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soshite kimi no koe wo tenohira ni
事故で記憶障害になってしまった暁良。その、暁良を8年も支えて来ている尚弘。
記憶を溜めて置けないから部屋中にメモが貼ってある。けど、メモを貼った事も忘れてしまうんですよね。
暁良は自分がすぐに忘れてしまう事はわかっているようで、暁良が忘れてしまったメモを尚弘がこっそり捨てようとしますが、暁良はそれを見せてと言います。
特に記憶障害だからといって荒れる事もないし前向きだなと思いました。
ただ、尚弘の支えがないと生きていけないんですよね。
ずっと、暁良を好きで言い出せずにいた尚弘だけど、やっと両思いになれます。
楽しいことでも、すぐに暁良は忘れてしまう。
そこがとてもやるせなくて切ないです。
恋人になったからには今まで以上に根気強く接していかなきゃいけないんだろうなとも思います。
二人が愛し合って、体に情事の跡は残っていてもそれすら忘れてしまうんですから……。なんて、悲しい。
BLで記憶喪失な話を読んだのはこれが初めてでした。
好きな作品です。
画家をしている暁良は2年前に遭った事故が原因で新しい記憶を刻めません。
数時間や数十分、あるいわ数分で忘れてしまうんです。
映画を観ていても途中であらすじがわからなくなるし、次の日には前日のことを全く覚えていない状態。
そんな暁良の生活を支えているのが8年間同居している大学の先輩の尚弘。
一方尚弘は暁良に秘めた思いをずっと言えずにいるのです。
童話に例え『狼と七匹の子山羊』に出てくる狼で、子山羊を食べてはいけないと葛藤中だとか。
事故以前の話がほとんどないので、出会いや同居に至った経緯などはわからないですが、記憶障害が原因で2人の関係はいびつに、そして歪んだようです。
暁良は2年の間に外部との連絡をほとんど絶ち、外出もしていません。
尚弘にすべての世話をしてもらい、ただ家で絵を描き、食べ、眠るだけ。
世話をかけている暁良は申し訳ない気持ちで『ごめん』といい、自分なしではいられない状態にさせた尚弘は言われるたびに罪悪感をおぼえる。
そんなある日事故以前に暁良と付き合いのあった喬が現れ、一緒にフランスで生活しないかと誘います。
その話を聞いた尚弘は我をなくし暴走してしまうのです。
行為の最中に暁良が言った「なんでおれ、尚さんとしてるの?」が泣けてきます。
気がついたら記憶では同居人だったはずの男に揺さぶられているんですから。
そして翌日その記憶は残らないのに、覚えのない見えない部分の痛みや体中の痕だけは残っているんです。
嬉しいことを言われても、楽しいことがあっても記憶に残らない。
毎日毎日同じ言葉を言い、伝えなければいけない。
忘れてしまう暁良はもちろん、それを与える側の尚弘の方も辛いのではないか。
ハッピーエンドなのにせつなさが残る、そんなお話でした。