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kankinai
2005年の作品の新装版(書き下ろしあり)。
攻めの設定がちょっと特殊な監禁モノです。
あらすじ:
外科医の雪久(受け)は、男女問わず人を惹きつける美貌の持ち主。
彼を慕い、度々病院を訪ねてくる刑事・隠岐(攻め)に薬を盛られ、監禁されることに…
雪久は美人でおしとやかで優秀な外科医。
祖父に性的虐待(挿入なし)を受けていた少年時代のトラウマから、自身を穢れたものと捉えています。
隠岐は、明るく爽やかな好青年。
しかしある日、雪久は隠岐が一人で会話している光景を目撃。
彼を心配し、相談に乗ろうとしますが、薬を盛られ監禁されてしまいます。
実は隠岐は、好青年の「トシ」と、暴力的な「リーチ」という二つの顔を持つ多重人格者(本人たちとしては、一つの身体に二人の人間が生きているという認識)。
リーチは雪久の自宅に彼を監禁し、強姦・脅迫により彼を追い詰めます。
犯され辱められる雪久ですが、怯えるだけでなく度々反撃も試みており、監禁モノとしてなかなか読み応えあり。
リーチの女性に対するトラウマを言い当てたり、自殺未遂を図ったりと、何度かリーチの心に揺さぶりをかけています。
自殺未遂の後、解放される雪久ですが、祖父を連想させるリーチから逃れるため、彼の毒殺を計画。
彼に好意を持ったと偽り接触を図りますが、リーチに計画がバレ…という展開です。
リーチは雪久に殺されてもいいほど彼を愛している一途な人物で、優しいところもありますが、
自分を犯した相手にそう簡単に惚れるか?と、ほだされ展開にはややモヤモヤ感が。
リーチとトシが警察としてそれぞれ優れた能力を持っているという設定も、特にストーリー上活かされず終わってしまい、消化不良感が残りました。
また、リーチと雪久が結ばれた後のトシの人生はどうなるのか?という問題も。
雪久はリーチを救った気でいるようですが、トシの気持ちについては無頓着で、
トシに好きな相手ができたときはどうするのか等、全く考えていない様子。
そもそもトシの出番自体少なく、二重人格設定をうまく料理しきれていない印象でした。
ドラマティックなストーリー展開は楽しめましたが、ツッコミどころも多く、星3つにはやや足りないかなという感想です。