鴉
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神4
  • 萌×20
  • 萌2
  • 中立0
  • しゅみじゃない1

--

レビュー数
5
得点
26
評価数
7
平均
3.9 / 5
神率
57.1%
著者
綺月陣 

作家さんの新作発表
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イラスト
杉本ふぁりな 
媒体
小説
出版社
マガジン・マガジン
レーベル
ピアスノベルズ
発売日
価格
¥848(税抜)  
ISBN
9784914967307

あらすじ

実の兄から性的虐待を受け続けた木嵜は、東京でひとり暮らす友人を頼り家出上京する。夜の新宿を訪れカラーギャングの抗争に巻き込まれた彼を救ったのは、『零』と名乗る背中に鴉のタトゥーを彫った銀髪の少年だった──。小説ピアス掲載の問題作、書き下ろし短編と特別ショートコミックを含めて待望の刊行

表題作

BBのリーダー(零)
現状認識が甘い少年(17)

その他の収録作品

  • 静夜
  • 静夜~reverie~

レビュー投稿数5

壮絶バッドエンドストーリー

BLはファンタジーだからバッドエンドはNGとされる方も多いかもしれません。
二人の恋が成就しない理由に"死"という結末が用意されている場合は特に受け入れがたいかもしれませんが、あえてこの作品を紹介したいと思います。

17歳の木嵜は親や兄に不当な扱いを受けており、自分の居場所を見つけに高校の元同級生の周を訪ねて家出上京します。
周は高校中退で一人暮らししており、木嵜とはそんなに仲がよかったわけではないのですが、他に訪ねるあてもなかったため身軽な彼の元を頼ったのです。
木嵜は歳の割に子供なところ・人を疑わない・純朴というか鈍感なところがあり、それが読む者もイライラさせますし、その性格が物語を破滅へと導いていくのですが・・・
周の所属するカラーギャングの集会に連れ出され、そこで敵対するギャングのリーダー、背中に翼の刺青を持つ鴉に初めて出会い、助けられる。
鴉の名前は零、彼もまた捨て児で、新宿という街が母親のようなトラウマになりそうなほどの暗い過去を持つカリスマなのでした。
零は木嵜に自分と同じ孤独を見つけ、それをいとおしく思ったのでした。
彼の世話になってばかりではと、木嵜はバイト探しに出かけますが、身分を保証するものもない彼に仕事はなく、財布は盗まれ途方にくれるのですが、そんな時でもやはり周しか頼る人がいません。
木嵜は周に騙されヤクザの宇野に体を売る仕事をさせられます。
周は売春のあっせんをしていたのでした。
嫌なんだけど、あきらめて受け入れる木嵜(怒れよー!!)
おまけにバイト料は周に払い済みだからと、たったの千円!?
バイトは見つかったと鴉にウソをつく木嵜。
零は宇野のヤク取引の運び屋の仕事をしていたのでした。
あと3回抱かれたら3万やるという宇野の言葉を信じて、我慢して抱かれ続ける木嵜。
ひたすら優しく接する零に離れたくない、好きだと告白する木嵜。
しかし、木嵜の憔悴ぶりにいぶかしげに思った彼は宇野の存在を知るのでした。
大事な木嵜を酷い目に会わせる奴は容赦しない。
零は木嵜を騙した周に復讐し、宇野にも復讐したい。
零の計画と、木嵜が考えた宇野への復讐は偶然にも同じだったのですが、二人が別々に動いてしまったことで、二人は追いつめられます。
そして壮絶な最期が待っていました。
命をかける零でしたが、木嵜の無計画な無謀が二人を破滅に導いてしまったのかもしれません。
ばかだな、と木嵜に腹がたつもののなぜか涙がとまりませんでした。
ここまで悲壮なバッドエンドは他にないと思います。
でもロミオとジュリエットでもありません。

最後の救いは「静夜」の中の二人の幸せな姿です。
杉本ふぁりなさんの絵とまんががとても素敵です。
究極のバッドエンド作品ということで別腹の「神」評価です。


6

生きる場所を求めて

こういうお話を書いちゃうところがやっぱりすごいよな〜。電子版には紙本にはなかった同人作品が収録されています。そちらを読めたことで、このお話が自分の中で昇華されました。イラストご担当、杉本ふぁりなさんのショートマンガの方でもふんわりと救いをいただいたけれど、このSSでやっと、木嵜兄弟と宇野が浮かばれる思いがしました。

本作は新宿歌舞伎町を舞台に、最後のカラーギャングたちを描いたお話です。のっけから女性がレイプされていたり、受けが輪姦されたり、レーベル柄かなりハードです。

受けの木嵜は攻め以外に犯されまくる不憫オブ不憫な子。兄に凌辱され、歪んだ家庭から逃れるために頼った友人にも裏切られ、ヤクザに売られてズタボロになります。

傷ついた木嵜を助けてくれたのがカラーギャングの零でした。まるで迷い猫のように木嵜を保護した零でしたが、ただ木嵜と寄り添い合うだけで心が癒されていきます。やがて二人に絆が生まれますが…

零はカラーギャングの中でも有力なB・B(ブラック・ブラッド)のリーダーで、歌舞伎町を牛耳っていた暴力団に育てられた私生児でした。しかし、零が木嵜に自分の正体を明かさずにいたことで、最終的に悲劇的な結末を生むことになります。

木嵜の行動が零を追い込むことにしかならないのが見えているので、なんでだよ〜とヤキモキしてしまうのですが、それが木嵜くんの一生懸命な気持ち、誠意なんだよね…。

木嵜が友人に売られた男、ヤクザの宇野は本編後の「鴉—爪痕—」にも出てきて、ある意味狂言廻し的な役割を担っています。このSSが読めて本当によかった…。その中でもやっぱり宇野は男を掘りまくってますが、制裁も受けています。

崩壊した家族の要となれるはずだった兄。彼がエゴイスティックに弟の愛を求めてしまった結果、一家をバラバラにして弟を死に追いやったのか…?ここで描かれる痛みと理不尽さしかない二人のセックスは、贖罪と弔い行為にしか思えませんでした。

BLとしては超絶バッドエンドに仕分けされる作品かもしれませんが、個人的にBLにバッドエンドは存在しないと思っているので(かなりの暴論笑)、この世で木嵜と零が出会い、二人で生きていきたいと前に進めたことだけでもハッピーエンドだと思っています。

もちろん、猛者にしかオススメできないですが…。

1

お互いの存在だけが光

綺月+ピアスノベルズなので、容赦なくエグい展開もあります。
物語の冒頭からして、裏切り者の耳を削いじゃうリンチやレイプなどの物騒な描写が出てきますから・・・暴力描写が苦手な方には辛いと思いますので、ご注意を。

通称『鴉』、本名は零(攻め)・・・カラーギャングのリーダー。
その冷酷さと圧倒的な力で手下に恐れられている。捨て子で、5才の時に親代わりのヤクザを亡くしたあとは孤独に生きてきた。
が、木嵜に出会い、自分を含めた汚れた人間 とは違い、無垢な魂だと感じて惹かれる。

木嵜(受け)・・・兄に性的虐待され、親からも酷い扱いを受けて家出してきた少年。
世間知らずで、人を疑わないタイプ。っていうか、辛いことが多すぎて鈍くなっちゃったのかな?というくらい警戒心に欠けている。
友人に騙されてカラーギャングの抗争に巻き込まれ、怪我を負った上に輪姦までされた所を零に助けられる。

この作品のデータで、受けが『現状認識が甘い少年』となっているのが、あまりに適切で笑ってしまいました。
木嵜が『零にだけは迷惑かけたくない!一緒にいたい!』ととる行動がことごとく間違えていて、破滅への近道を転げ落ちていくんです。
いやいや、変なことしないで零の側にいてあげるのが一番零のためなのに、と何度突っ込んだかわかりません。

零は木嵜にだけは甘く、大切にします。
木嵜がお金のためにヤクザとの援交(あ、でもまたまた友人に騙されて報酬は持ち逃げされたんですが・・・学習能力なさすぎ)を続けていたことが判明しても、零は木嵜を誰よりも無垢だと思い、守り抜くと心に誓うのです。
ああそれなのに。
もうヤクザには会うな、と零に懇願されたのに会っちゃう木嵜。。
もーーーーーーーーー!!!!!

という具合で、木嵜にはイライラさせられましたが、まあそれぐらいのめり込んで読んだ、ということでもあります。


零と木嵜は、一貫してお互いの存在を自分の真っ暗な人生に射した、一筋の光のように思っていました。
だから、悲しい結末が待っていても、不幸な結末って感じはしませんでした。
ずっと欲しかったものは見つかったのだから・・・そして、さいごまで一緒だったのだから。

本編の後は、番外編で二人の幸せな夜がのぞけます。
それと巻末に漫画と、たっぷりのあとがきがついているので、本編に疲れた心を癒しましょう。

5

受けの行動に、ずーっと“?”のまま・・・

ムムム・・
キャラは立っているし、バッドエンドも嫌いじゃないけどね、全然スッキリしない“作り”っていうの?イライラがずーっと続きます。

それぞれの場所で孤独だった、鴉(零・ゼロ)と木嵜(きざき)が、巡りあって求めあって、この小説の“立つ瀬”はその一瞬だけ・・・。
読み手のこのモヤモヤをどうせいって言うんだろ?
木嵜が脇キャラにヤラレ捲っても別にイイのだけど、鴉と出会って、普通なら悔悟や反省ってなるはずが、同じ事を繰り返している!
鴉の為に自分をもっと大切にして欲しかったのに、改めない木嵜に、感情移入なぞ出来ず、ムカつくばかり!
愚鈍過ぎる!
身体は穢れても心ん中は観音様?いや違う、うーん、分からん!
(家庭のいじめからの反動形成での「鈍感」だと思うが)

木嵜と違い、鴉の方の言動は分かり易かったです。
凄惨なリンチを与える鴉も、煙草が苦いと言いつつ吸ってたり、木嵜を思い遣る鴉も、とても魅力的でした。
木嵜との出会いが鴉にとって良かったのかどうか?
2人が小さな幸せに喜んだのも束の間、2人とも殺されてジ・エンド。
マッチの炎の一瞬の燃え上がりのような出会いを、絶対に良かったんだと思って上げたい!

あとがき(7ページもあった!)に、木嵜が勝手に走って行って作者が追い掛けるようだったと、ありました。
そっち行っちゃダメ!はぁはぁって。
2人の敵・宇野の、悲惨なその後が数パターン書かれています。
明るくサバサバと書かれたあとがきは、絶対読んだ方が良いです。
それでも黒くて重いものが薄まりません!
複雑な“萌”です!

1

救いがない…

救いがないと思いました。

ラストは二人とも死んだって事なんですよね?
カラスになって幸せに暮らしてるって感じなんですかね。

これから二人で逃げるって時に木嵜は爆発して死んで、零は銃で撃たれて死んで…何だかあっけない……。
特に感動もしなかった……。

木嵜の名前も、これは名字なんだよね?
なんか、そこも微妙です。
零にくらいは下の名前を教えて欲しかったな。

木嵜は零を好きなのに(出会ってからだけど)、兄にレイプされ、不良に輪姦され、ヤクザのおっさんに薬使われてボロボロにされ、良いこと一つもない。

けっきょく、美味しい思いしたのはヤクザのおっさんだけですか。
若い子(木嵜)を散々抱いた癖に、あげるお金は1000円とか。
意地汚いというか、ね。
零が殺してくれると思ってましたけどね。
逆でした。

零と木嵜が狭い布団でくっついて寝てるっていうのは萌えたかな。

けっきょく、零は木嵜を守れていないし。
木嵜もね、零の忠告をちゃんと守らないからこうなるんだよね。
世間知らずでおバカ過ぎる。
設定は好きなんだけどな。
世紀末みたいな感じで。

1

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