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natsu no ame to tenshi no niwa
喪失体験からの再生物語。少しオカルト風味ありです。「萌」寄りの「萌×2」な感じかな。
古い西洋風の屋敷に一人で暮らす、20歳の光実。働かなくても生活できる箱入りおぼっちゃまの彼は、2年前に両親を事故で亡くし、彼を慰めてくれた幼馴染みの尚人も相次いで失ってしまいます。
喪失感の中に深く沈んだ光実は不眠に悩み、父親が遺した蔵書を読んだり、庭先にやってくる野良猫と戯れる日々。後見人の伊沢と家政婦の牧恵が光実の生活面を支えていました。
牧恵が病に倒れて不在の折、見知らぬ男が光実の家を訪れます。西崎と名乗る男は、尚人がここに住んでいると聞き、彼に会いにやってきたと…
尚人のことが忘れられない光実は、外界との接触を持たない自分のことを嗜めつつ、優しく包んでくれる西崎に惹かれていきます。
不思議なお話でした。光実よりも尚人の存在が悲しくて切なかった…。尚人自身があっぷあっぷしているのに、光実を慰めようとそばにいてあげた頃、彼はどんな気持ちでいたのだろう。尚人が光実をどう思っていたかについては、後に登場する霊感少女が教えてくれますが、個人的には光実より尚人に幸せになって欲しかったな。…せめて思いだけでも。
過保護に育てられた光実が恋を知り、初めて自分の意志で外に出ていくラストが印象的。主人公が南へ向かうエンディングって、明るい希望を感じさせてくれますね。沖縄で西崎と無事に会えたのか…、そこでバツッと終わっているところで想像力を掻き立ててくれます。最後のページが金ひかるさんのイラストで終わっているのも面白い演出です。
攻めはタトゥー有り(デザインが意味深)のワイルド系ですが、カップリングもキャラも基本はどちらも穏やかで、読んでいて癒されます。逆に彼らを取り巻く脇役たちの方がクセ強めに感じて、暗くなりがちなお話を賑やかしてくれていました。