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shinshi to yaban
作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます
続き物だと気づかずに、こっちだけ買って積んでいたのを発掘。
萌えたけど、長いネタ振りだった。
祖父が亡くなって、遺言で隠し子の存在を知り、祖父譲りの屋敷で同居生活を始めたのだが…。
学園理事長の孫として、紳士であれと祖父に育てられ自分でも己を律してきた義己と、自由な母に育てられ、挫折した元Jリーガーの誠吾。
最初は相容れないと思っていた二人がだんだん心を通わせて、って、
なかなか関係が進まないなぁって、
まあそれはそれで丁寧な展開で、このモダモダは好きなやつだし、これはこれでもよいではないかと読み進んでいたら、、
やっぱり、このペースじゃ、ここで終わりですよねー。
なので、続きをポチッとな。
前作発表以来ぱったりと出版がないままで、ものすごく心配していた高遠さんの新作。もう、あの流麗な文章が読めただけでも嬉しい。
タイトルから、義己=紳士で誠吾=野蛮と思いがちなんですけど、決してそういう訳ではないと思うんですよ。
例えば、言葉が荒くテーブルマナー等を知らない誠吾を下に見てしまう義己の態度は全然紳士的ではないと思いますしね。また、紳士・淑女を育てるはずの宝生学院の関係者が行う卑劣な行為はとても野蛮だったりする。人の多面性について考えてしまうお話になっています。
義己は自分の存在の根拠として来たものを揺るがす「ある疑惑」を抱えています。彼はそれに抗おうと自分を律し続けて来ましたが、その疑惑のため、自信が持てない状況にあります。だから揺れるんですね。
ラストの辺りに、その揺れに気づいてしまった誠吾に訪れる情動の描写が……
抑えていたものが一気に迸るあの感じ。
クゥーッ!ですよ。
「これだ、これが私が高遠さんを好きな理由だ」と大声で叫びたい(うるさい)。個人的にはもうこれだけで満足です。話は中途半端でも。(いや、すぐに続きを読んだんですけどね)
「愛と混乱のレストラン」がお好きだった方にはかなり美味しい話ではないでしょうか。
続きもの。
ストーリー的にもラブ展開的にも本書一冊では完結しておらず、絡みもありません。
続編の『スーツとストロベリー』は4月28日発売予定のようです。
あらすじ:
有名私立校の理事長の孫で、英語教師の義己(受け)。
亡くなった祖父の遺言から、彼に隠し子がいて、学院後継者候補の一人に指名されていることが判明。
その人物、元サッカー選手の誠吾(攻め)を後継者候補に相応しい紳士に教育すべく、彼を自宅に住まわせることに…
義己は一見隙のないエリートイケメンですが、家柄に相応しい人間であろうと常に気を張っており、なんだか放っておけない雰囲気のある人物。
そんな義己が、自分とは対照的な誠吾と一緒に過ごすうち、彼の大らかで優しい人柄に惹かれていくという展開です。
紳士と野蛮、というタイトルですが、誠吾は言うほど野蛮な感じはなく、庶民的な気のいい兄ちゃんという印象。
ラスト、思い余って義己にキスしてしまいますが、義己に逃げられたらすぐ反省している様子だったし、むしろ結構紳士的なタイプに思えました。
それなりに言い合うシーンはあるものの、そこまでケンカップル感はなく、ほのぼの落ち着いた雰囲気。
そこがパンチに欠け、物足りないと言えば物足りないかもしれません。
しかし、物語後半に明かされた義己の出生の秘密から判断するに、本作のクライマックスは次巻にあるのかなという感じがします。
家柄・家族という大きなアイデンティティを失った義己と、サッカー選手を引退し、学院の教師という新たなスタートを切った誠吾。
それぞれに自分に非のない理由で職を失った二人が互いに支え合いながら人生のリスタートを切る姿が描かれるのかと思うと、次巻は読み応えある大人のドラマが展開されそうで楽しみです。
血縁上は叔父×甥の関係になる二人のラブ面での進展にも期待。
本書ラストは義己が逃げる形で終わってしまいましたが、義己も誠吾に惹かれていることは伝わってくるので、良い大人カプになれそうな二人だと思います。
1ヶ月後の続編が楽しみです☆