ぱるりろん
katana to daiku to dekunobou
「刀と大工と木偶の坊」ってなんのことだろうと思っていたけれど、読んだら納得のタイトルでした。
主人公は腕の良い大工の藤吉、25歳の男子。困った癖は蔵の錠前破り(盗むわけでなく堅固な錠前を開けるのが楽しい)と、刀に欲情すること。
ある日、とある大店の蔵に忍び込もうとした時に辻斬りに襲われ、辛くも別の侍に救われるのですが、このとき血染めの刀を見た辺りから身体の疼きがおさまらず、あちこちの大店の蔵に忍び込んでは仕舞ってある刀を眺めて自慰に耽る、というのを繰り返すようになります。
前述の藤吉の窮地を救ったのは、藤吉の住む長屋の大家である佐久間家の次男坊、忠雅で、無役でふらふらしていることから木偶の坊と揶揄されているという設定です。本当は恐ろしいほどの剣の使い手。
辻斬りの一件のあと、再会してから、二人はいい仲になっていくのですが、「つづく」で終わってしまいました。
この同人誌は3冊目まで出ているのは知っていたのですが、一冊目のタイトルに巻数表記がなかったから勝手に一話完結と思っておりまして。
藤吉の過去話(血染めの刀にどうして欲情するのか)も、腕を斬られた後の辻斬りの話も(これはもう出ないのかな)、誰にも開けられない堅固な蔵をもつ岩城屋も、そのままの状態で途切れた哀しみ。
なので楽しく読んでいましたが評価辛めなのはそのためなのです。スミマセン。