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mizu no kioku
2002年刊行か……古いですね。
でも、じわっと面白いんですよ、この『記憶シリーズ』。
剛さんの書く物語って淡々としているので「うわーっ!超萌え~っ!」とはなりづらいのですけれど、その面白さは読者を裏切らないと思います。
主人公は32歳の精神科医及び臨床心理士の如月東栄先生。
主にティーンエイジャーのカウンセリングを行っています。
相方の佐々木洸太くんは大学を卒業したばかり。
如月先生がまだ学生で、小児病棟でのボランティアをしていた頃に病院で知り合って、それからずっと兄と弟の様なおつき合い(と如月先生は思っていた)をしています。
今作では不潔恐怖症(読み進めていくうちに彼の病理それだけじゃなくて、どんどん深くなっていくのですけれどね)の高校生、高遠炯くんの内面の葛藤と平行して、如月先生と洸太くんの過去や2人がゆっくり恋愛におちていく様子が書かれます。
……まぁ、如月先生はまだ『恋愛未満』かもしれないけど。
2002年ですものね。
ゲイに対する偏見は今以上だったと思います。
だからこそ、子ども達は悩んで、自分の記憶を操作してしまう。
それにとことん寄り添おうとする如月先生が素敵なんです。
ホントこの人、いい大人だわ。
仕事以外のことがほとんどできないというのも、彼の場合は可愛らしい。
これ「私は仕事に命をかけているから、実生活は無能で良い」なんていう開き直りをしないからかと。
常に反省するんですよ。
でもできないの。不器用で。
洸太くんが10年越しで頑張るのも頷けるというものです。
派手ではないけれど、魅力に溢れたお話だと思います。
ああ、面白かった!とは思えたのですが、何が書きたかったか(こっちも何が読みたかったか)ちょっと論点の曖昧なお話という印象も受けました。
心理カウンセラーである医師・如月の恋を謳った紹介文のように思えたのですが、はっきり言うとお相手である佐々木はいてもいなくても…というくらいお話に絡んでこない気がしました。
お話は如月の仕事内容が主で、そちらでも二重人格である男子高校生と、体育教師の恋がえがかれています。
佐々木は如月の元患者ということですが、生活能力のない如月の身の回りの世話をする役という印象で2人の恋愛が主軸ではありません。
患者である男子高校生のお話がメインになるのですが、その相手の高校教師も「手紙」の中に登場するくらいなので全体的に恋愛部分で楽しめるお話ではありませんでした。
30歳過ぎて生活能力ゼロ・ド天然な如月も医者として「可愛い」と思えますが「受けキャラ」として可愛いとは思えず…。
だた、読み物としては面白いと思えました。続きも読むつもりでいますが、恋愛に主軸をおかないのであればそれを貫き通すテイストで行って欲しいかな~と思います。
個人的にはこういった心理学とちょっと不可思議の混じったお話は大好きです。文章も剛しいらさんなので安定感がありました。
ここまで感想を書いたように、BLが読みたい!って方には向かない作品だと思います。
美貌の臨床心理士・如月と、子どもの頃そんな彼に助けられ
以来10年思い続けていた佐々木。
剛しいらさんは、特に長編に好きな作品の多い作家さん。
本作はずっと気になりながら未読だったのだが
今回全4冊のシリーズ中、最初の2冊を入手し読んでみました。
世間の高評価に反し、個人的にはかなりの辛口評価です。
長い片思いは好物なのだが、社会人になって満を持して告白する佐々木を
何故如月があっさり受け入れるのかが全然わからない。
今まで弟のように思っていたのに、押しかけられ食事作って貰い
押し倒されて、あらら、気が付いたら恋人になっちゃった……という感じ。
超がつく仕事熱心で、食には関心があるものの他の日常生活はてんでダメ、
性的に淡白で奥手、32歳までまっさらで過ごしてきた如月。
頭はいいはずなのに、天然ぶりを発揮するキャラは可愛いのだが、
上記のようにLOVEという意味では全く合点がいかない。
そこはあっさりまとまったのち、メインになるのは
彼の患者である二重人格に苦しむ高校生の少年を巡る話。
患者の問題に如月の心理を織り込む書き方は、
成功すれば面白いのだろうとは思うが、
そもそも、こんなずさんな対応が許されるのか?!と思うような
お仕事ぶり……。
少年の恋愛問題が絡むのだが、このお相手が高校の体育教師。
(普通免職でしょう、下手すれば淫行で捕まりますよ!)
その恋が少年を支えて救うものだとしても、
何も葛藤なくそれを応援するような動きをしていいはずもないし、
少年からもらった手紙を許しなく見せたり、
仕事に関しても唖然とするような展開だった。
水の記憶というタイトル、アロワナが泳ぐイメージ、
それに似合う雪舟先生の挿絵と、美点はあれど評価は「しゅみじゃない」。
二冊目の「炎の記憶」を読むかどうかは、目下保留中です。
美貌の精神科医、東栄は仕事は出来るが生活能力が欠如している。
元患者の洸太は一途にそんな東栄のことを想っているのだが、恋愛感情にうとい東栄は彼のことを純粋に弟のように気遣ってくる。
この関係を進展させるため、就職を機に同居を持ちかける洸太だったが。
そんな二人の元にやっかいな患者が飛び込んできて……?
恋愛モノっていうよりも男の恋人がいる臨床心理士が主人公のサスペンスって言った方が近いかもしれない。
ただし患者も男同士カップルなので作中のホモ率は高いです。
今回の患者は二重人格の高校生。二つの人格がそれぞれ屈折したものを抱えつつも同じ人を好きになってしまって……という事件。
助けを求めにきた患者を放っておけない先生は本当にいい人だ。
仕事はできるのに、それ以外はかなり抜けてど天然な先生と、そんな先生を心配する元患者で年下で生活力にあふれた攻。
この二人の関係がなんだかかわいくて楽しかったです。
主人公如月先生は小児精神科が専門でクリニックを開業しているお医者さまですが、クライアントのことを考え出したらすべてがそっちにいちゃってトリップしちゃいます。そのおかげで、生活能力はゼロ!掃除も調理も何もできない、しかも恋愛や性にかんしてもいたって淡泊!
最初の患者佐々木洸太に押しかけられ、彼のかいがいしさについこういう生活もいいかなと懐柔されてしまう如月先生!
いいんかい、それで本当に!|ω・`)プッ♪あんたは、ノンケだろう!
洸太の優しい思いやりも気持ちよく感じて同居生活を満喫している如月先生!
激しい夜を過ごした翌日が、上記のセリフです。「洸太、ご飯まだ?餓死しちゃうよ」です。くーかわいい。
精神科医としての仕事もばっちりしながらも、クライアントをたすけられないかもしれないと不安に押しつぶされそうになっても、そこは洸太がそっとヘルプしてくれます。
如月先生を手に入れるために、自立した大人にならないと行けないという洸太、大人です!
作中にでてくるアロワナや、クラゲも癒し系です。読後ほんわかしますよ。
如月先生が、セックスの最中も相手の行動を分析しちゃうのは、職業病だよなあと、苦笑させられましたが、こういう細かい描写、設定が剛しいら先生のすごいところですよね。。