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torakoutei no amamitsu hanayome
植物の写真家をしている叔父の助手として分け入った密林の奥地で、迷子になった受け。
そこで見つけたトンネルを潜ったら異世界でした、という王道展開です。
ただこの作品では異世界ではなく、実在する秘境の自治区という設定のようですが、タイトルやあらすじにあるように皇帝が虎になったり、呪術師がいたりとだいぶファンタジック。
ピンチに陥ることはあまりなく、ただひたすらほんわか話が進んでいきます。
ラストも「あ、それでいいんだ……?」というような解決をして、終わったのか終わらないのかよくわからない結末。
キャラクターもそれぞれが個性的なのに、あまり印象に残る言動はなかった……。特に冒頭から登場する叔父は、精悍な感じの自由人でかっこいいのですが、あまり……活躍をしない……。
なので最後まで読み終えても、面白かったけど、萌え所はよくわからなかった。面白かったので不満はないのですが、どこで萌えればよかったんだろう……?という感想だけが残りました。
唯一印象に残ったのは、ちび虎ちゃん。
耳を後ろを倒して怯えている場面があるのですが、それが可愛かったです。噛みついてくるところも可愛い。
ライトな異世界に紛れ込んでしまった受けと、その国の皇帝である攻めのお話です。
ライトというのは、不思議な力の働くファンタジックな世界ではあるけれど、現実世界とつながっていて、帰ろうと思えばいつでも帰られる、という意味です。異世界難度が低めというか、あまり受けは苦労もせず、言葉も通じるし、命の危険もなく衣食住にも困らない生活をしています。
その点では、異世界トリップものが好きな私としては物足りない感がありました。おまけに、生活が安全安心なぶん恋愛描写がガッツリかというとそうでもなく、全体的にかなりあっさりした感じでした。
受けは、就職した会社の上司のセクハラに耐えかねて辞表を出したため現在無職。無職状態を見かねた母親に、植物カメラマンの叔父の撮影旅行に同行し、雑用をしろと命じられて海外へ。そして山奥で崖から転がり落ちたことで異世界に迷い込み、ある能力を発揮したことで皇帝の花嫁候補になります。
その皇帝が攻め。虎に変化する人です。攻めは最初は受けを女子だと思っていて、自分の花嫁にするため可愛がっているのですが、最初の時点では打算と妥協しかないのであまり萌えない。ページが進んでも、明確に「今受けに恋愛感情を抱いた」と確信できる箇所がないので、あれっいつの間に受けのことこんなに好きになってたの? との疑問がわきました。
受けにとっての攻めも、まあ惹かれてもおかしくないような偉丈夫ではありましたが、元の世界に戻れなくてもいい、すべてと引き替えてもそばにいたいと思える説得力には欠けていた気がします。
あと、遭難した受けはすぐ攻めの国の人に見つけてもらうし、言葉はすぐ通じるようになるし、その後叔父までもがその国に合流するし、悲愴感や難易度が低いのが緊張感にも欠けていました。
あっさりではありますが、ほのぼのと可愛らしい話ではありました。
攻めが、老けた(と受けの叔父に言われてる)いかつい兄ちゃんなのに年齢が19歳、というのもなかなか面白かった。その外見に虎耳虎しっぽがはえるのもモフ可愛い。でもイラストの鈴倉さんが可愛らしい絵柄なので、攻めも小綺麗な青年風だったのがちょっと残念。いかつい見た目の兄ちゃんに耳としっぽがはえてるのが見たかったな。