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谷崎先生も神葉先生も好きなんです^^
だけど、好きなヤクザ物のハラハラは無いし、目で見るエロカワも無い。
ひょうひょうとした文章とありふれた日常が綴られて、その中の秘密の恋の部分だけがザワザワと波打っている感じです。
でも、ドンパチは無いこの生温い世界にどんどん引き寄せられていました♪
都会じゃない地方の、幼馴染みや実家周辺が生活の殆どという「高見光(19才)」が主人公。
高校卒業後も目標が無いまま、父親の生花店を何となく手伝い、幼馴染み達との付き合い等で何となく1日が過ぎていく。
だけど、誰にも言えない秘密が1つあって、それは、丘の上の「ナギサ(40才)」との仲。
ヒカルには、嫌いなものが無いんですね。
うらびれた町の閑な花屋を、どうしようもないなぁ~って位で、幼馴染み達とも「アキミツ」と呼ぶ父親との仲も不平はないんです。
そんな中で「ナギサ」だけが自分を高ぶらせてくれる、日常であって非日常の存在で。
だけど全てヒカルの日常なのは確かで。
ヒカルが知らなかった過去もこれからの将来も不安要素だらけ。
それでも、そこに留まっていられない≪Youthful Days≫の、どのエピソードにも体温が感じられ身近でした。
父・アキミツにとってヒカルの誕生の意義やナギサがアキミツを諦めた理由も、彼らの青春時代のひと区切だったけど、大人になるのはそれぞれのスピードがある訳で。
ナギサはずっと≪Youthful Days≫のまま年老いていくだろうし、ヒカルは見守っていくであろうと予想していますが、この別れがヒカルの青春時代にピリオドを打ったのは確かです。
あとがきに、
「こーんな売れそうもない話を・・」とありました^^
いえいえ、ちくちくと良い痛みを思い出させてくれました。
同窓会、出てみようかな~?なんて思ったり、ね。
とても好きな話でした♪有難うございました~^0^~♪
町の登場人物たちの名前は皆、カタカナ表記。
東京から来ている編集者だけがきちんと漢字で苗字がはっきり書かれています。
カタカナなのも苗字をあえて出さないのも、この都会とは切り離されたような町の空間をうまく表していると思います。
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受けは生花店の息子で19歳のヒカル。
母親はヒカルを産んですぐ亡くなったため父親に育てられ、今は生家を手伝っています。
攻めのナギサは10代でデビューを果たした『充電中』の長いカリスマ詩人で、36歳。
崖の上の洋館に六年間、一人で住んでいます。
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東京から二時間弱。
寂しくなった商店街に田圃や畑が広がる土地、不景気で縮小されていく工場。
そんなものに囲まれた街が舞台のこの作品。
ヒカルの幼馴染みたちも地元へ残りそれぞれの暮らしをし、その環境に諦めている者、足掻く者、若者の葛藤がなんとも眩しい。
13歳でナギサに出会い、15歳で関係を結んだヒカル。
ナギサが好きで寝たにも関わらず、ハッキリとした感情を探るでもなくヒカルにとっては日常として存在するナギサは、自分にとって何なのか、ナギサにとって自分は何なのか、その答えはヒカルの中にはありません。
ナギサは詩というフワフワした世界を持ちながらも、もう少しヒカルよりはハッキリしたものを自覚しているよう。
だから「ナギサは俺の愛人?」と今更ながら尋ねてきたヒカルに、なんとも言えない顔をするんですよね。
その点で、ヒカルはというか若さは残酷だなあと思ったり。
ナギサが好きだと言わないのは、ヒカルに逃げ道を残しているだけだと思うのですが。
「若いとか年を取ってるとかそういう考えは無意味だ。無駄な時間などひとつもないんだ」
このナギサの言葉はストンと入ってきました。
ヒカルにとってはこの街での生活、ナギサの元へ通う生活は日常なのですが、幼馴染みたちも同じではないんですよね。
東京へ出て夢を追うと決めた者、妊娠して戻ってきた者。
ヒカルが立ち止まっている間に進む道を決めている周囲に呆然としながらも、ナギサとの関係は変わらないとどこか当たり前のように思っていたんですね、ヒカルは。
ヒカルはこの急激な周囲の変化や、ナギサと自分の関係に気付きながらも知らぬ振りをしてくれていた幼馴染みに愕然としてしまう。
この作品では『夢』というものを持たない者が大人で、『夢』を追う者が子供という書かれ方をしている(ような気がする)ので、『夢』を持たない現実に生きているヒカルが大人だということになって(いるような気がする)います。
でもヒカルが大人だというのは都合の悪いことから視線を外し生きていただけで、本当の意味で大人になったのはナギサと向き合って自分の気持ちを自覚し、それを抱えながらも進む道を決めた時だったと思います。
ナギサの家から離れることを決めた時。
ナギサはこうなることをわかっていてヒカルが子供のうちに攫いたかったと思っていたのでしょうし、あえてそうしなかったのもヒカルの強さとしなやかさを知っていたからで。
わたしは作中で語られるほどナギサが子供だとは思わないかな。
位置付けは『夢』があるナギサは子供なのでしょうが。
ラストの好き好きはあると思うんですよね。
わたしも実際は、ナギサが帰ってくる姿が見えたくらいまでは書いて欲しかった。
こういうのはちょっと寂しい。苦しい。
途中がグリグリと刺されるような切なさなのは耐えられるのですが、ラストは出来ればホッとさせて貰えるとモヤモヤが残らないかな。
漫画とは違って小説は読むのに倍以上の時間と集中力を使うので、最後はやはりご都合主義であっても目に見える形の幸福が欲しいです。
それならばわたしは萌×2だったなあ…
ただ少しだけ匂わされているので、妄想で補いたいと思います。
なんというか不思議な感覚になる作品でした。
わたしは比較的都会方面に住んでいますし子供の頃から田舎はないのですが、なんだろうノスタルジックに浸れました。