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hikari no kuni no koimonogatari
*この本には前後編(上下巻)の表記が無く不便だが、参考までにこちらが【後編(下巻)】だ。
表紙の四人は光華国・四皇子のそれぞれの想い人となり、前編の表紙と対になっている。
さて、皇太子・洸聖と奏禿より嫁いできた悠羽との精神的な結びつきや、強引にさらわれた第三皇子・莉洸が稀羅王にほだされて秦羅に嫁ぐ決心をしたりと、前編のほうに物語全体の山場が集中していたせいか、後編を読んでいくには緊迫感がやや途切れた感覚になってしまった。
前編では評価を【萌2】にしたのに対し後編では【萌】にした理由は、世継ぎ問題に関しての折り合いの付け方、両性具有者とはいえサランと和季のキャラクターが女性寄りに感じた事、父王・洸英の恋愛面に関してはふらついた性格にもやっとしたものを感じたから。
ただ、これだけの長編で今どきのエロエロに頼らず、相手(受け)を思いやる気持ちってのを真面目に書き切った点は拍手したい。
特に真面目だなと感じたのはほとんどのカップルのベッドシーンにて、抱く側のほうが初めてだという相手の身体の負担を労わるのに尽くしていた。
その様子には、他小説みたいなエロエロな濡れ場を読むよりも気恥ずかしさが勝ってしまった。
しかし、各キャラクターの心情面を受け止めるのに精一杯になってしまい、キャラ萌えや甘いムードに浸るゆとりも欲しかった。
四人の皇子全員が生涯の伴侶として選んだのが男性となると、当然世継ぎ問題で頭を悩ませる事となる。
殊更この話では子を成す事の意味合いが強い。
稀羅の『これで子を成す事ができるならば相手を縛り付ける事が出来るのに』って心理描写も、洸聖の『子を成さずとも悠羽への愛情を全うさせる』って気持ちも重く感じてしまった。
まぁここまでに至った全ての根源は父王・洸英にある訳だが。
全員母親が違って容姿や性格がバラバラでも国や周囲を思いやる思慮深い皇子に育ったのは素晴らしいが、身分や性別に捉われずに伴侶を見つけたところは奔放な父親の血を受け継いだ結果だと思う。
その洸英だが、念願叶って和季に求愛を受け入れてもらえたからといって、それまでに色々な女性の元を渡り歩いた遍歴を恋多き男として誤魔化すには都合が良すぎる。
そんなもやっとした気持ちについては、誠実な長兄・洸聖がビシッと言っているので溜飲が下がるからいいけれど。
今回はこれだけの長編を読むにあたって、5カップル分を書き切ろうとした作者の気概を感じたので頑張って受け止めようと特に集中して読んだ。
手放しで絶賛できずに申し訳ない気持ちもあるが、登場人物が多くとも、軸がぶれずに洸聖と悠羽の二人が中心になって終始したからきちんとまとまった点を一番評価したい。