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綺月さんは”梔子島”のシリアス、ほの暗く重いイメージがあったので、180度違う底抜けに明るいコミカルな今作に、いったいどんだけ振り幅あるのとびっくり。
そして、ひじょーに面白かったです。さすが、ベースの文章力・構成力の高さあっての、笑いでした。
神にしようかと思ったけど、シリアスにとっておきたいので迷いましたが萌え2です。
レポーターを夢見る駆け出しアナウンサー、月岡。仕事に困り、意に染まない婚礼司会の仕事を引き受けます。ちょっと気になるのは、「宴会担当チーフ、ちょっと変わった人だから。。。」という上司の前振り。打ち合わせに赴いた超一流ホテルの美しい中庭で、「ぼくのミューズ。。。」とつぶやいた美丈夫にいきなりキスされてしまう。なんとそれが担当チーフで、という始まり。
経験が全くない新人を、暖かくスマートに支える上司。具体的な披露宴や、トラブルの対処、進行のアイデアの練り方などが描かれ、お仕事ものとしてとてもよく出来ています。
そこに、絶妙に絡む二人の恋の進行。新人にもあくまで敬語を使うが、スキンシップ過多なちょっと変な上司、師之宮。まるでトレンディドラマのような出会いから、上司としてサポートしながら、お酒の勢いで色んなことを致してしまったりと、恋愛にはいけいけで激しいのです。
敬語攻めで羊の皮をかぶった猪突ワンコ、そして仕事ができる年上ハンサム。
いいようにされるも、あれこれ悩んでしまう純情な花嫁、月岡もかわいい。受けの一人称で、あくまでもコミカルに語られます。
割としょっぱなから攻めに「結婚して下さい」と求愛される受け、月岡。婚礼司会だけあって、カップルの成立と仕事場である披露宴での成功とが重ね合わせて描かれます。自分へのプロポーズは本気にしていなかった受けですが、ブライダルフェアのリハという理由で衣装をあれこれ着せられ、いざ攻めの師之宮チーフとカップルとして模擬披露宴のリハに望むことに。そして、仕事にやりがいを感じるとともに、自分の気持ちにも気づいていきます。
スタッフのチームワークによって最高潮に盛り上がった模擬披露宴の進行、そこにカップル自身のパートナーとしての軌跡が重なります。巧い。月岡の挨拶には涙させられました。
そして最後のサプライズも用意されています。
コミカルなお話しなら一押ししたい面白い作品でした。
わちゃわちゃしたラブコメです。
ラブについては特に珍しいストーリーではないです。
お金持ちでキザなセリフをばんばん吐くけど天然ボケ成分の多い攻めが、ヤンチャな受けに一目惚れ。
酔ってへろへろになった状態で受けが言った冗談を真に受けて、攻めは受けをレイプ(攻めは和姦のつもり)。
最初から受けはアンアン喘ぎまくりの濡れ場でした。
そのあと誤解だったと分かって色々あるんですが、まあ最終的には仕事をダシに披露宴までやって、ラブラブ状態です。
面白かったのは、受けのする結婚式の司会の仕事。
すごく具体的でリアリティがあるなぁ…と思ってたら、作者の綺月陣さんは200回以上も司会の仕事をやった経験者だとか。
とくに初仕事の場面は、こっちまで緊張してハラハラして、胃が痛くなりそうでした。
テンパッて空回りして、焦って。でも笑顔は必死で作って。
ああもう、すごくよく分かるよー!経験なくても分かる。これ人前で喋るのがすごく苦手な人はもちろん、そうじゃなくても分かるんじゃないかと。
楽天的で前向きな主人公なので、初仕事での失敗を糧にして努力し、司会業の面白さに気づいていきます。
わちゃわちゃしたラブコメながら、このあたりのお仕事描写はとても好きでした。