お買い得商品、セール品、中古品も随時開催中
yasashikute tsumetai kajitsu
奥が深い作品です。読みながら色々考えてしまいました。
前回はなかなかお話が進展せず退屈な印象をうけましたが、今回はお店の開店、従業員間でのいざこざ、嫌がらせ、さらに火事の真相、料理対決とよくここまでお話を練っているなあと思います。
通草は生まれたときからお店の次期当主として訓練を受け、カリスマ性も度胸もあり、自然と人を率いる術を知り、周りの人をひきつけます。けれど必死で下から支える人もつらいけれど、頂点を守るというのもまた孤独で、頂点に憧れて頑張る人もいる反面で通草のように最初から頂点にいて、そこでしか生きられない人の辛さというものもまた同じようにある…。
通草はいつも屹然としているけれど、「お店を守る」ということだけに生きず、それ以外に確かに大事なものをひとつ作っておけという祖父の言葉が深いなぁと思いました。
おじいちゃんは店のために恋愛を捨てたわけで、けれど通草はちゃっかり(?)恋愛も手にしています。
いつの間にか、付き合おうとか、告白とか何もないままに恋人になっている通草と創ですが、ある意味で主従関係となった今、通草を創が支え、創がつまずけば通草は叱らず包み込むという正に理想的な関係です。
ただ、お話としての面白さはさておき、BLとしては驚くほど萌えませんでした…これは単に好き属性と相性の問題ですので、幼なじみで主従関係、意地っ張りとへたれカプ好きな方にはオススメできるかもしれません…
やはりメインは料亭のお話ですので、お仕事のお話8割、恋愛が2割くらいに捕らえたほうがいいと思います。
老舗料理店の接客とは何か、料理の説明や調理法など驚くほど細かくしっかりかかれているのですが、そこが長所でもあり短所でもあります。
恋愛ものが読みたい時に料理の説明が長すぎても…という気分になります。
趣味じゃないといえばそうなんですが、お話だけとるとやはり出来は素晴らしいので評価に迷うところです。なので読む人を選ぶ作品かもしれません。
この二人、前編で出てきた時すでに過去にいろいろあって互いに好きだということもさっと説明書きがあるだけなんですよね。
なのでなんだか恋愛の過程を全く楽しめませんでした。
もう少しこの二人について細かい説明があればもっとよかったかもしれません。
後編は一気に事件解決に向けて展開して行きます。
通草と創は既に想いが通じた後で、仕事上でも恋愛面でもしっかり結び付いてるのが分かっていいなー、この2人。
ちなみにタイトルの「優しくて冷たい果実」
創が自分の恋人を他人に聞かれて「優しくて冷たい甘い果物」と例えるんですよね。勿論通草の事なんですがそういう関係。
有能な弁護士の働きもあって料亭乗っ取りも阻止し、犯人も突き止めます。
この辺りはちょっと相手側の社長が物わかりが良すぎって気もしますなー、もうちょっと捻って欲しかったところ。
でもその分料理や食べ物に関する描写が丁寧で、料亭を舞台としての良さは最大限出てました。
女子高生達の料理に対する感じ方やチェーン店を頭から否定してないとことかそういうエピソードがね、地味に好き。
鳥雑炊はセリフ内で今回も登場、あーーもう鳥雑炊食べたい!!
事件が解決してクリスマスの夜をホテルで過ごす2人のエロシーンも、美しい~~そしてやっぱ妙にエロい!
あと通草の祖父と創の祖父は親友なんですが、彼等2人の関係や昔馴染みの女性との50年越しの3人での暮らしがしみじみ良いです。
前編に比べればやや完成度は落ちるものの作品として読めばやっぱおもろい。
事件のあっけなさを差し引いても、これはかなり面白い!と断言出来る作品。