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hana to tenshi
物語・地の文が登場人物の目線で書かれているので、気付いたらどっぷり感情移入していて、もう辛いところは辛いし幸せなところは蕩けるように甘くて、最高に至福な読書タイムでした。ありがとうございます!大好きな一冊が増えました!
「花と天使」でずっと深海の心情・語り口で物語は進んでいき、次の「しょっぱいケーキ」は同じ店でバイトをしている女の子の視点になります。
ここが一番すごいと思った部分なのですが、女の子が語る深海が物凄く色っぽいイケメンなんです・・・が(表紙絵を見ればイケメンなのは一目瞭然なのですが)、深海が語る部分ではそんなことはいっさい気取らせない。
読み返せばモテる男なんだな、と気付ける描写はあるのですが、とにかく深海が語る自分自身は根暗でコミュ障で自信がなくて・・・深海自身は自分が魅力的だとは思っていない。だけど視点が変わると、途端に深海の魅力が輝く。遼谷が惹かれていったのも納得できました。
徹底して深海の目線・感情だけで「花と天使」を紡ぎ上げたからこそだなと思います。
本当に面白かったです。
深海の視点で語られるから、遼谷についてはよく分からないところも多いです。
深海はコミュ障気味なので、対人スキルが高くない。なので、遼谷の言葉とその時の様子が書かれるだけ。本当はこの時の遼谷は何を考えていたのか・・・そういったことは読み手が推測するしかないのですが、深海視点では情報が少ない(笑)。遼谷も答え合わせはしてくれません。
でもこういうのいいなと思いました。一緒に過ごすうちに互いを少しずつ知っていく、これからの時間を一緒に過ごすために。
挿し絵はありません。
表題作「花と天使」と後日談ショート「月と恋」は、深海(受)の視点でストーリーは進みます。「しょっぱいケーキ」は遼谷(攻)に恋した深海と同じ店で働く良子の視点のショートです。
「花と天使」は、ケーキ屋で働く深海が、小学校の頃に一目惚れした遼谷と再会し、また恋に落ちます。遼谷に抱かれて、一緒に暮らし、家族の縁が薄い深海ははじめて幸せを感じます。しかし、ある日、遼谷の携帯に「茉莉花」という女性から電話があるのに気が付いて…という話です。
全体的に、きれいな感じの作品です。
悪い人が登場せず、みんなが一生懸命で健気で愛しいです。深海は切ないです。主役二人の他にも2カップルが成立して幸せって良いなぁってほのぼのしました。
ただ、深海の視点だから、遼谷の感情が見えづらいのは仕方がないことでしょうが、最初は意図をもって近づいた遼谷が深海に惹かれていく過程が分かりにくかったです。抱いてみたら可愛くてというのならまだしも、抱く前からというのなら、この時点で堕ちた、という場面が欲しかったです。
思いがけず深海を好きになってしまい、悩んで動揺する感情が伝わらなかったです。茉莉花のことがバレてから、好きだ嫌われるのが怖かったと言われても、え、そうだったの?という感じで。深海を本当に好きだというのは十分伝わったのですが。
深海の家を出て行ってから遼谷が2週間まったく音沙汰なしの理由が「容態が危ない茉莉花になるべくついててやりたい」で、深海は納得しましたが、私は納得できませんよ!電話の一本もできないって何それ、結局茉莉花が一番なんじゃないの?ってちょっと怒でした。言い訳にもう一押し欲しかったですし、深海もそういう遼谷を責めても良かったと思います。口には出さなくても。茉莉花に引け目があっても良い子でも、そこはちょっと違うだろうと。そういう負の感情もある方が、もっと感情移入できた気がします。
あと藤代さんも幸せになって欲しいです。(我儘)