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shishi no hata no moto ni
と言いたくなるくらい駆け足・急ぎ足で、何とも評価に困る作品でした。
そもそも、この内容をこのページでというのはあまりにも無理があるんじゃないかと思うんですが。
読みながら『もう半分近いのに(あらすじにあった)海賊に攫われ~がまだなんだけど・・・大丈夫なのか!?』『あとこれだけのページでいったいどうすんの?』と余計なことばっかりに気を取られてしまって、ストーリーに浸りきれませんでした。←ある意味ハラハラ続きで飽きませんでしたけどね~。でもこんなハラハラはいらない。
設定もキャラクターもよかったんです。ラブは主従ものの王道ド真ん中かもしれませんが、それは一向に構わない。でも、ラブ以外の要素を詰め込み過ぎ(1冊に纏めるには)。これじゃ尺足らずの端折り過ぎであんまりだよ。
海賊に攫われたユーニス(受)を助け出すための戦いが始まるのがもう最後の章(作品タイトルと同じ『獅子の旗のもとに』)ですよ。しかも、出陣前のアレコレからラストまで全部含めて30数ページ・・・この章だけで十分1冊書けるだけの内容があるよ。というか書いてくださいよ。
決してつまらなかったわけじゃないんです。だからこそ、余裕を持って(それこそ巻数増やしてでも)じっくり書き込んだらもっと面白くなると思うのに・・・と、惜しかったです。設定の無駄遣いとさえ感じました。
こちらは1993年に出された単行本の新装版なんですよね。難しいのは承知ですが、せっかく出し直すなら旧版を下敷きにして(設定を活かして)いっそ加筆修正レベルではなく書き直して欲しかったなあ・・・と思ってしまいましたよ。いやホント勿体ない!
なんというか、松岡さんにシリーズ(長編)ものが多い理由がわかる気がしましたね。
壮大で細やかな設定でドラマティックに展開する・できるからこそ、1冊完結じゃ実力発揮し切れない作家さんなのかな・・・と感じてしまいました。先生、ゴメンナサイ。
そして、もともとそういう持ち味の作家さんだとは思うんですが、この作品は特に『ロマンス』色が強く感じました。文体や台詞がいちいち大仰で居心地悪い感じ。←必ずしも悪い意味ではないです。ストーリーに入り込めたらそれもまた(独自の世界観を彩る)魅力になるので。
16世紀の地中海。
ヴェネツィア海軍に席を置くリカルドは味方からも敵からも一目置かれる存在だった。
そんなリカルドに誠実に仕えながら熱い視線を送る従僕の美少年、ユーニス。
ふとしたことをきっかけに想いを通じ合わせた二人だが、その矢先にユーニスが敵対するトルコ海賊に掠われてしまい……
16世紀のヴェネツィアを舞台にした時代もので、ご主人様×従者。
古い作品でも視点の移り変わりとか、キャラクターの心情の描き方はやっぱり松岡さんだなあと思いました。ただ今よりも少しクセが強いので好き嫌いは別れそうかも。
前半のユーニスの片思い部分がしっかり書き込まれている割には後半の劇的な展開が妙にさくさく進んでしまってちょっともったいない。
王道ドラマチックが妙にチープに安易に見える気がして。
これ、文庫本一冊のボリュームに収めるのはちょっと苦しいかな?
2冊3冊と続いていい展開だと思いました。