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hatsukoi
英国貴族の愛人である受けが、その貴族の息子と出会い、惹かれ合うお話です。
両親を事故で亡くし、3歳の妹は植物状態で病院に何年も入院しています。その医療費を稼ぐために貴族の愛人をしている受け。
ある日公園で溺れそうになっていた子猫を助けた受けは、子猫の飼い主の幼児と、その兄である美麗な青年と知り合いになります。するとその兄弟が、受けが愛人をしている貴族の子息たちだった、という流れ。
大筋では健気な受けと、それを助けるスパダリ攻め、という萌えなルートなのですが、受けの行いにツッコミどころが多かった。
プライドと実利を秤にかけたときに、何を取って何を諦めるのか、という選択が出来ていないので、読んでいてイラっとします。身売りはしたくない、でも野宿暮らしはしたくない。与えられた高級アパートメントがあるのにわざわざフラットを借りて家賃を払っている。大人しく高級アパートメントに住めば家賃も雑費も浮くけれど、それは絶対に嫌、と。
妹の療養費と、野宿をしたくない自分自身のために身体を売る、それは分かります。でもそこで既にプライドを捨てているのに、理解できない別のプライドを守るために散財をする受けに対して同情心がわかなかったです。気の毒なはずなのに、健気なはずなのに引っかかる。最初は無理やり愛人にされたけど、そのまま愛人でいることを選んだのは自分なのに、そのことに対して不平だらけなのも引っかかる。
あと、自分が愛人をしている貴族の息子と知って、ほいほい付き合いを続ける受けの神経も理解できない。侯爵が男娼に身分を知られたくなくて素性を隠していた、だから親子関係だと知らなかった、という設定でもよかったのでは。そうしたら真実を知った時の衝撃とかもっと楽しかった気が。
植物状態で3年間意識の戻らない妹についても、状況が好転しているような伏線貼っておいて結局は…なのが肩すかしでした。
攻めの3歳の弟のフランは可愛くて和みました。Cielさん画のちみっこサイコーでした。ちみっこ萌えで評価ワンランクアップです。
あらすじ:
世界恐慌後の英国ロンドン。
両親を列車事故で失い、意識不明の妹を抱え貧しい生活を送る凛(受け)は、レヴィ(攻め)という美しい青年と知り合う。
レヴィは、凛が3年前から愛人をしている侯爵の息子で…
不憫受けが王子様攻めに愛されて幸せになるというパターンの話ですが、
受けの不幸な境遇の描写が中途半端で、かつ悪役の退場の仕方もカタルシスに欠けるため、全体としてモヤモヤが残る作品でした。
凛には意識不明で入院中の妹がいて、彼女の入院費を稼ぐため働き詰め。
3年前、14歳のときから侯爵の愛人になりますが、侯爵は東洋人の凛のことを蔑んでおり、行為のたび「淫売」「野良犬」「売女」等の酷い言葉を投げかけます。
そんな辛い日々を送る中、青年貴族のレヴィと出会い、彼と愛し合う仲になりますが、二人の関係が侯爵にバレてしまい…という展開。
レヴィが侯爵の息子と知りながら彼にあっさり絆され、身体を許してしまう凛の行動はあまりに軽率すぎるように思えました。
更に、侯爵の愛人であることをレヴィに知られてしまった凛はレヴィの前から逃げ出しますが、
その後すぐレヴィに見つかり許されてしまうため、ドラマ性もいまいちでした。
物語の焦点はその後、侯爵がレヴィの母親を殺害したのではないかとの問題に移り変わっていきますが、
侯爵が突如取り乱して逃亡→交通事故で死亡という非常にあっけない結末を迎えます。
悪人でも人並みに情や罪悪感はあった、ということなのかもしれませんが、描写が短すぎて伝わり辛いし、キャラとしてもどっちつかずで中途半端に思えました。
中途半端と言えば、凛が侯爵に挿入されていなかった、というオチにも拍子抜け。
いかに侯爵が東洋人嫌いとは言え、愛人設定で挿入なしというのはちょっと都合が良すぎる気がしました。
全体として、受けの境遇・設定の割に深刻さに欠け、良くも悪くも甘々な雰囲気の作品という印象です。