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交錯する〈復讐〉と〈運命の恋〉――。
ibarahime wa koi ni ochinai
作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます
大学の友人同士の緋宮と支倉。
緋宮は官僚だった父親の自殺の真相を支倉と一緒に調べるうちに、父親は罪を着せられて自殺に追い込まれたことを知ります。巨悪を前に潔白を証明する手立てを見つけられないまま葛藤しているうちに、緋宮の母親までもが過労で亡くなってしまいます。
憔悴した緋宮に縋られて、ずっと緋宮のことを好きだった支倉は彼を抱くのですが、翌日緋宮は支倉の前から姿を消してしまいます。
その後四年間、緋宮の消息は一切掴めないまま。そんな時、ハッカーによってインターネット上に多数の官僚の犯罪が暴露されます。その中に緋宮の父親を自殺に追いやった人物の名前を見つけ、支倉は緋宮が関わっているのではないかと思い・・・というストーリーです。
家族が亡くなってて重そう、ハッキングとか小難しそう・・・ですが、そこは緋宮と支倉の恋の障害とスパイス程度です。問題ありません。
言ってしまえばこの物語は、ずっと互いを忘れられない二人の両片想い、再会恋物語です。
そしてこのお話、二人共が互いに対する認識がズレていて、それがとてもいい!
緋宮は支倉のことを聖人君子で高潔で最高に男前だと思っているし、
支倉は緋宮のことを美しく儚く壊れそうで守らなきゃいけない存在だと思っているし・・・二人とも相手に対して恋愛フィルターかかりすぎ(笑)
そういう一面も確かにあるんだけど、ちょっと互いに美化しすぎなズレが読んでいて面白いんです。
支倉の性格は最高に萌!!まともに取り繕ってるけど、支倉は大分中身壊れてる(笑)
後半、緋宮に対して開き直って、捕まえるだけじゃなく繋いでおかなきゃと思考する支倉の執着っぷりはとても好みでした!
緋宮と支倉、それぞれの視点で物語が語られていくので、二人が両想いだということは読者には早々に分かります。
支倉を好きだからこそ巻き込みたくないと思った緋宮の気持ちも、緋宮に告れなかったことを悔いてずっと彼を探し続けてた支倉の気持ちも、無理なく理解できたし、両片想いに胸キュンでした。
緋宮の復讐とその結果については、さらりと終わってしまった感じもしますが、ハッキング云々を詳細に小難しく描かれるよりは、この程度の印象の薄さで逆に良かったと思います。
緋宮のパトロンもなかなかいい性格をしていて好かったです。
巻末の後日談「芽吹く」みたいに、ゆっくり時間が流れると共に、二人の幸せがゆっくり積み重なっていけばいいなと思います。
恋愛フィルターかかりまくったバカップルな二人、ごちそうさまでした。
サイバー犯罪を軸にした、サスペンスちっくなお話でした。
ハッキング、クラッキングなんて言葉が出てきて、アナログ人間なもので「ひやぁぁ〜」と当惑しました。
ただ、そのあたりは雰囲気だけ感じ取ってサラッと読み進めてもオッケーなので、手を出すのに躊躇する必要は全くありませんよ。
父親に罪を着せ、自殺に追い込んだ敵に復讐を誓う緋宮。
その緋宮が唯一心を許した大学時代の親友、支倉。
この二人のラブストーリーは、話のベースが犯罪絡みの内容なのに、とてもとても甘かったです。
会話が軽妙なのも、お話のバランスとして生きていました。
両視点のため、読者には両片想い状態なのはわかるんです。
お互い親友と思って過ごしている描写にも、甘さが滲んでいて…
「いやっ、キミたちそれで付き合っていないとか言うのナシだよ!?」
とツッコミたい気持ちになりました。
二人とも不器用さんなんですよね。
どちらかが告白していれば、4年も離れてしまうこともなかっただろうに。
後半に向けて、ラブな部分とサスペンスな部分とが、ジレジレはらはらしながら、うまくまとまっていくのですが。
復讐や不正アクセスなどの要素が重要なはずなのに、あまり深く掘り下げられておらず、それを物足りないと思われる方もいらっしゃるかもしれません。
でもBLですからね、私はこのぐらいがちょうど良い塩梅だと思いました。
あと、緋宮のパトロン鷺沢が、すごくいい!
愛すべきキャラです。
彼がいたからこそのこの評価。
主役二人も霞むほどの存在感に、助演男優賞をあげたい。