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「君に会いたかったんだ」
hitomebore oujisama
老舗百貨店を舞台とした既刊『身勝手な純愛』のスピンオフで、前作から数年後の話。
前作攻め(百貨店の現社長)もチラッと登場します。
あらすじ:
名古屋の老舗百貨店で、外商営業として働く葵(受け)。
ある日、得意先の愛宕家を訪問。
そこで、愛宕家の息子で東京で医師をやっている男性と知り合う。
葵を気に入ったらしい愛宕(攻め)は、その後も度々理由をつけて葵を呼び出し…
葵は、両親に捨てられ施設で育った苦労人。
プライベートでは結構ラフな性格ですが、仕事では巧みに猫を被り、洗練された外商を演じています。
そんな葵、実は若いころ現百貨店会長に見出され、大学までの学費を援助してもらったという過去が。
会長の恩に報いるため、外商として恥ずかしくない立ち居振る舞いを身に着けたという背景があるため、二面性があるといっても腹黒な感じはなく、真面目な努力家という印象です。
そんな葵を気に入り度々連絡してくる愛宕は、育ちの良さを感じさせる紳士。
服を見立てて貰う等の仕事上のお付き合いから始め、その後お友達付き合いに移行する等、ガツガツしないのんびりしたアプローチに余裕を感じます(葵に断られないよう慎重に外堀を固めてるという感じもありますが)。
愛宕の上品な立ち居振る舞い(演技ではない生来のもの)を学びたいとの思いから愛宕との逢瀬を重ね、いつの間にか彼に惹かれていく…という葵。
素の自分を愛宕に見せることを躊躇い、愛宕はそんな葵を丸ごと受け止める…というような展開ですが、
その後、葵が「素」の姿を愛宕に見せる場面がそれほど描かれていないのも物足りなかったです。
年上の恋人相手に、友人といるときほど荒っぽい言葉遣いは出来ないのかもしれませんが、ラストの葵もまだ少し猫を被っている感じで、微妙なタメ口が何だかむず痒く思えてしまいました。
後半部は少し惜しいと感じたものの、一昔前のトレンディドラマを思わせるリッチで上品な雰囲気や、二人の少しずつ距離が縮まっていく様子はとても素敵で、お洒落かつほのぼのした世界観に浸れる一冊でした。
2016年刊。
百貨店の外商さんというと壮年の男性を思い浮かべるが、主人公の外商担当・葵はまだ年若く、富裕層の顧客の眼鏡に叶うようにと気遣いと努力を心掛けている頑張り屋さんだ。
そんな彼の顧客の一人、愛宕(あたご)家の老婦人の元を訪れた葵は、婦人の孫で普段は東京で医師として働いているという雪恒(ゆきつね)に出逢い頭に口説かれる。
雪恒自身も葵の顧客となり、自身の買い物がてらに葵の仕事ぶりを吟味するには訳があって…
ちなみにこの話は『身勝手な純愛』の関連作にあたり、前作で跡を継いで百貨店の改革を推し進めている鷹邦社長と弁護士・永紀もチラっと登場しているが、この一冊だけ読んでも差し支えはない。
攻め受けには雪恒が大病院の跡取り息子、葵が施設育ちで喜久栄(きくえい)百貨店の創業者の援助を得て成人したといった背景があるものの、身分格差というものは感じ辛い。
雪恒の所作の良さに施設育ちの葵が密かに見習いたいと感じているといった描写が上手く生きていない気がした。
二人の関係が深まるまでの経緯があっさり目に感じたせいか、葵の”自身を良く見せようと猫を被っている性格”のギャップにもいまいちピンとこなかった。
しかし、二人の身分差の代わりに葵の百貨店の外商担当者としての向上心にはぐっときた。
雪恒が葵に近付いた真意は、”おばあ様に若い愛人疑惑”という噂を聞き付けたせいだが、当の葵が「連れ合いを亡くして寂しい気持ちを抱えている祖母を思いやれないなんて!!」って反論する真っ直ぐさに惹かれたのだと思うんだなぁ。
今回の話はやや人情味寄りだったので、欲を言えば外商部ならではの高級感漂う舞台裏ってのをもっと堪能したかったなぁ…って気持ちは残っている。