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itoshiki bansei no na wo nobeyo
作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます
小学四年生ですでに身長が160センチ以上あった高崎すばる。当時からミニバスケに熱中していた彼は、中学三年で怪我のためバスケを断念。進路に悩み、不眠となった彼が本屋でふと手に取った『天文観測記』がその後の人生を変えていく。
ずっと心の支えにしてきた本の著者が、とある大学で教鞭をとっていることを知った高崎は、もしかしたら著者に会えるかもしれないと、その大学の理学部に進学するのだが…。
大学生とメンターの関係を描いたお話なので、舞台のほとんどが大学生活に割かれています。特に、高崎の学部後半二年間から大学院進学までの学科やゼミの授業風景、彼らの研究対象にフォーカスされていて、表面的なキャンパスライフの描写だけに留まらないところが読ませてくれました。(興味がなければ苦痛かもですけど。)
高崎が一途で、津田との距離が少しずつ近づいていくまでがピュアで可愛いなーと思わせます。しかし、津田との関係が深まると、そのピュアさがズレてるのが段々わかってくるんですよ。このくだりが読んでいてゾワッとしました。好きっていう思いだけを最重要視して暴走する高崎は、津田すらも手に負えなくなるほど。
いくら好き同士でも意思疎通上のズレって破綻の原因になりがちではとハラハラしていたけれど、意表をつく展開にちょっとビックリ。津田が包容力のハンパない大人だからなのか、ただの破れ鍋に綴じ蓋な組み合わせなだけなのか…。
顔も頭も良くて高身長、道を行けば誰もが振り返る高崎。なのに友人は浅野一人しかいないっていう時点で高崎の個性、アクの強さがうかがえます。この浅野が重要なキャラ。彼がいなかったらこの話は回りません。全体的に高崎と津田の関係がメインで大学関係や学術的な描写が多いため、高崎と浅野のやりとりを描いたシーンは息抜きになりました。浅野も高崎に対する包容力がハンパないですね。
津田の故郷、「三原島」のイメージから受ける、ちょっとロマンチックな作品の雰囲気が好きだったので個人的には楽しめましたが、どうもつかみ所のない高崎のキャラが不気味でハマらなかったのが残念。終盤、時間経過の表現として彼らの日常の過ごし方や心理描写をもっと入れてもらえていたら、高崎の成長が目に見えて二人の関係により納得がいったし、ラストにもっと感動できたんじゃないかなー、と思いました。