品だとおもいます。この作品ではエロと言うよりちゃんと「愛」って言ったほうが二人に失礼じゃないかな。
秀香穂里先生による麻薬取締官もの。
主人公は、母親が覚醒剤中毒、弟は父親違い、兄弟で施設育ち、という過去持ちで、クスリを撲滅したいという思いで麻薬取締官になった藍原徹。
藍原は周囲から浮いた一匹狼で、今弟の聡を強烈な作用の麻薬・ダブルエス絡みで亡くそうとしていた…
藍原のモチベーションは「正義感」というよりも「哀しみ」のようにみえる。
さて、もう1人の男。彼も藍原と同じに肉親を亡くし、だが藍原とは逆にクスリを売る方に転じた男。
この物語は、「罪を憎んで人を憎まず」の男と「人を憎んで罪を憎まず」の男の恋物語なんだと思いました。相反する2人が惹きあって、愛するべきではない、でも想いを分かち合ってもう離れることはできない…
エロシーンはもちろんありますが、性欲とか快楽といったものよりももっと切実な「救い」のような行為と読みました。
麻取と元締が結ばれてしまうというファンタジー
けれど、そこに行き着くまでの物語がしっかりと描かれていて、他のレビュアーさんも書かれてましたが、映画化や二時間スペシャルドラマにしてみて欲しい。
悪者は、やはりというか王道の信頼していた上司ですが、コレまた随分と昔から腐っていたようで。そういう意味で攻めの元締が極悪人にならずにラブストーリーに組み込めるような感じに仕上がっています。
最後は足を洗って、受け君のそばにいることを選択するっていう。
どちらかと言うと、恋愛模様よりは、麻薬捜査がメインになっている分、萌は少ないですが、楽しめる作品でした。
その後の二人を見たいなって思います。
喫茶店の二階で暮らしていたりするのかな。
これは何というか評価するのが困るというか微妙だなあ。
話としては平均点をクリアしてると思うし、恋愛面でも事件モノとしても成り立っているとは思います。
ただですね、神堂〔攻〕は何だかんだ言っても結局はドラッグ売人な訳で、そこは許してはいけないとやっぱり思ってしまう訳ですよ。
自分よりもっと悪い人間が居るというのは言い訳でしかないでしょ。
そしてドラッグを心底憎む藍原がそれを受け入れるのも分からないのです。
根本的な人物設定に無理があったんじゃないかな、そんな気がします。
秀香穂里さんの作品で山田ユギさんの挿絵。
藍原はクールビューティな麻薬捜査官。
薬物中毒の母親から
父親違いの弟とともに虐待を受け育った過去を持つ。
同じような境遇の男・神堂に惹かれ
傷を舐めあうように身体を重ねるお話・・・
幼い藍原と弟を保護した養護施設の園長が
笑える嘘やしあわせな嘘しかつかないよっていうお話をしてくれるけど
ここで嘘をつかない男という紹介ででてくる神堂が
本当に嘘をつかない男だったのか・・・というところが疑問符。
読後、笑えるような嘘やしあわせな嘘をついてくれる人は
藍原まわりには本当にいなかったんだなという印象。
そして結局、藍原も嘘をつくような人間になってしまったのではないのかな・・・
罪は罪だし、罰は罰として受けるべき。
私は藍原以上に潔癖なのかもしれない。
麻薬という犯罪の不幸の下で育った子供の憎しみが
麻薬という“モノ”へ向かったのか
麻薬を使う“人間”へ向かったのか
の違いだと思うけど、やはり後者は犯罪者でしかないよ。
最初から背徳的な主人公なら償わない犯罪もスルーなんですが
受けの潔癖なまでの正義感を売りにするなら
犯罪への償いの書き方も、もう少し厳しいほうがいいかな。
なんだか、作家さんの意気込みは感じられたんだけど、空回りで、わたしは楽しめませんでした。残念。
犯罪者とか警察関係者とか、そういうお仕事の人がエロエロしてるのは、どうしても好きになれない。むしろ、もっと、なんちゃってBLワールドにしてもらえないと、現実に返ってしまいます。