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たけうちりうとさんは凄く文体が柔らかくて読みやすいんですよね。
美しい描写もコメディチックな描写もどれも、読んでる目から脳味噌にすっと入って来るとこが良いんですよー。
朴[受]は元尻タレのバツイチで3人の娘への養育費で、懐は寂しいものの叔父の経営するサラ金の支店と、小さいながらもリサイクルショップを経営し近所の商店ではちょっとしたアイドル的存在。
ぐうたらな面もありますが養育費と最低の仕事はしっかりこなす32歳。
しかし尻タレとは……いや手タレや足タレがあるんだから尻タレもあっておかしくないですが!!男の尻タレって設定時点でおもろいです。
ちなみに朴が離婚された原因は性格に加えて男と浮気していた事。
対して置前[攻]は華道家元の家に生まれながらも感情を込めた花を生ける事が出来ず、銀行員の道に進んだちょい堅物男でしかも天然入った24歳。
サラ金業の朴と、銀行外周りの多い置前は融資先の工場で出会います。
銀行員の置前としてはサラ金という業種に良い印象を持っておらずその場で早速口喧嘩。
しかし何度か朴に会う内に、置前は彼にどんどん魅かれていくも何せ今までちゃんと恋愛感情というものを持った事がないので朴が元尻タレと聞いて、その尻を想像しては2晩眠れなかったりと本人が真面目なだけに、ぷって感じです。
この作品がいいなあと思うのは朴はサラ金業者なので強引な取り立てもするし犯罪者も出てくるんですが読んでいて酷過ぎたりはしないのですね、根っからの悪人は出てこないので作品通して温かい空気感が流れていてそこが凄くいいです。
山田ユギさんの挿絵はどうしても朴の尻に目が行きました~~尻が良い男っていいなー。
朴も置前も日本家屋で並んでお茶啜りたいと思ってたりとどちらも可愛い2人。
会話のやりとりも気持ち良くて欠点見あたらないのでもう神で!
32歳、バツイチ、朴(ボク)はその昔、美尻を活かしてモデルをやっていた。
現在は元・妻が引き取った三つ子の娘のために月24万円也の養育費を振り込んでいる。
そのため曾爺さんの代から続くリサイクルショップ(質屋)のほかに、伯父が役員を務めるサラ金業の会社でもアルバイトをしながら、自分は毎日「肉抜き野菜炒め定食」でつましく暮らしていた。
ある日、融資の話をしに行った先で、朴とは逆に、融資を断りに来た銀行員の置前(チゼン)と鉢合わせをする。見るからに堅物のエリート銀行員を絵に描いたような置前と口論になった挙句、綺麗な顔に似合わず口の悪い朴は
「胸に手を当ててよーく考えてみやがれッ」
と、啖呵を切ったまでは良かった(?)が、何を思ったのか、置前は朴の胸に手を当てて見せた。
朴ちゃんは、自分の浮気が決定打となって離婚してからと言うもの、すっかり清廉潔白な日々を過ごしていたわけだが、第一印象こそ良くなかったものの、元々の年下好きがムクムクと頭をもたげ、きらっきらっオーラの置前が気になってしまう。
置前はというと、華道家元の息子で自らも師範の免状を持ってはいるものの、父からは「弟子を取ることまかりならん」と言われている。銀行屋にしておくのはもったいないくらいに(あ、銀行にお勤めの方には失礼な発言…ゴメンなさい・汗)ものすごく誠実でいい人なのだが、如何せん、やや天然気味に情緒の欠落したところがあるのだ。
もちろん、これまで恋をしたこともない。
恋愛は「大きなえこひいき」だと思っている。
そんな置前が、朴ちゃんにフォーリン・ラブ!
眠ろうとして羊を数えても、脳裏に浮かぶのは尻。
朴ちゃんのお尻が気になって70時間ほど一睡もできなくなってしまったのだ……。
知人のおススメで、たけうちりうとさん初めて読んでみたのだけれど、面白かった!
ちょっと独特の文章だが、テンポがあって読みやすい。
登場人物のキャラも立っていて魅力的だ。山田ユギさんのイラストも大いに貢献度・大。
ベースはあくまでもコミカルなのだけれど、ところどころにヒューマンな味がある。
「年を取ったら山里の古い民家の軒先に座布団を二枚並べて一緒に座って、寒くなったねというような会話をしながら温かいお茶を飲んだりする」そんな老後が、二人共通の夢だったりする。
独特の文章が魅力のたけうちさんですが、一番好きなのはやっぱり「情」みたいなものを
大切に書いてくれるところですかね。
多くの作品で、受けちゃんはけっこう苦労します。
悪い奴も嫌な奴も出てくるけど、ホンモノの悪人はあんまり出てこなくって、なんというか、薄っぺらい物語を進めるためだけの「役」の人がいない。
そんな人間を描く構築力や表現力がいつもすごいなぁ、と思わせてくれる作家さんです。
受けの朴ちゃんはね、ヤンキー上がりで、昔は顔も尻も売り物になった元モデルで、美しいけど人生にはちょっと疲れている。
子供みたいに生活能力がないかと思えばきれい好き。
怠け者かと思えば、娘の養育費のために汚れ仕事も引き受ける。
崩れた色気を振りまくかと思えば、債務者に情をかけて取り立てをまってやる・・・
そんな朴と出会って無自覚に惚れてしまう童貞君の置前は、華道家元の息子でカチカチの銀行員。
華道師範の父には、「情緒がない、色気がない、華人には不向きだ、弟子を取ることまかりならん」と言われるほど、優等生で何でもできるけど、イマイチ欲のないギラつきのない好男子なのです。
天然で健康な好男子なんだけど、イイ奴すぎて恋が素通り。そんなタイプです。
この相容れない感じの二人。
朴念仁の童貞おっきーに、妙に素直な気持ちを見せられたり語られたりしてるうちに、朴も離婚したとか、生活費がとか、養育費がとか、いろんな事情に流されて活力なく生きるのはやめてみようかと思うようになります。
クライマックスでは銀行に立てこもった元債務者におっきーが人質にされたと知るや、まるでダイハード並みのアクションで銀行に潜入!
うらぶれてたあんたは一体どこ行ったの!朴ちゃん!
要はやっぱり恋は生きる活力なのね、ということですかね。
置前の方も、色々とやりたいこと(主に朴関連だが)とか、欲しいものとかができて、師範の父に弟子を取ることも許されるほど、お花の腕も上がっちゃったりして、生きていくには欲も色も大切なのね、と思い知りました。
真面目できちんとだけでは成し遂げられない何かが人生にはあるらしい。
なかなかいいのが、朴の叔父のサラ金会社役員。
強面バリバリの高利貸気質なのに、妹の忘れ形見の朴にはとことん甘い。
可愛がってる。でも取り立てには血も涙もない・・・
だから朴は、取り立てがうまくいかないと、怖くて家に帰れない(笑)
愛があるのに帰れないほど怖い叔父。素敵です。
そして、置前の厳しい華道師範の父も然り。
たけうちさんは父を書くのが天才的にうまいと、いつも羊は思うのです。