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uragirimono
あらすじ:
平凡な大学生の七海(受け)はある夜、研究者の父の研究データを狙う謎の男たちに拉致される。
そのうちの一人・リム(攻め)に気に入られ、彼に求められるまま身体を繋ぐことに…
物語序盤、リムの仲間の暴走により七海の家族は殺され、その死体を目の当たりにした七海はPTSDを発症。
1年後、七海の親戚たちが香港で発見された七海と再会するも、彼には謎の主治医(リムの仲間)がついていて…という展開。
事情を知らない七海の親戚(一般人)目線を挟むことで、七海に何があったのか不明なまま物語を進行させるという推理サスペンス的な雰囲気を出しています。
しかし、その後七海に視点が戻ってからの展開は読者置いてけぼり感が強く残念。
七海がいつの間にかリムにメロメロでH大好きなキャラになっていたり、
七海から家族や平凡な日常を奪った加害者側の人間であるリムが当然のごとく七海を囲っていたりと、
話が整理されないままストーリーが進んでいく感じです。
物語後半、七海がストックホルム症候群を克服して真にリムへの想いを自覚するシーンが出てきますが、
そもそもリムに恋心を抱くだけの理由や背景がしっかり描かれていないため、全く共感できず。
自分の意志も何もないまま事件に巻き込まれ、一生他人の庇護下で生きざるをえなくなった被害者にしか思えませんでした。
ピカレスク・ロマンを目指して描かれた作品とのことですが、その割に悪役側の描写が薄いのも残念。
リムの素性も過去も仕事内容も人脈も曖昧で、ダークヒーローとしてのカッコよさが全く伝わってきませんでした。
七海を気に入った理由が弱い点や、H中やたら「ナナ(七海)のお尻」がどうたら喋っている点もマイナスで、そのへんの若者っぽい言動と、大人物っぽい設定とが噛み合ってない印象がありました。
リムやその仲間たちの設定・描写をもっと掘り下げてくれていたら面白いピカレスク・ロマンBLになったんじゃないかなと思います。
すみませんが、中立評価とさせていただきます。