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パリで画商として父の手伝いをしている緒沢由利が目覚めると、そこはオークション会場で、あろうことか由利自身が商品として競売にかけられていた。
そして由利を最高値で落札したのは国民の前に姿を現すことのほとんどない、オークションの下見会で一度会っただけのB国の王子、リュシアン・ヴァンネンタール・フォン・ベルディンだった。
城へ連れて行かれた由利は、商品と思い込んだ王子に有無を言わせずエッチをされてしまう。しかし翌朝、由利が本当は商品でないことを訴えても王子は家に帰すどころか由利が城から逃げ出さないように衣服を奪い彼を軟禁してしまった……!
結局、由利が商品でないことは確かめられたものの、今度はオークションの主催者とともに、半ば脅かされるようにして、由利は一ヶ月という約束で城に滞在することになった。
この話、すっごく内容も由利の性格も素晴らしくて、とってもよかったんだけど、根本的なストーリーに個人的に納得できてなかったり……。
由利は本当に気高くて、どんなにお金を積まれても、何を言われても決して自分の立場に自分から甘んじて受け入れることはなかったし。
身の安全を守るために仕方なく従っただけだ、というのはとっても伝わってきた。自分が逃げ出すことをどんな状況になっても第一に考えた由利はすごいと思う。だって、由利の置かれた状況だったら、受け入れちゃう方が圧倒的に楽だろうと思うんだもの。
それでも、「うん」と言わなかった由利は本当に誇り高いんだろうな……と、思います。
でも、だから! だからこそ!
由利の性格にほれ込んでしまったからこそ、約束の一ヶ月より前に由利が脱走に見事成功してしまう、とか、誰かが助けに来る、とか……
少しでも由利の側に寄った救いが欲しかったなー……と思います。
最終的に、由利は王子のことが好きになってハッピーエンドだとはいえ、ちょっとこの終わりは嫌だなー……。
個人的に、ご都合主義は最も忌み嫌うところなんですが、いい子にはやっぱりそれだけの救いが欲しいなー……と、思います。
このままの終わりだと、割と王子にとってのご都合主義になっているような気がして、あんまり好きではないです。