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onshitssusodachi no koi
表題作「温室育ちの恋」と続編「ダイヤモンド・フィッシュ」の中編2つが収録されています。
どちらも広夢(受)の視点で、軽く書かれているので読みやすいですが、ひっかかる人にはひっかかる展開が結構入っています。それが王道展開に飽いているときは新鮮で面白いですが、王道パターンに安心を感じたいときには消化不良になったりします。
「温室育ちの恋」では、広夢の作家の相棒である大住(33歳・妻子持ち)と、広夢の義姉である英理子(23歳・社会人)の不倫が発覚。その話し合いの後で、弱っている義兄の慎(攻)につけこんでキスをした広夢を慎が抱くという話です。
「ダイヤモンド・フィッシュ」は、抱かれてから慎に1か月避けられて、悩んでいた広夢の前で、慎が茜という青年と付き合っていると話しているのを聞くという話です。
まず、描写は出てきませんが、広夢は慎以外に男性経験があります。広夢は、慎に抱かれてしまいますが、元々は攻めなので、茜にキスされて思わず抱きたくなります。大住は2人目の子供が生まれるというのに、英理子との不倫関係は継続中で、周囲もそれを黙認しています。その辺が一途や純真が好きだと読んでいて落ち着きません。
そして、広夢と慎は、続編で誤解は解けて両想いにはなりますが、慎の「家族以外のことは好きになれない」という考え自体は変わったように思えないので、慎が広夢を好きなのは家族だから?という疑問はそのままでした。最初から好きだったとは言っていますが、弟として出会ったからでは、と邪推もできるので。そこはもやっとしたままでした。
タイトルを読んだときは、「温室育ち」は広夢かと予想していたのですが、実際は慎の方でした。過保護だったというのでなく、国の中、城の中、温室の中で、という内容が面白かったです。広夢は守られるお姫様でなく、恋には臆病ながらたくましい印象の主人公でした。