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oishiiokazu wo itadakimasu
2016年刊。
あらすじからして主人公・天羽の"夜の手慰み"って趣味がちょっぴり気になったが、話全体のバランスから見るとさほど気にならなかった。
大まかな話の内容は、
天羽が小さな飲食店にレジスターの修理に訪問した際に、相当な空腹でクラリときたところに店主の計らいで食事の世話になった。
そこから店主・作元の野菜中心の料理の美味しさに魅了されて、店の常連となる…
いいなぁ、自分も『野菜亭』の常連になりた~い!!(笑)
この話を読んで見事に飯テロに見舞われてしまった。
作元みたいな見た目ゴツい攻めって、案外ヘタレキャラが多く押しに弱い気がするが、彼はそんな一面はあるものの自己主張する部分も持ち合わせているから好感が持てる。
また、天羽は案外と開けっ広げにカミングアウトするわ恋人居ないから自慰で間に合わせていると言うわ、正直で驚くがさっぱりした性格なのだろうね。
過去に天羽と一夜限りの関係を持った事のあった黛との再会から二人の仲がこじれそうになったのは気を揉んだがあっさり元サヤに戻って良かった。
黛もなぁ、根は悪くないのに何だかお邪魔虫キャラ扱いで終わってちょっと気の毒かも知れない。
ま、彼の恋路はどうなるか知らんが複数の飲食店オーナーのお仕事は頑張って下さい…
グルメ描写の印象が強く残るものの、BLとして相手は好き、付き合いは始めたけれど恋人同士として踏み込むきっかけがいまいち掴めないって部分もきちんと書かれている。
タイトルからして天羽一人がそっちをオカズにしているんかい!?ってなるだろうが、実は作元のほうも…ってエピソードも付いている。
お互いさま、ごちそうさまだね。
一番残念だなと思うのは、読んでいて躓く箇所がある点です。
栗城さんは読みやすい文章書くイメージでしたので、オカシイな~と突っかかる所は流しながら読み進めていたのですが、3度目の躓きでよーく読み込んでみると、一行(セリフ)まるまる削除すると文章のリズムも意味も綺麗に流れる事に気づきました。これ書きなおしたか順序入れ替えたかした際に消し忘れたんじゃ…?
他にも、「(自分の)舌を舐めた」という表現が出てきて、その後の文章から「唇を舐めた」の間違いだろうな、といった誤字があったりと、どうにも文章にどっぷりつからせてもらえない。
きっと人によっては気づかないまでも、地味に影響して栗城さんの本の中では低評価になっているのではないかな~と推測してしまいます。
しかしこれらはもう作者というよりは、校正さんや編集さんの領域なのではないでしょうか、どうでしょうか。よく分からないんですけども。
後は、表紙は綺麗で期待したのですが、中の挿絵がどうも今一つ。何でしょうね、色気があんまなくて、ほんのちょっとデッサン狂ってるのと空間が描けてないので人と人の重なりが平べったくなってます。(カウンターの奥にいる人と手前の人との奥行差やカウンターの上の空間とかが上手く描けてないとかです。)
最後にキャラクターの、天羽(受)の見た目と中身(言動、所作)のギャップが、文章を読むうえでだんだん分かってくるような構成にしてるんでしょうけど、確かにそうやってだんだん分かってくるんですけど、ギャップというよりは違和感として受け取ってしまい、冒頭の躓きにも一役買っている気がしたので、早い段階で「ギャップ」を強く印象付けるエピソードを入れた方が良かったのではないかな~などと考えてしまいました。
(最初ギャップとしてではなく、仕事モードとして捉えて読んでいたので余計にあれ?と躓いた。・外見・中身・仕事モードと3段階あって、外見と仕事モードを別物として読んでたんですが、どうも仕事モードと外見をイコールとして描いてるような気もしまして、だとするとちょっとヨロシクないのでは?という個人的な受取りをしました)
作元(攻)がBLに珍しい、ガチムチタイプだったので、その点は評価したい!wキャラクターとしても魅力的でした。なので萌×2よりの萌で。
余談ですが、揶揄う(からかう)という表現がやたら出てくるんですが、そんなに出す必要ありますかね?もっと別の表現を混ぜて、回数減らして良いと思います。なんかくどい。
フィールドエンジニアの受けは、ある日飲食店のレジの修理に行ったところ、空腹のあまりふらついてしまい、そこの店長にご飯を食べさせてもらうことに。それ以来、美味しい料理目当てに店に通うようになったが、タチで美青年好みのはずなのにガッシリ系の店長に見とれてしまい、果てはオナニーのオカズにしてしまうようになって…。
フィールドエンジニアと横文字ですが、顧客の元を回って機器の修理などをする、いわば機械屋さんな受けです。機械いじりが大好きなせいで、かなりの激務なのに楽しく仕事をしている好感の持てるキャラ。ゲイでタチですが、大学時代にだまし討ちでヤられてしまったトラウマで恋愛ごとが面倒くさく、もっぱら右手が恋人のオナニスト。
攻めは、野菜メインの家庭料理を食べさせる飲食店の店長兼料理人。レジの修理に来てくれた美人受けが、自分の料理を美味しい美味しいと食べてくれる姿にノックアウトされ、完落ち。必死で「今後も個人的に食べに来て」と勧誘し、受けがめでたく常連客になってくれてホクホクなヒゲのガチムチです。
お互いに意識し合っているゲイ同士、デキてしまうのは割とアッサリでした。
当初のキャラ設定がタチ同士だったので、マウントポジション争いが始まるのかと思えば、受けはネコでもいいよ、と。というのも、大学時代に可愛い男の子とヤってる最中に別の友人にバックを取られ、だまし討ちでヤられたのがトラウマだったせいで、恋愛感情のある相手とだったら受けてもいいらしいです。
でも激務の受けと、飲食店店長の攻めなので、なかなか時間が合わず、くっついてからも身体の関係はなかなか持てません。その寸止め状態には割と萌えました。
本懐は遂げられないながらも、ご飯を食べさせてもらったり店で話したり、ほのぼの順調に関係を育んでいたところ、受けが昔だまし討ちで掘られた相手が登場。
その後の展開はあまり萌えなかったな。受けも当て馬も、思考能力が足りないのかと思う。恋人の前で他の男としゃべったり他の店に行ったりして、問題がないと思えるのが疑問。なのでその後誤解され、事態がこじれても、同情するどころか「そりゃそうだろ」みたいな気持ちになりました。
あと、絵がちょっと…。美人設定の受けは美人に見えず、攻めは角刈りヒゲという外見で、ホモでオネエな脇役、的なビジュアルでした。
フィールドエンジニアの天羽(受け)は臨時の仕事先でとても美味しいごはんを食べさせてくれる定食屋を見つけます。毎日のように夕食に通うようになり、店長の作元(攻め)にすっかり胃袋を掌握されます。
天羽はゲイですが過去の経験により’誰かと'より’一人で'を選んでいて右手が恋人を長らく続けていたのでしたが、最近好みではないはずの作元を思い浮かべることが多くなっていて自分でも不思議に思っています。
作元との読みあいのような穏やかな関係も作元の告白によって終わり、二人はお付き合いすることになるのです。
作元は天羽の受けた傷について理解してくれており、急がずゆっくりと穏やかな付き合いが続くのですが、作元の店のオーナー黛と再会したことから、ぎくしゃくし始めます。
天羽はタチもネコもどちらも経験あるけど一応タチがメインという男ですが、性格は男前で、就寝する前にその日のことはリセットして次の日を迎えられるサバサバしたタイプです。でも、読んでる感じどう見てもネコなんですけどね。
そんな天羽が黛の一件以来、もてるにもかかわらず一人でいるというのは、本当に人を信じるのが怖くなったのだろうなと思います。
作元は体育会系というった感じの男で、やさしく天羽を包み込んでくれているような人でした。でも、嫉妬は普通にするのでオーナーである黛にはあまり強いことが言えないけど、天羽と一緒にいるところを見ていてイライラしていたんだろうなと思います。
黛は一番たちが悪いタイプですよね。こういう男は出てくるだけでイライラします。ただ楽しそうだから、興味があったからと他人の迷惑は考えずに生きてきて、また成功もしてきているんでしょう。邪気がないから、どんなに腹が立っても「仕方ない」で皆に許されてきてる得な性格なせいで、全く矯正されないまま無自覚に迷惑を振りまいてしまう。こんなのにそばにいられたらおちおち恋もできやしない。いつ無自覚に邪魔されるかわからないんですから。今回は黛にも本命がいて安心かと思ったらうまく行かないからって、やっぱり無自覚に引っ掻きましていきました。
こんなやつは一回どん底まで落ちてしまえばいいんだ。と思うのはわたしだけでしょうか。今の本命にでもこっぴどくやられて今までのことを大いに反省したらいいんです。この主人公たちはほんと人が良すぎます。
あて馬もどきの黛の出番はそんなに多くはなかったのに印象がやたらと強かったです。
作元に信用してもらえなかったショックも手伝ってとうとうEDになりかけてしまった天羽でしたが、ちゃんと仲直りできて本当によかったです。
ただ、仲直りエッチでなし崩しになってましたが、黛との誤解はちゃんと解けたんだろうか。気にしてないみたいな感じだったけど。
これからも、作元にはたくさん天羽を食べさせて、美味しそうに育ててもらいたいと思います。
作元視点のSSは本編と違ってラブラブで、作元の妄想全開で凄く楽しいです。書かれていませんが、本編でもそんなことばかり考えてたんですかねー。想像するとニヤニヤしてしまいます。
ご飯やさんのおいしいお料理の「おかず」と、独り寝の右手の友の「オカズ」をかけた、胃袋掴みラブ。
自分では、ずっとタチのつもりでいた天羽が、作元に出会って、餌付けされて、やさしくされて、作元を自慰のオカズにしていくうちに、だんだんと…。
天羽の、迷いつつも快楽に素直なところがいいな。
この辺までは、おいしそうな料理に、天羽と一緒にうっとりしながら楽しく読んでいたんだけど、それだけじゃ、おはなしは上手く盛り上がって展開しないわけで、、、
中盤、二人が両思いになってもほぼキスどまりで、会える時間が限られる事を言い訳に、なかなかセックスに踏み出せず、そもそも、天羽が、なぜ自分が抱かれることを受け入れられないでいるのかが語られるのだが、その元凶となる出来事と、その当事者が登場したあたりで雲行きが怪しく…。
展開上、こういう当て馬が登場するのは凄く当然で、納得はできるんだけど、理解できるのと好き嫌いは全く別物。
この黛みたいなキャラが個人的にホントに苦手なので、せっかく盛り上がった萌心が、黛が登場するたびに萎えに萎えまくり。
それでも最後の、作元視点のだだ甘ストーリーでなんとか気を取り直して、最終評価は、萌2に近い萌1つで。
栗城偲先生の作品が大好きでいつも新刊を楽しみにしてますが、今作も大変面白かったです!!
強面のオカン系攻め×やんちゃで豪快な美人受けの日常系ごはんものBLです。受けの視点で進みます。
フィールドエンジニアをしている天羽(受け)が、「食事処・野菜亭」にレジスターの修理に出向き、そこで店長をしている作元と出会います。ちなみにフィールドエンジニアとは、パソコンやコピー機、レジスター等を保守点検、修理する仕事との事です。修理が終わった後、忙しくて食事を抜いていた天羽が立ちくらみを起こした為、心配した作元が料理をごちそうするんですね。それがあまりに美味しかったので、天羽は野菜亭の常連になり、通ううちにお互い惹かれ合ってる事に気付き恋人になります。ところが天羽が逃げ腰でなかなか一線を越える事が出来ず…という展開です。
まず天羽が大胆で豪胆というか、てらいの無い性格です。「俺はこのところオナニスト極めてました」とか平然と言っちゃいます。作品紹介では「タチなのに作元に惹かれて戸惑ってしまい」というような事が書かれてますが、どちらかというとタチ寄りで過去の苦い経験からネコをやるのを恐れているといった感じで、私の印象では最初からバリバリ受けです。ですので作品紹介を読み、上下の攻防だったりネコをする事に苦悩するといった展開を想像されると肩すかしになると思います。
そして作元が強面ながら非常に面倒見が良く、オカン系ですね。包容力があり、一線を越える事を恐れている天羽を思いやって、じっと我慢しています。野菜亭がメインのごはんものでもあるので、作元が作る料理がめちゃくちゃ美味しそうです。グルメ本を読んでるみたいで、読んでいて美味しい野菜料理が食べたくなりました。
それと当て馬として出てくる黛がとても魅力的です。野菜亭のオーナーなのですが、元々天羽の知り合いで、過去に天羽を騙して抱いています。天羽のトラウマの原因で、今回も二人を引っかき回してくれますが、なんだか憎めないタイプなんですね。大人なのに子どものように無邪気な所を残しており、悪気は無いのに周りに迷惑をかけちゃうという。彼のスピンオフをぜひ読んでみたい!
絡みは最後に一回だけですが、前にさわりっこはしていて、結構エロいです。この作者さんのエロ描写がすごく好みで、なんといっても受けがエロカワイイのです!! トロトロになっちゃった受けと、その受けに煽られる攻めの描写が抜群に上手いんですね。今回も、エッチになったとたんちょっと強引で意地悪になる攻めと、恥ずかしがりながらも最後は訳が分からなくなり、色々素直にねだっちゃう受けを堪能させてもらいました。( ´艸`)
最後に作元視点の短編があり、そちらもとても面白いです。天羽が食事をしている所を、色々妄想を膨らませて見ているという内容ですが。チョコバナナを食べさせながら中学生男子のような妄想をしていて、アホかと思わずツッコみたくなりました。
余談ですが、「Stand up,please!」に出ていた楽がちょっとだけ出てます。売れっ子AV男優『蒼空くん』として天羽が見ているゲイビに出ているだけですが。脇役ながらかなり魅力的なキャラクターだったのですが、新作も発売されたりしていて、頑張ってるのねとちょっと嬉しくなりました。