永遠の昨日

eien no kinou

永遠の昨日
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神6
  • 萌×20
  • 萌0
  • 中立0
  • しゅみじゃない0

--

レビュー数
3
得点
30
評価数
6
平均
5 / 5
神率
100%
著者
榎田尤利 

作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます

イラスト
山田ユギ 
媒体
小説
出版社
笠倉出版社
レーベル
クロスノベルス
発売日
価格
¥857(税抜)  
ISBN
9784773002508

あらすじ

いつもと同じ朝、同じ一日…のはずだった。
雪の積もる道を学校へと向かう満と浩一のもとに、一台のトラックが突っ込んできた!不条理な日常に翻弄されながらも、かけがえのない想いを確かめあうふたりだったが…。
大人気榎田尤利の新境地、衝撃の学園ラブストーリー。

表題作永遠の昨日

成績はイマイチだが人気者の高校生、故人
浩一の級友で秀才だが人付き合いは苦手な

その他の収録作品

  • あとがき

レビュー投稿数3

最初っから最後まで泣きっぱなしでした

タイトル、あらすじからもご想像がつくでしょうが、死ネタです。
いつもと同じように、恋人である浩一と登校していた満。
しかし浩一のもとにトラックが突っ込んできて、満の眼の前で死んでしまう。
いきなりショッキングな出だし。開始15Pにして死んでしまいます。
が、光一は何事もなかったように起き上がって…
こうして“死体”として生きていくこととなった浩一と満。
それはお互いの強い想いを再認識する日々でもありました。
最後どうなってしまうのか嫌でもわかってしまう内容なために、最初からずっと泣きっぱなしで読みました。

満は医者の息子で、母親を早くに亡くしており、小さい頃から家ではずっと独りぼっち。
そんな満の前に現れた浩一は、人づきあいが苦手な満に積極的に歩み寄り、浩一に「愛」を教えてくれた人でした。

浩一が、死体ではあるが、自分の側で一緒にいてくれて嬉しい。
満がそう思うことで、浩一もこの世に居続けることができました。
でもやっぱりそれは普通じゃない。
最初は周囲の人間にまでその姿は見えていましたが、次第にどんどん見えなくなっていく浩一。
死んでしまったらみんなから忘れられてしまう。最初からなかった存在になってしまう。
そのことに、傷つき苦しむ二人。
死んでしまったらどうなるのか。残された家族は?友人は?恋人は?
普段は素直になれなくて、ツンデレ気味な満も、今回のことで自分の想いに素直になれて、精一杯、浩一を愛します。
浩一ももともとワンコ気質で満のことが大好きなので、最期の一時、必死に満への愛を捧ぎます。
未来はもうわかっているのに、そのことを口にはせず、ただただ愛し合う二人に、もう…私の胸がつぶれてしまいそうでした。
そして満の、浩一へ語りかけるようなモノローグが切なすぎて、すごくすごく胸に響きます。
素直になれなかったけど、浩一のことが大好き。離れたくない。失いたくない。
でも、もう逝って、いいよ。
最初で最後のセックスは、もう涙なしでは読めません。汗は出なくても、涙はでるんだね…

全編通して「生と死」がテーマ。
教師であるタマちゃんや、浩一を轢いてしまった運転手とその赤ちゃんのエピソード。
どれも二人の結末を後押しするような内容でしたね。
浩一がいなくなった後、満は家族とのわだかまりも少し解消します。
これもきっと浩一が残していってくれたものなんじゃないでしょうか。
そして、浩一を失って辛いけれど、それでも出逢えた事は後悔しない、感謝していると、そう思う満に再び涙がこみ上げました…

最近榎田尤利さんにハマって、ユギさんの挿絵ということもあり意気揚揚として購入しましたが、
今までよんだBL作品の中でもトップクラスのお気に入り作品になりました。
私、墓場までこれ持っていく…!

4

ミドリ

むつこさん
もう、めちゃくちゃよかったですよ~!!
私が読んだ榎田作品の中でダントツの純愛でした。
漫画家シリーズも交渉人も大好きだけど、もう、これはもう…!!
むつこさんのお好きな、山田ユギさんの「小さなガラスの空」級の衝撃と、やるせなさでしたよー
もう、切ない、やるせない、でも二人のピュアな恋愛に涙涙涙。
本当に復刊してくれることを望みます。より多くの方の目に触れるべき作品なんですよー!!
なんとしてでもゲットしていただきたいです~!!

むつこ

私まだ読んでない本だー☆
絶版で、入手を後回しにしてる本のひとつです。
「いつか手に入れるぞリスト」にはずっと入ってるんですが。
ミドリさんの神評価を見て、榎田尤利ファンのひとりとして、これは読まねばならぬ!と決意いたしました。
あう、読みたいなァ。新装してくれないかな。

ミドリ

弥七さん
めちゃくちゃ哀しくて、私も「なんで浩一と満がこんな目に…!」と思いましたが、
それでもやっぱり二人の純粋な愛には泣いてしまいます。
一医療者としても、「生と死」そして愛する人を亡くした人の思いについて考えさせられました。
なんでこんな素晴らしい作品が絶版なんでしょうねぇ
哀しいけれど、たぶん何度も読み返してしまいそうな作品でした。
ユギさんの挿絵がまたまたハマりすぎてて、そのせいでまた泣いてしまいそうです。

弥七

これ泣けますよね~~~。随分昔に読みましたが、泣いてぐちゃぐちゃになったことはよく覚えてますよ~。

泣けます……!

一緒に登校中に交通事故にあって死んだ筈の浩一〔攻〕は頭も陥没し、首も変な方向に曲がり出血多量で心臓も止まっているんだけど死なないで生きている。
そして本人も、青海〔受〕もクラスの同級生達も死んでいるけど生きている存在として受け止めてしまう。
シュールと言えばかなりシュールです。
こういった話を読みなれてない人なら最初はぽかーんとしちゃうかもしれない。

でもそのシュールな話にぐいぐいと引き込まれていって、最後はもう泣けます……ッ!
浩一が次第に他の皆に見えなくなって行ったり。
浩一をトラックで轢いた犯人の奥さんが生んだ新しい命をその手にして、その生まれたての赤ん坊が浩一を見て笑ってくれたり。
母親の伏線も最後になって生きてきます。
死だけではなく生も同時に書かれていてそこにですね、もう涙腺がやられっぱなし。
もっそい感動作です。

3

泣けます…

泣きました…、本当、マジ泣きしました…。

まだ小説はそんなに量を読んでなくて、
好きな作家さんとかよく解らないし、
どうも色々読むと、榎田尤利さんという作家さんは面白いらしい、
挿絵も私の大好きな山田ユギさんだし、
まずはこれでも読んでみるかーっという程度で読み始めました。

ネタバレなしで読む事おすすめします。
以下、ネタバレありのレビューです。

冒頭は見開きで書かれた短い文章。
なんだか綺麗な始まり方。
ほわ〜…と…なんだろこれ。
綺麗な詩みたいでいいなぁ…

っと思ったのも束の間、本編が始まり、
あっという間に浩一がトラックにはねられてしまいます。
本当あっという間。
そしてただ満を通して見える目の前の光景を表す文章が続き、
そしたら浩一がむくっと起き上がって、普通に話し出す。
それに対して満も会話してる。
あれ?どうなってんのこれ?…あれ?なんだっけ?
そしてその後2人は、普通に学校に向かいます。
今浩一はおかしな事になっちゃってるけど、このまま病院に行くとおかしな事になりそうなので
クラスの皆に協力してもらおうっという事で、
自習時間を利用して、クラスで話し合い?というか説得の時間が始まります。
えぇ〜、これってなんか不思議なお話ですが系ですか。
小説の方でもこういうタイプのお話あるんだぁ〜
こういうのってあんま面白味感じないんだよな〜
榎田さんって人気ある作家さんみたいだけど、私には合わないのかなぁ〜なんて思い、
面白くなさそうだし、読むのをやめようかと思った。
とりあえず読んで、手離す方向にいきそうだなと読み進めてたんですけど…

いえいえ、そんな事全然、まったくありませんでした。
もう、読み終わった今思い出しただけでも、また泣きそうになる位、
涙が止まらない内容でした。
後から考えると、最初にこの話の流れは想像出来るんですけどね、
でも、なんか最初にここまであり得ないお話を、
普通に、むしろ堂々と、そして淡々と時間が流れていくので、
読んでるこっちもゆっくりと話の流れに引き込まれていって、
主人公2人が死というものによって別れねばならない状況を、
一緒に受け入れていきました。
死によっての別れ、
これはもうどうしようもない事、受け入れるしかない。
とにかく時間を止めて、どうすればいいのか考えたいのに、
でもやっぱり朝は来るもので、夜も迎えなくちゃならない。
皆普通に目の前の光景に笑ったり喋ったりしてるのが薄情に見えて、
いつもの変わりない風景にもなんでなんだろうと思う。
日常という二文字を嫌でも思い知らされる。
故人は故人でそこで時間は止まったという事。
自分は生きてて、時間は止まってないという事。

どうやって浩一の家族が彼の死を知るのか心配でしたが、
最後良かったです。
自宅のベッドで最後を迎えられた事、本当に良かった。
父親との会話にも救われました。
こんな体験、普通は受け入れられないですよ。
でも父親と共有する事が出来て、
身近にいながら身近にいないと思っていた父親が受け入れてくれていて、
なんというかこれからも満は浩一を大事にしていっていいんだ、
父親は満を受け入れてくれている、
だから安心して前に進んでいいんだっというような気持ちが残りました。
そして本当の本当最後ラストの2行。
たったあれだけですけど、あれだけだから良かった。
そう、時間は流れていくんですよね。
あの2行にいっぱいの事がつまってる。

読み終わって他の方のレビューを読んだのですが、
一度絶版となっている作品だったんですね。
今は新装版が出てるとの事。
私は山田ユギさんの絵で心に刻んじゃったので、
ちょっと新装版は違和感感じてしまうのですが、
新装版出てて良かったな〜と思いました。
山田ユギさんのイラスト、良かったです。
途中ミッちゃんが泣いちゃってて、
それをちょっと困りながら抱きしめてる浩一があったかくて。
そして最後、浩一が泣きながらミッちゃんを抱いてる姿に泣けてしまい、
でもその浩一を微笑みながらいる優しく見つめてるミッちゃんがあたたかくて…本当良かった。
ラストのミッちゃんの空を見てる姿も。
地味なタイプのお話だとは思いますが、
派手なお話も勿論好きだしではありますが、
心にじわ〜とくるお話です。
死というテーマはそれぞれの人生で必ず訪れる事で、
それぞれでたくさんの想いや乗り越え方があると思う。
きっとお互い解る想いでもあるんだけど、それぞれに大切な想いでもあり、
だからこそ変にというか、無駄な言葉で踏み込まれたくない領域なんですよね。
なので淡々と、ゆっくりと染み込んでいくようなこの作品が、
泣けてきて、自分の事も思い出してきて、
読んでてキツイと思いながらも、改めて自分の気持ちも感じる事が出来るような気がしました。
手に入れられて本当良かったです。

1

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