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古い作品ではあるけれども、暁先生の攻めはなかなか他で見られないタイプ。本作の祀(まつり)もそう。お話的に祀は受けなんですが、個人的に、"本当に好きな人にしか後ろを許さないタチ"が性癖になったお話の一つです。
ゲイの祀は職と同時に恋も失った時に、ウリのバイトにスカウトされて、タチ専門ならと引き受けます。
祀はウリの他に、派遣社員として大手企業のメール便業務をしていて、時々社内で見掛ける上層部の五十嵐にちょっとだけ憧れていました。
ウリの仕事では、色々な事情を抱えた男たちを優しく抱いてあげる祀。本来、祀は好きな人に抱かれたいネコなので、叶わない相手の身代わりでもいいから抱いて欲しい、という客の気持ちがわかるのです。なんとなくオーナーの阿川が、敢えて失恋した祀と同じような立場の客をあてがっているのではないかと、勘のいい祀は察知していました。
お客さんの気持ちに同調して願望を叶えてあげる祀のプレイが仕事とはいえ本当に思いやりに溢れていて、彼の優しさが沁みます…。相手が欲しがる的確な言葉選びも、欲望の引き出し方も上手。心から親身になってあげている様子が伝わってくるのです。
失恋の痛手を引きずっていたのもあって、五十嵐との恋愛なんて絶対ありえないと夢を見ていた祀。阿川から連絡用に支給された携帯を社内で紛失してしまったことから、五十嵐と接近する機会に恵まれて…。
それ以前にも、祀がウリで呼び出されたホテルのエレベーターで偶然五十嵐と遭遇したり、五十嵐が祀のフルネームを知っていたりと伏線は張られているのですが、祀の最後の客との切ないプレイにキュンキュンです。
暁先生の中で優しいSの進化系が祀になっていったのかな、なんて妄想したりと興味が尽きないのですが、本作から次に刊行された作品を最後に新作は途絶えているので寂しいなー…。(追記 : 紙での最終刊行は『気高き僕は跪く』でした、訂正いたします)
BLの奥深さを追究したくなる作品を残してくれた作家様として忘れたくない一人です。
こちらは前から電子化されている作品でした。どうやらピアスレーベルの過去作品は電子化が進んできているみたいですね。
主人公の攻視点から、色んな男性を抱くお話。
ちょっと変わった構成なので新鮮といえば新鮮でした。
受け側の視点でゆっくり展開されるのベッドシーンは読んだことがあっても、タチ視点でゆっくり丁寧に相手の気持ちいいところとかを考えながらの描写ってこんなに読んだことないかもしれない。
主人公の祀は失業中、派遣でメールボーイの仕事をしながら同時に勧誘されたデートクラブで男性の相手をするバイトを初めます。ただし、自分はタチ専門という条件で。
祀は本当は受けなんだけど、ともかくもお金を払って抱かれに来る男性の相手をします。
守ってあげたくなるような可愛い子だったり体育会系の筋肉質な男性だったり…。
みんな恋愛に様々な難を抱いていて、そんな思いを祀に吐き出します。
祀はホントは抱かれたい側と言いながらもとても男前。悲しんでる人には優しくしてあげて、酷くしてほしい人には酷くしてあげて。
抱いたり抱かれたりって、ちゃんと付き合うときに話し合わないといけない大事なことなんだなぁと思いました。
半分はヒューマンドラマみたいなお話です。
もう半分は祀が密かに思いをよせる、派遣先の社長子息・大との恋のお話。
夜のデートクラブでタチ役をやりながら、昼間会う大には抱かれたいと思っています。
けれど失業中の自分と相手の立場が違いすぎ、大はあくまで高嶺の花。
辛いとか悲しいとか、そういう展開はなくて、割と楽しんで嫁はするのですが、構成が半分デートクラブでのお話ですので、どうしても祀と大のラブストーリーの比重が軽いかな?という印象を受けました。
普通のBLじゃないのが読みたい、って時には楽しめる作品だと思います。
私は普段ベッドシーンは受け視点が好きですが、これを読んでいて攻め視点でもっと読みたい!って思ってしまいました。
主人公は表ではオフィスのメールボーイ、裏では会員制クラブ・グリーングラスのホストをやっているんですが、ホストの時は攻、でも恋をしている会社員の攻に対しては受という設定が、まずあまり見かけないんじゃないでしょうか。
ホストをしながらかかわる客が次々と出てきて、それに対して、あれこれと思いを巡らせながら、ラストは攻と結ばれますが、ごく普通のBLとは毛色が違っているので、そういうのを楽しみたい、読んでみたいという人におすすめです。