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sweet fake make love
作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます
暗くて雰囲気のある小説でした。
厳格な家庭のなかで、優等生の学と、その従弟の悟が暮らしている。よく似た顔をしてるんだけど、性格のぜんぜん違う二人。
二人は中二のときから、ずっとセックスしている。
がんじがらめの生活のなかで、学はすべてを憎みつつ、受け入れている。悟とのセックスも、したくてしているわけではない。
ダークでした。
インモラルでした。
とにかく痛かった。
学の鬱々した気分が伝染したかのように、胸になにかが詰まってる気分で、最後まで読みました。
『ラブ』じゃない関係のBLって、逆に新鮮ですね。
痛い話が読みたいなあ……と思って本を開いてみたんだけど、思ったよりも痛くて、救いがなくてちょっと辛いですね。
できればもうちょっと救いのある話がよかったかなあ……。
主人公の学は、壊れかけた家庭の中で、何とか自分の居場所を作ろうと、家を壊さずにいようと、必死でいろんなことをガマンしているけれど、当然、それには無理がかかっているわけで、どうしようもなく何処かに行きたくて、それでも何処にも行けなくて……そういうモヤモヤを抱えながら、どんどん悪いほうへ悪いほうへ流されていく。
個人的に、学が抱えているモヤモヤにはものすごく身近なもので、閉塞感にも覚えがあって、とにかく重苦しい。
おまけに、そんな学をおいて、どんどん周りばかりが成長していってしまって、結局、学はおいてきぼりになってしまう……。
もうこの辺りで耐えられなくなりました。
最後にちょっとだけ、救いがあったんですが、それさえもなんとも言えない、たったそれっぽちのことですら救いになるのかとか、そんなことしか彼には救いがないのか……と思えるようなそんな救いで。
なんだかとっても胸が痛い。
もうちょっと話に先があったら、彼に幸せをあげられるかもしれないけど、それはそれで作り話にしかならないんですよね……。
なんだか、悲しいが故にそれがリアルなんだなあ……と思って切なくなった。
やっぱりこの作者さんは作者さんだったのか……としみじみ。
この作者さんの別の短編集の中に、やっぱりこういう救いのない話があって、とってもデジャヴでした。
まあ、私、その話の救いのなさがとっても痛くて、好きだったんですが……。
「そうだよね。現実ってこんなもんだよね」感が。
なので、好き嫌いは別れるかもしれませんが、中二病をこじらせている方々にはオススメできると思います。
ただ、お世辞にも「幸せ」と言えるようなラストではないので、そういうのが苦手な方にはご注意を。